晩婚化と晩産化の影響 卵子の老化と不妊・妊娠率低下

晩婚化と晩産化の影響 卵子の老化と不妊・妊娠率低下

夫婦

女性の社会進出に伴って、晩婚化、晩産化が進んでいます。そのため、

加齢とともに、老化劣化していく卵子は質が低下する一方。

年齢的に、40歳だから妊娠は難しいかもと高齢化が不妊の原因でもあり気がかりの種になっています。

高齢化を気にする女性に対して、結構のんびり構える男性パートナーに

中々協力が得られずイライラ・ヤキモキしやすい妊活になっているようです。

晩婚化、晩産化がすすむ原因についてもみていきましょう。

 

晩産化とは

晩産化とは、日本の社会現象ともなっている、女性が子供を出産する年齢が上昇している現象です。

晩産化の要因として、晩婚化をはじめ、子どもを育てていくための経済的負担や、

産んだ後の子育ての環境が整わない、女性の社会で働くことへの意識の高まりなど複雑に

絡み合って起きている社会現象です。

 

晩産化の現況

厚生労働省 人口統計より

男性女性の平均結婚年齢

日本の女性の初婚平均年齢は、最新の平成27年(2015年)の人口統計では、29.4歳となっており

昭和50年(1975年)では24.7と5歳ほど平均結婚年齢が上がっています。その間

グラフは右肩上がりで結婚年齢の晩婚化が続いてきました。

同様に男性も平成27年(2015年)の人口統計では、31歳ですが、昭和50年(1975年)では

26.9歳でした。男女とも晩婚化は進んでいる状態でそれに合わせて

晩産化も進んでいます。

 

女性の出産年齢と晩産化

厚生労働省 人口統計より

平成22年の最新統計では、第1子の女性、全国平均出産年齢は29.7歳となっており、

次いで第2子では31.7歳、第3子では33.1歳となっています。

昭和30年の頃は平均第一子出産年齢が24歳であり、そこから比べると、5歳ほど晩産化しています。

さらに、女性が一生のうちに産む子供の数合計特殊出生率も低下の一途で1.41と、第2子、第3子を

設けない女性も増加し、少子化も進んでいます。

 

晩産化の原因

晩産化の原因として、晩婚化している部分が非常に大きいとも言えるでしょう。

もちろん、結婚しもすぐ子供を授かる事をのぞまないというケースもあるのでしょうが、

全国平均としても晩婚化にともない、同様に晩産化という現象につながっています。

そのため、晩婚化している原因の部分もみてみましょう。

草食男子という言葉もあり男性が恋愛などにも消極的になっている社会現象も

あるのかもしれません。

内閣府は2015年6月22日、「結婚・家族形成に関する意識調査」の結果を公表しています。

それによると、内閣府の意識調査では、20代から30代の未婚男女の4割近くが恋人は欲しくないといった

回答をし、恋愛に対しての意識がうかがえます。

恋人が欲しくないと答えた理由としては、恋愛が面倒、自分の趣味に力を入れたい

仕事に力を入れたい、恋愛に興味がないといった理由が並びます。

恋人が欲しくない割合の多さも晩婚化につながりやすいとも言えますね。

 

 

また平成27(2015)年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した

「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると

性経験のない未婚者の割合が 2000 年代後半より増加傾向にあり、男性では42.0%、

女性は 44.2%と、異性とのかかわり方、性経験のなさが結婚後の性生活にも影響しやすくなっていることも

予測できます。

 

結婚年齢が上昇している理由

内閣府が「2013年意識調査」によって発表した、若い世代で未婚・晩婚が増えている理由

では、以下のようなものがあげられています。

自由や気楽さを失いたくない

男女とも割合が多かったものが、 「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」という理由です。

結婚によって、自由が失われるといった価値観がある事や、

自由や気楽さを失いたくない思いが、最も結婚を送らせている原因になっているのかもしれません。

また、不妊で悩む男性の中には、子どもは欲しいと思いながらも、

自由を失うのは嫌という相反する思いを合わせ持つ方もいらっしゃり、

結婚年齢を送らせている理由が、子どもを授かる年齢を伸ばす原因とも一致する部分もあるのかもしれません。

 

