妊娠しやすい身体をつくる 7つの骨盤股関節ストレッチ

妊娠しやすい身体をつくる 7つの骨盤股関節ストレッチ

心地よい 女性

赤ちゃんが欲しいと思われましたら、妊娠しやすい体つくりが必要です。

緊張して筋肉や体がこわばっていては、血の巡りが悪くなり、卵子の質が劣化してしまいます。

そのため、副交感神経が優位になるリラックスした状態を手にいれたいところですね。

ストレッチには緊張を緩め、妊娠しやすい身体をつくる効果があります。

ちょっとした時間に取り入れてみてはいかがでしょうか?

ストレッチと不妊体質改善との関係、どういったストレッチがよいのかを効果を出すためのコツなど

エビデンスとともにご紹介していきます。

 

ストレッチの効果

筋肉は縮むときに力を発揮します。ストレッチは伸ばす動きが中心となります。

いつも力がかかり、縮こまっている筋肉を伸ばすことで、

スムーズな曲げ伸ばしが出来るようになっていきます。

筋肉は使っていないと衰え、弱くなります。

弱った筋肉の周りには脂肪がつきやすいため、太りもします。

ストレッチでしっかり動かすことで、筋肉が伸び縮みし、しなやかな状態を保つことができます

 

筋肉には速筋と遅筋の2種類があります。

私たちは素早い動きを担当する「速筋」と、

持続力のある動きを可能にする「遅筋」を組み合わせ、いろいろな動作をしています。

速筋と遅筋をバランスよく動かすことで、より体の機能を高めていくことができます。

 

ストレッチを行う事で得られるのは、リラックスできるという点です。

全身のストレッチを30分程度行い、その前後で脳波や自律神経活動がどのように働いているかを測定する実験では

前頭葉で発生するα波の増加や心拍数の低下が認められ、

ストレッチには副交感神経の働きを優位にさせ、

リラクゼーション効果をもたらす働きがあることが明らかになりました。

 

妊娠しやすさと自律神経を整える重要性

心地よさそう 女性

自律神経が乱れると、交感神経が優位になり、血行障害がおこります。

血行障害によって冷えが発生します。体が冷えると筋肉が硬くなり、血行がさらに悪化します。

そのため、子宮がうまく収縮できず、本来お産が進むに連れて強くなるはずの陣痛が、

強くならない可能性があります。

陣痛が弱いと子宮口が順調に開かず、

出産に時間が掛かってしまうなどの影響が出る可能性が示唆されているようです。

また、妊婦を対象とした冷え症の調査や研究は,論文数も少ないため実態調査が多く

妊娠前冷え症であった女性は妊娠後も冷え性を訴える事も多くマイナートラブルを抱え

る傾向が強い事がわかっています。

妊娠しやすさには、自律神経を整えていくこと、リラックスして副交感神経を

優位にしてあげる事が大切になります。

それに、ストレッチはとても効果的にもなります。

 

骨盤のゆがみと血行不良で不妊体質

骨の歪みの原因も筋肉です。例えば、骨盤のゆがみが不妊の原因ともいわれています。

骨盤のゆがみによって、血行が悪くなり、卵巣や子宮の機能が衰えていきます。

そういった骨盤のゆがみも、本来は骨が歪んでいるのではありません。

体の仕組みでは、骨を囲むように複数の筋肉がついています。

このつき方に偏りがあったり、使われない部分が多いと、

骨が正しい位置を維持できず、骨格の歪みを招いてしまっているのです。

そのため、バランスの悪さから歪みを生み出してしまうという事ですね。

ゆがみによって血行不良がおきるようになると、生殖器の血流循環が悪くなり

血液によって運ばれるホルモンもバランスを崩しやすくなります。

ホルモンは赤ちゃんが授かるように受精や着床妊娠の維持などにも関わるため

血流が良く卵巣や子宮の機能が良い状態を維持できるようにしてあげたいですね。

ストレッチで筋肉同士のバランスを調整し、

体全体のフォームを整えることで、偏りがなく体をリセットし、妊娠しやすい身体をつくっていきましょう。

 

妊娠しやすくストレッチによる血流改善の効果

電気通信大学の堀田一樹博士らによる研究プロジェクトでは、

1日30分のストレッチを週5回、4週間にわたって高齢ラットにさせたところ、

骨格筋において細動脈の血管拡張や血管形成が促され、血流が増えたことが報告されています。

この研究プロジェクトでは、実験結果について

「微小血管における順応が、ストレッチを通じて動く筋肉の血流改善に寄与しているのではないか」

と考察しています。

 

