知っておきたい不妊症とストレスの関係

知っておきたい不妊症とストレスの関係

悩む落ち込む女性

不妊の原因にストレスによる生殖機能の低下があります。

ストレスを抱えている状態は、ホルモンバランスを崩し排卵障害を招くといったことや、

着床しにくさにつながっていく部分があります。

不妊症の治療をしていくにあたっても、心の状態を整えながらすすめる事は重要になります。

よく、不妊治療をやめたり、もう子供はいいやと諦めたら、

そのストレスから解放されて妊娠するということをよく聞きますよね。

不妊とストレスの関係、妊娠しやすい体つくりのために心がけたいことをご紹介していきます。

 

不妊とストレスの関係

妊娠と女性ホルモンの関係は切っても切れない関係にあります。

女性ホルモンとは、脳の視床下部にある下垂体の指令を受けて卵巣から分泌されるホルモンのこと。

主に妊娠しやすい体を作る働きがあるエストロゲン(卵胞細胞)と、

妊娠を維持する働きがある黄体ホルモン(プロゲステロン)を指します。

この2つが働かないと排卵が規則正しく行われないうえに、赤ちゃんを育む子宮内の環境も整いません。

 

しかし、脳内で情報を受け取って、その情報を認知してストレスだと

判断されると、脳内ではストレス反応を起こすように指令が出ます。

そのストレス対処をしている脳の部分はホルモン分泌を司る部分のすぐ近くにあります。

ストレスがいっぱいあると、その影響を大きく受けて、

女性ホルモンのバランスは簡単に崩れるようになってしまいます。

 

ストレスが着床しにくさを引き起こす

妊娠できないでいると、タイミングの悪さを心配する傾向が強くなります。

受精していないから、妊娠しないという事を意識し始めるのですが、

受精しにくいという点よりは、着床しにくくさせている問題点を抱えていることを

知っておいた方がよいでしょう。

実際に、体外受精では受精させ培養士ある程度育った胚盤胞を移植するようになるのですが、

着床しにくい妊娠を維持できず流産しやすい点から妊娠率は下がります。

自然妊娠をしていくケースで見ても避妊しない夫婦の性生活がある回数持てているご夫婦でも

1周期の受精率は80%、でも妊娠率は20%と下がります。

メカニズム的にみても受精より着床の方がしにくくなります。

精神的にストレスを抱えているほど、不妊になりやすく

妊娠しにくい、妊娠までの期間が長くなるという報告もあります。

 

ストレスホルモンの恐ろしさ

ストレスを感じると、私たち人間の体はさまざまな反応を示します。

ワシントン大学の研究によると、人間はストレス下に置かれると

脳にある恐怖や不安を感じたときに活動する「扁桃体」が反応し、

その反応が身体のさまざまな箇所にも波及するといわれています。

 

例えば、副腎からはストレスホルモンが分泌されて心拍数が増えます。

さらに血液も固まりやすくなったり、自律神経が興奮して血圧が上昇したりします。

これがいわゆる「ストレス反応」です。

これは狩猟時代の名残と考えられており、「獣を見つけた際に瞬時に体を動かしやすくする」

「出血後にすばやく血を凝固させる」といった点が獣相手にはプラスに作用していました。

しかし、狩りをしなくなった現代においてはマイナスにしか作用しなくなって

しまっているのです。

ストレス反応の対象は獣から「仕事や人間関係におけるプレッシャー」などに変わりました。

しかし、反応そのものは、私たちのDNAに組み込まれたままとなっています。

そして、これらのストレスが一度に複数重なると「キラーストレス」となり、

私たちの体は変調をきたしてしまいます。

 

本来、人間は生活する中で、活性酸素が発生したり、細胞を傷つけてしまうものを取り入れてしまいます。

しかし、それらがすべて細胞が変質し癌化しないように、修復する機能を持っています。

しかし、ストレスホルモンは、その修復をストップさせてしまいます。

つまり、ストレスが多いと傷ついたままになってしまいます。

例えば卵子でしたら、老化させる物質にさらされても、修復する機能があるにもかかわらず、

ストレスの影響を受けると卵子の劣化に歯止めをかけることができません。

 

 

不妊治療前からすでにストレスいっぱいだったら

仕事をしている場合、ストレス度は85%の方が感じる時代です。

仕事の内容、人間関係、に加えて、女性でもハードワークです。

不妊治療を始める前から、すでにストレスがたくさんかかり、

体調を崩されている場合はいろいろな症状が出ているはずです。

病気ではないけれど、ちょっとした不調がそのままにされることで、

女性ホルモンも崩れてしまいます。

 