経済的なゆとりがない

次いで、経済的なゆとりがないといったことで

結婚に対しても経済的な余裕のなさを不安視していますし、

また晩産化の理由としても産んでも育てていくゆとりのなさから、婚期が遅れるだけでなく、

晩産化、少子化の原因とも重なっています。

 

結婚の必要性を感じない

結婚の必要性を感じていないといった理由も続きます。

両親と生活している場合、生活の安定感に満足している傾向が高く、

また一人でも寂しいと感じない、結婚の意思がないという方も高まります。

 

結婚の条件として育児と家事能力

また平成27(2015)年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した

「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、

独身者への調査では、結婚相手への条件としては

人柄についで、家事・育児の能力が男女ともにお互い高く求めあっています。

女性の社会進出、共働き、共同生活を送っていくためには男性も家事・育児への

協力とその能力の高さがもとめられていることがうかがえます。

 

晩婚化・晩産化と不妊への影響

40年ぐらいで結婚の年齢や女性の初産年齢は5歳ほど上昇しています。

生殖能力は20代をピークにそれ以降は緩やかに下降、35歳以降急速に妊娠しにくさが加速します。

妊娠しにくさに卵子の老化が社会的な問題にもなっていますが、

単純に年齢だけの問題でもありませんが、妊娠だけでなく、その後の経過や出産にも影響しやすくなります。

さらに、不妊の原因となりうる他の病気も、加齢とともに増加する傾向にあります。

子宮ポリープや、子宮筋腫、高血圧、肥満といった疾患で病院を受診する女性が

20代よりは40代になるにつれ増加していきます。どれも、着床しにくさに影響を与えたり、

ホルモンバランスを乱したり、妊娠経過や出産への影響がでるものばかりです。

 

晩婚化や晩産化が不妊だけにとどまらず、病気やハイリスクな出産など影響はもっと

多岐にわたります。以前は35歳以上のの出産は高齢出産といわれており、

35歳以上の妊娠・出産にはリスクが伴いやすく経過を慎重に見守る必要の高さがうかがえます。

その35歳以上の出産は今では4人に1人が35歳以上という社会的な現象となっています。

35歳以上の妊娠では妊娠合併症といった、

妊娠高血圧・妊娠腎症・妊娠糖尿病といったものを患いやすくなりますので

妊娠・出産といった家族設計は20代から30代前半に計画した設計ができるに越したことはないでしょう。

 

晩婚化による妊娠率への影響

結婚年齢が上昇することにより、必然的に第1子を妊娠していく女性の年も上昇し、

高齢化しやすくなります。女性の妊娠率は、年齢によって大きく変化します。

特に35歳以降からは女性ホルモンであるエストロゲン分泌も低下しやすく、

卵巣機能も低下しやすくなります。

妊娠しにくさの原因として、卵子の劣化、卵巣機能低下に伴う着床しにくいといった問題です。

さらにこういった問題については不妊治療は成果が高いわけではなく、

生殖医療の最高峰といわれる体外受精でも40代になれば採卵し移植できる状態であっても

その後の妊娠率は5%ほどと著しく低くあんり、着床しにくくなることを物語っています。

そのため、晩婚化すればするほど妊娠率は低下しますし、女性だけに限らず

男性の生殖機能も35歳以降は男性ホルモンの分泌低下にともない、

性欲減退、勃起障害や射精障害も出やすくなり妊娠しにくくなっていきます。

 

晩婚化 気持ちが変わる事によって不妊で悩んでいる

不妊で悩まれる方の相談を受けていると、晩婚化、晩産化になった理由として、

前は結婚したいと思っていなかった、子供が欲しいと思っていなかった、だからその時は

必要性を感じていなかったけれど、結婚を意識できる伴侶が突然現れ、その人との子供を

残したいと思うようになったり、子どもが嫌いだったけど、夫のためにも子供を産んであげたいと

思うようになってその時には年齢が焦る年になってしまっていたという方もたくさんいらっしゃいます。

やはり、人間ですので、気持ちは変わる事もあります。

そうした時に、できるだけ卵子を劣化させないような生活をされてきている場合は

また一概に年齢だけで不妊で悩むことばかりでもありません。

今はその気がないと思っている方でも、将来はわからないと思って、

生活習慣などには気をつけて過ごしたり、恋をすること、恋人を作る事などをわずらわしいと思わないでいて

欲しいですね。

 