血管が広がったり、血管の形成が促されるという点、さらには、血流が増えている

というのは、妊娠しやすさにつながります。

妊娠に関わる重要なエストロゲンやプロゲステロンをはじめ、性ホルモンは

血液を介し運ばれるため、血流が悪い状態では不妊リスクが高まるのです。

また細胞が元気な状態を維持していくためには血液から酸素や栄養が運ばれ循環している

事もとても大切なことなのです。女性は、生理後から排卵までの増殖期に子宮内膜が厚くなり、

また子宮内も血流がよくなります。卵巣の血流がこの時に悪いと卵子も育ちません。

日頃から体を動かしたり、こまめにストレッチをしておく事も大切でしょう。

 

ストレッチは長期的にみると筋肉によい

ストレッチには長期的にみると、運動のパフォーマンスをあげる効果があることがわかったり、(1)

定期的なストレッチを行っていることで長期的な筋力を改善する効果もあるようです。(2)

ストレッチによる効果は、ストレッチによって筋肉が傷つくと、逆に

修復能力が高まり筋力が高まるという事のようです。

無理なストレッチや運動後のストレッチは不要なので、

小まめに手軽にできる程度に行っていることで良い効果を得られそうです。

 

ストレスを軽減し妊娠しやすくしてくれるストレッチ

ストレスも不妊リスクの一つになります。

ストレス度が高いほど、妊娠率を低下させるという研究は多々あります。

また、日常感じているストレス、慢性化したストレスも不妊リスクを高めている事もわかってきています。

ストレスを抱えているほど、睡眠の質が低下してしまいます。鬱々としてくると

睡眠障害を招きやすいですよね。

そのため、睡眠の質が低下し寝て起きても、朝から疲れているとか、

日中より疲れやすいといったことがおきてきます。

そういった疲労回復にも効果的なのがストレッチになります。

私たちの体に疲労回復も疲れが残るのも、疲労感を左右しているのが自律神経です。

この自律神経は疲れやストレスを回復させるために、副交感神経と交感神経の2つがバランスをとりながら、

生活リズムを整えてくれています。

ストレス軽減や、睡眠の質を高める、疲労回復にも有効なのがストレッチです。

睡眠と不妊についての研究も多々あり、どうやら女性の体の中の卵子という細胞は睡眠時に分泌される

成長ホルモンやメラトニンといったホルモンによって修復されたり数を維持しているようです。

睡眠の質が低下しているほど早期に卵子が劣化してしまうのです。

 

ストレッチの効果を出すための5つのルール

1、無理をしない

誰でも、急に過度な負荷をかけると、筋肉を傷めてしまいます。

ムリをしても長続きしません。

ストレッチの正しいやり方を確認しながら、

ゆっくりと「イタ気持ちいい」程度まで筋肉を伸ばしましょう。できる範囲で進めていきましょう。

いきなり痛いところまで伸ばすとかえって筋が固まってしまいます。

最初の5~10秒は体が適度に伸びるためのウォーミングアップだと思っていましょう。

伸ばしたい部分を意識しながらゆっくりと、時間をかけて、20~30秒かけて伸ばしていきます。

痛気持ちいいくらいの強度がベストです。

 

2、温まった状態で行う

ストレッチを始めるときは、体を温めた状態で行うと効果的です。

お風呂上りや、朝のベッドの中、軽い運動の前後など、

体が温まった状態でストレッチを行うと筋肉が伸びやすく、

柔軟性が高くなります。

身体が冷えた状態、寒い時期にストレッチを急にはじめると、

筋肉を痛める危険がありますので気を付けましょう。

 

3、リラックスする

ストレッチでは筋肉を伸ばすとともに、無駄な力を抜いて緩め、

柔らかくしていく働きもあります。

緊張したままではストレッチの効果が実感できません。

伸ばしている場所に意識を集中させ、

その他の筋肉へは力を抜いていきましょう。

リラックスすることも、慣れるまでは難しいかもしれませんが、

徐々に出来るようになっていきます。

 

 

4、呼吸について

リラックスと同様に、呼吸を止めないことが重要です。

基本的にストレッチでは「伸ばすときに息を吐く」ようにします。

息を止めると余計な力が入ってしまい、リラックスできません。

伸ばしながら息を吐ききり、そのあとは自然に呼吸することを

心がけていきしましょう。

 

