原因不明の流産・不育症 ストレス対処が妊活のカギ

原因不明の流産・不育症 ストレス対処が妊活のカギ 

妊娠できた喜びから一転、悲しみのどん底に突き落とされてしまうのが、

繰り返す流産や死産による不育症。

どうしても自分を責めずにはいられず、この苦しみから、心の傷が癒えることがないままに

心の病 鬱に陥る人も少なくありません。

不育症とは、その原因と、それでも6割は原因がわからないとされる

不育症をどうやって克服していったらよいのか、

そのカギを握るストレスの対処についてご紹介していきます。

 

不育症とは、

不育症とは、妊娠してもおなかの赤ちゃんが育たずに、

流産や死産を繰り返してしまう状態を「不育症」といいます。

流産を3回以上繰り返す「習慣流産」も、不育症とほぼ同じ意味で使われています。

習慣流産はほぼ同意で使われていますが、

これらには妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡は含まれません。

不育症はより広い意味で用いられています。

学会では、何回流産を繰り返すと不育症と定義するかは決まっていません。

しかし、一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症と診断し、原因を探索していきます。

 

不育症の原因とは

不育症の原因とされているものは以下になります。

夫婦の染色体異常

夫婦両方かいずれかの染色体異常

 

子宮の奇形

着床や胎児の成長に影響するため

双角子宮、単角子宮、中隔子宮、あるいは子宮筋腫など、子宮形態に異常があると、

赤ちゃんに栄養がうまく運ばれないなどで流産しやすくなります。

手術が適応となる場合もあるけれど、手術をしなくても約60%は妊娠継続が可能です。

 

黄体機能不全

高温相の体温維持などに影響する黄体ホルモンの分泌がうまく働かないことによって

妊娠を維持できないため、ホルモン補充療法が用いられます。

 

高プロラクチン血症

乳汁分泌ホルモンプロラクチンは、基礎体温の高温相を短くするように働きます。

高プロラクチン血症では、排卵や着床の障害になることが知られています。

 

甲状腺機能異常

甲状腺の機能低下によってプロラクチン値がたかくなります。

甲状腺ホルモンの異常は薬物療法で改善していきます。

 

凝固因子異常

血液が固まって胎盤に血栓ができやすくなる

血液中の凝固因子(血液を固めて血を止める働き)に異常があると、

血のかたまりの血栓がつくられやすくなります。

妊娠中に胎盤内に血栓がつくられると、

胎児に栄養が運ばれなくなり、流産や死産のリスクがあります。

 

抗リン脂質抗体

抗リン脂質抗体症候群は自己免疫疾患の一つで、流産や死産との関係が知られています。

免疫というのは本来、外からのウイルスや細菌などから自分の体を守る防衛システムです。

しかし、この免疫に異常があると、自分の体や組織を異物と認識して

攻撃さえしてしまうことがあるのです。

免疫異常がある場合、血液検査で自己抗体が検出されます。

自己抗体にはさまざまな種類がありまさすが、

抗リン脂質抗体があると血栓ができやすく流産を引き起こすと考えられています。

 

拒絶免疫異常

胎児の半分は夫の組織に過剰に反応してしまう免疫異常

お腹の中の赤ちゃんや受精卵の半分は、男性側からの組織で作られます。

そのため、赤ちゃんは母体にとって、異物と見なされてしまう可能性があります。

本来は、妊娠にはそれを阻止し、赤ちゃんを体内で育てるためのメカニズムがありますが

この妊娠維持のメカニズムがうまく機能せず、異物と認識してしまうと、

流産を引き起こすといわれています。

 

糖尿病

糖尿病になってしまうと、様々な病気を誘発させたり、合併症が問題になります。

糖尿病とは血液と血管にトラブルをおこすため、

身体の各所に様々な影響を与えてしまうのです。

この糖尿病による影響の一つに流産があります。

 

 

不育症の60%は原因不明

流産の割合は、15%程度であり、臨床的妊娠に至らない割合は30%

とも言われています。年齢と流産の経験があるかで次の流産リスクが

高まるかどうかに関係があるとも言われています。

しかし、不育症の原因をさぐる検査を行っても、

60%以上は原因不明だといわれています。

原因がわからず、繰り返される流産や死産に、

何度も喪失体験を繰り返すと、トラウマ化したり、

心がボロボロになってしまいます。

また、原因がわかって、治療をしたからといって、

順調に出産にたどり着けるわけでもないようです。

 

「自分が悪い。」そう、自分を責めて、責めて、摂食障害などを引き起こすケースもあります。

自分のせいで産んであげられなかったと、罪悪感に取りつかれてしまうのです。

 

流産・不育症を防ぐにはストレスを減らすことが有効

緊張や恐怖心、自責・罪悪感から、妊娠しても、常に不安に襲われます。

心拍を確認するまで不安で泣いて、次の受診で確認できるまでを

過度の確ストレス状態で過ごしてしまいがちです。

 

不育症専門医で、青木産婦人科クリニックの青木耕治院長は、

過度のストレスが流産につながると考えています。

 

ストレスは免疫機能と関係があり、

ストレスを感じた時は、アドレナリンが分泌され、

免疫機能をもつナチュラルキラー細胞が増えます。

受精卵や胎児を異物としてみなして攻撃してしまうようになるという説があります。

また、不安や緊張すると、自律神経の交感神経が有意になり、

血管がギュッと収縮を起こします。

そのため、血流が悪くなり、胎児への血液量が悪くなります。

 

カウンセリングをしてきた中でも、心のうつをそのままに、

体外受精をがんばってしまって結果を出せずに苦しんだクライアント様もいらっしゃいました。

 

カウンセリングで妊娠・出産にはプラスに

厚生労働省研究班の調査によると、不育症の原因が見つからなかった患者さんのうち

カウンセリングを受けた人の出産成功率はカウンセリングを受けなかった

患者さんより20%も高い確率で出産に至れるようになっています。

妊娠前の適切な心理的ケアが受けられた場合、流産率を下げられるという

海外の研究結果もあります。

また、ストレスケアは妊娠までにかかる期間を短縮するという研究結果もあります。

心のケアの重要性がはっきりしているにも関わらず、

日本には、不育症の相談窓口は少ないのです。

不妊治療に通っても、充分なストレスケアは受けられないのが現状です。

不妊治療は想像を超えるプレッシャーと負担がのしかかり、不妊治療不妊を招き、

ストレスからの解消や軽減はかなり難しいといえます。

 

あなたが、妊娠し、出産するためには、心のケアを大切にして、

受精卵がしっかりと着床し、定着できるように、定着力をつけましょう。

早めに相談し、専門家のカウンセリングを受けることが、流産・死産を予防につながります。

 

 

参考文献

. 2014 Jul-Sep; 7(3): 159–169.doi: 10.4103/0974-1208.142475Evidence-based management of recurrent miscarriages

. 2014 Nov; 29(11): 2553–2559.Published online 2014 Aug 27. doi: 10.1093/humrep/deu216Successive time to pregnancy among women experiencing pregnancy loss

・Resilience Theory: What Research Articles in Psychology Teach Us (+PDF)

・Focus on Infertility Research at the NICHDNICHD Research Helps Unravel the Complex Causes of and Treatments for Infertility https://www.nichd.nih.gov/newsroom/resources/spotlight/061512-infertility

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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