妊娠しては流産でつらすぎる 妊活では支えと安心を

妊娠しては流産でつらすぎる 妊活では支えと安心を

不妊症で悩み、やっと妊娠できたと思ったら、流産・・・。

妊娠を維持できない事態に悩むことが待っていたなんて!しかもそれを

繰り返した場合、女性の精神的な辛さは想像に難くありません。

繰り返す流産、不育では年齢と過去の流産経験、さらに不育の因子

と合わさると流産しやすくなってしまいます。

流産を経験するとかなり不安にもなります。安心し、支えられる

妊活が妊娠につながっていきます。

 

繰り返す流産 不育症とは

不育症とは、妊娠してもおなかの赤ちゃんが育たずに、

流産や死産を繰り返してしまう状態を「不育症」といいます。

流産を3回以上繰り返す「習慣流産」も、不育症とほぼ同じ意味で使われています。

習慣流産はほぼ同意で使われていますが、

これらには妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡は含まれません。

不育症はより広い意味で用いられています。

学会では、何回流産を繰り返すと不育症と定義するかは決まっていません。

しかし、一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症と診断し、

原因を探索していきます。(1

繰り返す流産の原因の特定は50~60%で可能といわれています。

しかし、心理的な影響もとても大きいとも言われています。(2

 

流産がおこる頻度

女性の年齢にもよって異なりますが、流産率は自然妊娠の場合、

確認された例の10~20%程度が流産になると言われています。

ただし、年齢が35歳以上になると流産率はさらに上昇してきます。

また、妊娠反応陽性となった後、化学的妊娠(妊娠検査薬のみでの陽性反応)では

流産率は30~40%ともいわれています。

子宮の中に赤ちゃんの袋が確認される前に流産してしまうのも含めればかなり確率としては

高いといえます。(3

 

さらに、流産率は、年齢も関係して、35-39歳で流産率が25%、

40歳以上になると流産の頻度が51%との報告があります。

初めての妊娠で流産した場合、その50%ちかくは胎児の染色体異常による偶然おこった

事ともいえますが、その後も流産が続くようだったら、

別の危険因子があるのかもしれません。

 

悩む不育症の原因

不育症の原因としては、次のようなものがあります。

これらが複雑に重なっていたり、また特に原因が見つからないこともあります。

不育症の原因としては、

夫婦の染色体異常、子宮の奇形、黄体機能不全、高プロラクチン血症

、甲状腺機能異常、血液凝固因子異常、抗リン脂質抗体、拒絶免疫異常

、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群、遺伝性血栓症、男性側の因子などがあります。(4

 

原因を確かめるために検査を行っても60%近くが原因不明といわれています。

 

不育症の治療について

不育症の治療はほとんどが保険適応です。

検査を進めていくうえでより精密な検査が必要になる場合もあります。

検査費用は病院によって大きく異なりますが、おおよそ5万円程度といわれています。

あらかじめ病院に問い合わせてみるものよいでしょうし、

不妊症の検査と重複することもあるので、検査項目は少なくなる場合もあるでしょう。

そして、検査の結果判明したリスク因子について治療を行います。(4)

 

・染色体異常
染色体異常の種類によって、今後の治療方針が決まります。

夫婦で十分なカウンセリングを受け医師とよく相談することがおススメです。

・子宮形態異常
子宮形態異常のタイプによっては必ずしも治療の必要はありませんが、

手術を行う場合もあります。

・内分泌異常(糖尿病、甲状腺機能異常)

糖尿病や甲状腺機能異常の薬物療法や食事療法によって、治療を行います。

 

・血液凝固因子(血栓性素因異常)
抗血栓療法(アスピリン内服、アスピリン内服とヘパリン注射の併用)を行います。

また、原因不明であった場合は、不育症に対しては胎児の染色体の異常でたまたま

流産を繰り返してしまう偶発的流産の場合もあるため、

積極的な治療を行わずに経過を見る場合もあります。

そうすることで、で赤ちゃんを授かる可能性が充分あります。

 

心あたたまるケアの重要性

不育症の原因ではわからない部分もたたあります。また妊娠しては

流産を経験し喪失をすることはとてもつらいものです。女性は

罪悪感や悲しみ、恐怖感などを何度も体験しますし、

ずっと不安を抱えながら妊活をし、妊娠してからもその期間を

過ごすようになります。

不育症に大きくかかわるものとして、ストレスも要因になります。

ストレス自体が流産を引き起こす危険因子にもなっているため、

不妊症・不育症には心のケアが非常に大切だと言われています。(5

原因不明の不育症の女性は、支持療法によって心のケアを受けた女性は

薬物療法などなしに、妊娠率が有意に高まりました。(6

妊娠後のライフスタイルや食事について、そして心理的なカウンセリングを受け

サポートをうけていくことは女性から好まれた支持療法にもなります。(7

 

子宮内環境を悪化させてしまうストレス

流産とは、子宮内で赤ちゃんがうまく育たなくなるために起こるものです。

流産や死産を繰り返した場合、次の妊娠への不安や周囲の声をプレッシャーに感じるなど、

不妊の悩みに加えて、さらに大きなストレスにさらされています。

とっても不安になってしまいます。この不安こそ、妊娠率をさげる

精神的要因ともいわれています。

こうした状況がホルモンの分泌やや自律神経の変調を招き、

さらに妊娠、そしてその成長を止めてしまう悪循環になっているのです。

妊活をしていても、妊娠しただけでは、ぬか喜びができないのが

流産や不育への不安。妊活においてとても重要なのは、

女性の心が安心感と穏やかさに包まれ、豊かな環境になる事です。(8

 

 

参考文献

(1) 2012 Nov;98(5):1103-11. doi: 10.1016/j.fertnstert.2012.06.048. Epub 2012 Jul 24.Evaluation and treatment of recurrent pregnancy loss: a committee opinion.

(2) 1983 Feb;39(2):123-40.The clinical management of repeated early pregnancy wastage.

(3) 1989 Aug 26;299(6698):541-5.Influence of past reproductive performance on risk of spontaneous abortion.

(4). 2014 Jul-Sep; 7(3): 159–169.doi: 10.4103/0974-1208.142475Evidence-based management of recurrent miscarriages

(5) 2012 Aug;25(2):180-9. doi: 10.1016/j.rbmo.2012.03.012. Epub 2012 Apr 3.Relationship between psychological stress and recurrent miscarriage.

(6) 1997 Feb;12(2):387-9.Future pregnancy outcome in unexplained recurrent first trimester miscarriage.

(7)Supportive care for women with unexplained recurrent miscarriage: patients’ perspectives A.M. Musters, E.F. Taminiau-Bloem, E. van den Boogaard, F. van der Veen, M. GoddijnHuman Reproduction, Volume 26, Issue 4, April 2011, Pages 873–877, https://doi.org/10.1093/humrep/der021

(8). 2019 Apr-Jun; 20(2): 115–117.Positive and “Enriched” Environments Reverse Traumatic Stress and Reshape Epigenetic Signature of Spermatozoa and Ovulation

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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