例えば、

・自律神経失調症

・睡眠不足、睡眠障害

・冷え症

・疲労感が増す

・食欲不振、下痢や便秘といった消化不良

・肩こり・腰痛もち

・基礎体温グラフの乱れ

・排卵障害

 

このような症状をもっていたら、ストレスが原因で体が危険信号を出しているじょうたいです。

本来は体は自分の体を守るために様々な反応をしていますが、

ちょっとしたこと、自分のことは後回しにしてしまうと、

妊娠に深く関係している内分泌系にも大きな影響がでます。

そして妊娠しにくい状況となってしまいます。

また免疫系にも作用して精子や受精卵を異物として攻撃しやすくなるといわれております。

検査をしてみると、抗精子抗体をもっていたりといった状態となっているのです。

 

精神的な疾患が潜んでいる場合もありますが、精神科を受診して治療しても、

根本的な解決にはなりません。

もともと、心が病むようにいたった思考の癖や感情のコントロールの仕方を

行って整えていくことも同時にしていくことが大切です。

 

 

不妊治療を始めてさらにストレス増

不妊治療を始めると、子どもを作るといった、とってもナイーブな部分に医師が介入してきます。

二人だけの時はそれほど気にならなかったことが、

タイミング療法など始めたとたん、セックス回数が明らかに減っていくという事がおきます。

その割合は、人工授精・体外受精と進むごとにさらに減ってしまうようです。

ステップアップして、体外受精などを行うと、

妊娠できるかも!そういう期待と、もしダメだったらとおもう期待と不安とに

心は大きく揺れ動きます。

また、なかなか人には相談できずに抱え込んでしまったり、

初めは夫婦で協力し合おうとしていたのが、不妊治療期間が長くなればなるほど、

お互いの考え方や気持ちの温度差に喧嘩も増えてしまいがちです。

不妊治療のストレスは、その治療をした人にしかわからないという面もあります。

性格的には、頭が良くて真面目で、1つのことに熱心になりすぎてしまう傾向がある人ほど、

不妊治療に対しても固執する傾向が強いといわれています。

妊娠したくて行う治療で、ストレスを強く抱え込むことは

卵子の質を下げ、女性ホルモンのバランスを崩してしまい、

みずから妊娠率を下げてしまいます。

ストレスをしっかり対処していくことで、体調を整えていきましょう。

 

知っておきたいストレス対処法

妊娠するためには、ストレスとうまく付き合う事はとても大切です。

そんな知っておきたいストレス対処法をご紹介いたします。

 

運動することのすごさ

カナダのウエスタンオンタリオ大学は、心筋梗塞の患者22人を対象にある研究をしています。

心臓病の人は、健康な人よりも自律神経が2割ほど興奮(ストレス反応)しています。

しかし、6カ月間にわたり運動をしてもらったところ、自律神経の値は正常になったといいます。

このメカニズムの一因として、

「運動が脳の構造を変える」ことがあると研究チームは指摘しています。

ネズミを使った動物実験によると、

運動をしたネズミは扁桃体と自律神経をつなぐ「延髄」と呼ばれる神経細胞に変化が見られています。

運動をしないと延髄の神経細胞の突起が増え、

扁桃体の情報が延髄を介して自律神経に過剰に伝わり、興奮につながります。

運動をすると突起が減るため、ストレスに扁桃体が反応しても、

自律神経に伝わりにくくなります。

また、延髄を経由して副腎からストレスホルモンが分泌されるため、

ストレスホルモンの低減も期待できるとしています。

このように、神経にも変化を起こすには、定期的に運動をすることが必要とされています。

 

ストレスにどう向き合うか

そして、もっと大事な事として、ストレスとどう向き合っていったらよいのか

という事があげられます。

ストレスが体に良くないことはわかっているし、

すでにウォーキングなら、妊活を始めてから取り入れていると思われているでしょう。

私たちは現代では、生きていれば、仕事もすれば、何かのコミュニティーに属して

常に何かにストレスを感じずには過ごせなくなっています。

 

しかし、ストレスだと認知するかどうかは人それぞれ違いがあります。

同じ状況においても、人それぞれ違う反応を示すという事です。

それには、情報を認知して処理する部分に大きな違いがあります。

なので、どう認知してどう反応するかを変えていくことで適した

ストレス対処ができるようになっていきます。

実際に、認知行動療法を用いることで、妊娠率を88%上げることが

アメリカの不妊研究で報告されています。

 

ストレスがたくさんあると、卵子の質は下がり、受精卵も定着できなくなります。

妊娠するために本当に必要なのは、受精卵が定着できる力です。

カウンセリングを行ってきても、

みなさんに重点的に取り組んでいただくのはメンタルコントロールの部分です。

もちろん、それだけで妊娠するわけではありませんが、重要な部分にはなります。

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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