妊娠しやすいBMI 肥満解消にダイエットの目安

妊娠しやすいBMI やせたら妊娠しやすいダイエットの目安 

ダイエット 悩む女性

肥満であることは、様々な研究結果からも生殖能力が下がることがわかっています。

また、妊娠できたとしても、早産、出産のリスクも高まってしまいます。

不妊の原因の1割近くは体重が多く肥満傾向にあるか、体重が少なく痩せ傾向にあることが指摘されています。

標準体重であることが健康的である指標となります。

体格指数となるBMIを基準に妊娠しやすい体型というのはどういったものかを見ていきましょう。

 

出産は昔はそれをきっかけに母子ともに生命を奪うものであったほどに

赤ちゃんを無事に産んで、育てていくことを考えれば、

体格指数といわれるBMIが正常範囲内におさまるように

生活習慣を整えておくこと、妊娠しやすくしておくことは必要といえるでしょう。

 

妊娠しやすさに一番重要と言われる標準体重BMI

妊娠しやすい体つくりにおいて重要なのは、実は体重だという事です。

もちろん体重だけでなく、体脂肪率というのも影響はしてくるのですが、

体の中に占める脂肪や筋肉などの割合によって、生殖に関わる性ホルモンが影響を受けてしまうからですね。

 

産婦人科専門医の宋美玄(ソンミヒョン)先生は、下記のように言っています。

「実は、妊娠する上で一番重要なのは体重です。体脂肪が極端に多くても少なくても、

排卵障害の原因になるためよくないのです。

最近話題になっている”シンデレラ体重”なんてもってのほかです。標準体重を保つようにしましょう」(宋先生)

 

体重の異常(痩せすぎ太り過ぎ)は不妊リスク大

体重が標準体重の120%以上ある場合には、不妊症の相対リスク(起こりやすさ)は2.1倍と高くなります。

また、標準体重の85%以下となった場合には相対リスクは4.7倍と高くなるとの報告があります。

肥満よりは痩せすぎの方が不妊リスクは高まり、コレステロールの多い女性は

AMHの数値が高い傾向があるという研究報告もあるので、

女性にとって体脂肪やコレステロールがある程度正常にあるかやや多い方が妊娠には

向いていると言えるのでしょう。

いずれにしても、肥満女性では主に脂肪細胞で産生されるエストロゲンが過剰になりやすいこと、

痩せすぎの女性では主に十分なエストロゲンが産生されにくいことが不妊の原因となると

いわれているため、適正な体型を維持できるように整える事も大切なポイントといえますね。

 

 

妊娠しやすいBMIって?

BIMとはボディマスインデックスのことで体格指数を表します。

体重kg÷身長m×身長m で計算して出します。基準値・理想値は22と言われていて、

健康的で寿命が長いといわれている数値です。

肥満でもなく痩せすぎでもない体形になります。

妊娠しやすい体つくりのためには、生活習慣の改善などにより、

まずはこの理想値に近づけていくという事が必要になります。

 

日本肥満学会の肥満度判定基準

BMI 肥満度判定
18.5未満 低体重(やせ)
18.5~25未満 普通体重
25~30未満 肥満(1度)
30~35未満 肥満(2度)
35~40未満 肥満(3度)
40以上 肥満(4度)

出典:日本肥満学会

 

基準値としては、WHO世界保健機構でも普通体重の範囲を18.5~25に設定しています。

標準的な範囲としては18.5~25 位を目安にされるとよいでしょう。

BMIが18.5未満の場合は、痩せ・低体重という事で、日頃から食欲が少なく

食事の摂取量もやや少な目かもしれません。活動量を増やすことで食欲を高めたり、

下痢便秘がちな場合は消化機能を改善するために自律神経のバランスを整えていくようにしましょう。

 

BMIが25以上の場合は肥満気味という判定になります。肥満の場合は健康を害す恐れもあり

また、妊娠しにくさだけでもなく、出産もハイリスクになりやすく食生活や運動習慣の見直しが

必要です。

 

肥満BMI・やせBMIだと妊娠はどうなるの?