高齢でも妊娠していかれるようにするには

妊活をスタートすると妊娠しやすいタイミングを見計らって夫婦の性生活を排卵期、

もしくは排卵日に設けようにする傾向が強いでしょう。

せっかくの月に1度のチャンスとばかりに無駄にしたくないと

力も入りがちになってしまいますが、

こういう時ほど夫婦の考え方や妊活への思い入れの違いが浮き彫りになって

しまいます。夫婦げんかの火種にもなりかねません。

しかも、タイミングを計算し、女性から男性に性交渉お誘いをするようになっていくと

精神的な負担感や、プレッシャーから男性側では性欲の減退、勃起障害、射精障害

なども合わせ持ちやすくなります。病院でタイミング療法を開始するとさらに

顕著になる傾向があります。

 

高齢でも妊娠しやすくしていくステップ

子どもを早く欲しいと力み過ぎずに、まずは夫婦が、同じゴールに向かって

同じ方向を向いて進めていかれるように日々の会話やスキンシップを大切にしましょう。

二人が思い描く未来にズレがあってはどんな事をやってみても

うまくはいきにくくなってしまいます。

妊活を始め、不妊治療も女性に身体的、精神的、経済的な負担がかかりやすく

夫婦でのすれ違いのきっかけにもなりやすくなってしまいます。

ベビ待ち期間がこんなに頑張っている自分とそうでない相手との差を感じる程

ストレスになってしまうでしょう。ストレスは妊活の大敵です。

ストレスが多いほど、コルチゾールというストレスホルモンにさらされ、

ホルモンバランスが乱れやすくなり、細胞も劣化しやすくなります。

妊活期間は夫婦二人で楽しみながら、気楽にいかれるのが理想ですね。

不妊で悩鵜ご夫婦は、性生活においても何かと不満を持ちがちです。

だからといって、性に対する相手の本心を聞くこと自体も怖くなってしまう事もあるでしょう。

不妊で悩み、不安いっぱいで過ごし、周囲のプレッシャーに苦しみ、

生理が来るたびに悲しい気持ちでいた場合、簡単には妊活を楽しむというわけには

いきませんよね。時間が過ぎていくほど焦っても来ます。

焦りはかえって心身を緊張させて生体のバランスが乱れます。

 

焦らず協力し合える関係性つくり

赤ちゃん 手の中

妊活は相手の協力があればあるに越したことはありませんが、

先ずは協力してもらおうとしすぎない事も大事でしょう。

なんで夫は協力してくれないの?と苛立つことを防ぎ、イライラですごしても

良い夫婦の関係は築けなくなってしまいますものね。

それよりは、あなたに協力してあげたくなるような

心理的なシステムを早急に作っていく事が大事です。

その時に必要なのが、妻力です。男性から女性として妻として大事にされる力とも

いえるでしょう。不妊で悩むご夫婦に多くある性嫌悪症。

男性が妻に対して性的な対象として見れなくなり性交渉を拒みがちになるものです。

妊活をしていく過程でなりやすくなり、赤ちゃんを望んでいるにも関わらす

性生活が月に1~2回程度と少なく妊娠しにくくさせてしまう原因にも

関係性つくりがうまくいっておらず性的な対象ではなくなってしまうような関係性を

築いてしまうところに問題が出てきます。

 

まとめ

晩婚化・晩産化・卵子の老化は心配であり、気がかりの種でしょう。

ただ、一昔前ですら初産ではないけれど、40代で出産という事は

全く珍しくなく、子だくさんで産んでいた時代もあります。

40代でもリスクはつきますが、充分妊娠出産できる可能性をもった年代です。

夫婦で歩み寄りながら心地よい生活の中に、心地よい性生活となる妊活を

送れるようにしていきましょう。

 

参考サイト

「妊娠を阻む病気」は、加齢でこれだけ増える 「晩産化」リスクは卵子の老化だけではない

東洋経済オンライン https://www.msn.com/ja-jp/

 

結婚年齢(初婚年齢)出産年齢が遅くなる5つの理由

http://conshare.net/marriage-age

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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