肥満気味だと・・・

肥満BMIで太り気味、特にBMIが30以上の場合は自然流産のリスクも高まってしまいます。

肥満気味だと、脂肪細胞で卵胞ホルモンが生成されるため、卵巣からの卵胞ホルモンの生成が

抑制されてしまうようになります。それによって排卵にトラブルが生じやすくなります。

卵子が育たない、排卵しない、排卵障害や、月経周期が不順になるといったことがおこり

排卵期がわかりにくくタイミングを合わせにくくなることでも不妊になりやすいです。

排卵障害を持ち合わせる多嚢胞性卵巣症候群などで肥満の場合は

まずはダイエットに取り組むことから始めていくことが好ましいでしょう。

肥満が生殖機能に影響を与えるのは女性だけに限らず、男性においても同じです。

男性の肥満の場合も脂肪細胞でエストロゲン分泌が高まるため、

男性ホルモンであるテストステロンの分泌が低下し、精子の生成への影響をはじめ、

性欲の低下、勃起障害なども起こしやすくなります。

 

痩せ気味だと

やせ気味BMIの場合も生殖に影響がでてきてしまいます。

ダイエットなどにより体重の15%の減少は月経不順を招きやすくなります。

さらに体重の30%減が急激に起こると無月経となりやすくなり、妊娠しにくいように働いてしまいます。

女性のホルモンバランスと正常な月経周期にはある程度体格に適正さが必要になりますね。

やせ気味でBMIが19以下の人ほど月経不順や無排卵などを経験している女性が多く、

BMIとAMHとには相関の関係がある事も示唆されていて、BMIは別名妊娠予備能ともいわれています。

 

アジア系ではBMI22.9が妊娠率の上限

海外でのBMIと肥満と不妊についての研究はあるものの、白人とアジア系と人種によって

妊娠しやすさについて違いがあるためより参考になる

アジア人の肥満と妊娠までの期間(TTP = Time To Pregnancy)研究は参考になります。(1

2015〜2017年に18〜45歳のアジア人(中国、マレー、インド)477名を対象に、

肥満度と妊娠までの期間(TTP)を調査しFR(妊孕性)で評価しています。

その結果、BMI 18.5〜22.9の方と比べ、BMI 23.0〜27.4の方の妊孕性は0.66倍、

BMI 27.5以上の方の妊孕性は0.53倍に有意に低下しました。

アジア系では、BMIは18.5~22.9くらいを目安にすると妊娠しやすく、

妊娠までの期間が短くなる可能性がうかがえます。

 

痩せると妊娠しやすい ダイエットが必要な理由

無理なダイエットはかえってホルモンバランスを崩したり、

月経がとまってしまうなど悪影響もありますが、

肥満体質では、体の中を攻撃するサイトカインという炎症物質が分泌されるため、

目には見えないところで炎症が起こるようになります。

炎症と不妊についても研究が進んでいます。

体の中で炎症がおきていればいるほどに妊娠しやすいいい健康状態とはいえなくなります。

 

医師からもダイエットの必要性を指摘されている方、

血糖値が高い、糖尿病などのリスクがる方は、不妊だけでなく不育のリスクも併せ持ちます。

妊娠前から安心して赤ちゃんがやってきやすい環境をいかに整えてあげられるかが

妊娠力とも言えるのではないでしょうか?

 

太っていても妊娠している人はいるでしょ?無事産んでいる人もいるでしょ?

そういう考え方をして、今ある問題から目をそらしてとにかく妊娠さえできれば・・・

それでいいと考える方ほど

赤ちゃんはやはり安心してやってくることはできないので、妊娠から遠ざかります。

BMIが高い人ほど、妊娠までの期間が長いという報告もあります。

 

ライフスタイルの改善によって妊娠率は高まる

体外受精においては結果が違うものの、自然妊娠、タイミング療法、人工授精では

ライフスタイルの改善によってBMIを改善することによって、

妊娠率が高まったという肥満女性のライフスタイルの改善と妊娠率についてのメタ解析(2)では

ライフスタイル改善策は体重およびBMIの有意な低下を示し、自然妊娠率の有意な増加を示しました。

しかし、体外受精に関しては、妊娠率のみならず、妊娠合併症、出産率、早産率、出生時体重には

有意な影響を認めませんでしたと報告しています。

体外受精だけは別物なのでしょうか・・・。

妊娠を望む女性にとっては、ライフスタイルの改善は取り組んだ方がよさそうです。

BMIが23以上では徐々に妊娠率は低下、妊娠までの期間が延びるという傾向であれば、

ちょっとづつ生活習慣の改善に取り組んでいきましょう。

 

不妊改善のためのダイエット目安

まずは、妊娠に必要だとされている目安の

ダイエットが必要な場合、BMIという体格指数を目安にし、

そのBMIが25以上の過体重や肥満の不妊症女性の場合、

体重の10%の減量を行うことで妊娠率や出産率が改善されることが

アメリカで実施された試験で示されています。

例えば体重が60kgの場合は 6kgの減量を目安にしてみるとよいでしょう。

一気に減量しようとするのではなく、10%減を目標にしていくとよさそうですね。

 

ダイエットストレスはよくない?

好きなもの食べられないストレスがかえって妊娠に良くないのでは?

そういう考えを持つ方もいますが、ダイエットが必要がない方はダイエットは不要ですが、

必要な方は一度よく考えておいて欲しいことです。

妊娠できずにいつまでも悩み続けるストレスや不妊治療にかけていく色々な労力とストレス、

妊娠はしにくくてもストレスなく食べ続け、授かりにくくなり続けるのと

いったい何が強いストレスになっていくのでしょうか。

妊娠しやすさを手に入れていくためのダイエットや、食事を気をつける事、

運動を心がけるといったことを、赤ちゃんに出会えるまでの楽しみと違った捉え方をしていった方が

ダイエットも気楽に取り組めるのではないでしょうか。

ただ、あれは食べてはいけない、これは食べても良いとか、何かとダイエット方法が

複雑になるほど心理的なストレスがかかりやすく挫折失敗率が高まります。

地中海式食事療法はダイエットとしても妊娠率が高まるでも有名ですが、

やや複雑さもあって、継続が難しい点もあるかもしれません。

ストレスがかかるとストレスホルモンが分泌されてより食欲は高まってしまって

リバウンドしてしまうとかもよくあります。

ダイエットで成功するには、複雑でなく、シンプルな方法を選択しているかという点も見落とせないかもしれません。

ダイエットはシンプルであると成功率が高まるようです。(3)

 

まとめ

妊娠しやすさにはある程度の体格的に適性があり、BMIでは18.5~25になります。

現代のライフスタイルでは、食生活が乱れたり、食べているようでいて栄養の摂取において

バランスが崩れていることもあります。運動不足なども影響して肥満体型になったり、

ダイエットの経験や痩せなどが思いがけず不妊を招いている場合もあります。

痩せすぎていても、太っていても不妊になりやすいわけですから、まずは安心して

赤ちゃんを育てていかれる適正な範囲に入るよう生活習慣を整えていきましょう。

 

引用サイト

【夫婦で妊活】生理がきてガッカリ、妻にどう声かけるhttps://www.huffingtonpost.jp/2018/03/27/dhc-karadanokimoch_a_23396307/

参考サイト

働く女性のやせすぎ問題が、不妊大国へ導くのか。https://www.huffingtonpost.jp/2018/01/25/working-women-body-shape_a_23343129/

BMIチェックによって自分の肥満度と標準体重を確認しようhttps://www.health.ne.jp/bmi/

妊娠しやすい体になるためにはhttp://www.mizuuchi.or.jp/

参考文献

(1)Hum Reprod 2018; 33: 2141 doi: 10.1093/humrep/dey300

(2)Hum Reprod 2017; 32: 1925 doi: 10.1093/humrep/dex241

(3)Research report When weight management lasts. Lower perceived rule complexity increases adherence

 

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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