 

5、続けて行う

ストレッチは続けてこそ効果があるものです。

最初は全くできなくても、毎日少しずつ続けることでだんだん成果が現れ、

効果を実感できるようになります。

いきなり完璧に出来る必要もありません。

無理がない程度に、決めたルールを守って続けることがポイント。

1日、3日、一週間、一ヶ月と、実感が出るほどにストレッチが楽しく

なっていくことでしょう。

 

ストレッチをする際の3つの注意点

NG 女性

痛みがあるときには行わない

股関節のストレッチをするときは股関節周りに痛みがある場合は、

ストレッチは控えるようにしましょう。

痛みがあるということは、筋肉が炎症を起こしている場合が多いため、その痛みを我慢して

ストレットをすることで、炎症をより悪化させてひどくしてしまう可能性が高くなります

痛みがおちつくまではストレッチは行わず様子をみまもりましょう。

またストレッチや筋肉痛が原因の痛みの場合は、数日間は急性の炎症で痛い状態が続く事もありますが、

もし3日間以上続くという場合は一度診察をしてもらった方安心です。

 

痛みを我慢して行うストレッチはしない

痛いのを我慢してストレッチするのは体にはよくはありません。

股関節のストレッチをする方に多いのが、痛みを感じるまでストレッチをしてしまう事。

丁度良いのはちょっと痛いかなでも気持ちいいくらいというところがベスト。

股関節を柔らかくしようとして無理やり力を加え伸ばすというのは好ましくありません。

ストレッチをしすぎたからといって、いためてしまっても思わぬトラブルになってしまうだけ。

もし股関節を柔らかくしていきたいという場合は、時間をかけて徐々に継続で柔らかくしていきましょう。

特に体の硬い人という場合は、はやく効果を出したくてつい頑張ってしまうので気を付けたいですね。

適度が一番です。やりすぎないように気を付けながら取り組めば、

ストレッチによる効果はちゃんと期待ができますよ。

 

反動をつけてのストレッチもしない

反動をつけて一瞬だけぐっと力をいれて限界以上に伸ばすようなストレッチはやめましょう。

一瞬だけ反動を使って伸ばしたとしても良い効果が持続するわけではないのと、

けがをするリスクが高まってしまいます。

股関節まわりは、継続的に伸ばしていく事で柔らかくなっていきます。

一瞬だけ伸ばすスというトレッチでは繰り返しても柔らかくはなりません

ちょっと痛いけど気持ちいい所まで伸ばして30秒ほどキープをするなどして、

丁寧に時間をかけて伸ばしていく方法が最も効果的となります。

また、反動をつけて勢いで伸ばしてしまうので、度を越した場合、傷めてしまう可能性も高まります。

焦って、急いで取り組んでも、良い結果には結び付きにくいものです。

 

妊娠しやすく骨盤と股関節まわりのストレッチ7選

ストレッチ

では、いったいどういったストレッチが妊娠しやすさにつながっていくかみていきましょう。

 

太もものストレッチ

股関節は太ももの筋肉によって大きく動きます。

まずは太ももを柔軟にし、股関節の動ける範囲(可動域)を

ゆっくりと、少しずつ広げていきましょう。

 

内ももを伸ばすストレッチ

床に座り、膝を曲げて両足の裏を合わせるようにしましょう。そして、

両膝を床に押し付けるように押しながら、その姿勢を30秒ほどキープします。

 

太ももの前面を伸ばすストレッチ

  1. 正座の姿勢から脚を外側にずらす。
  2. ゆっくりとお尻を床につけ、30秒キープ。

普段、股関節を意識することはなかなか難しいので、

最初は感覚がつかみにくいかもしれません。

力の強さを調節して、ゆっくりと続けて行きましょう。

股関節のストレッチは、コアマッスルの活動にも効果があります。

 

 

 

背中とお腹を伸ばすストレッチ

股関節と一緒に、骨盤を覆っているのが腹筋と背筋です。

コアマッスルの多い、腹筋と背筋のバランスを整えることで、

赤ちゃんを育てるのに必要な、骨盤をしっかりと支えることが出来ます。

猫背や腰そりなどの姿勢の改善にも効果的です。

 

背中とお腹を伸ばすストレッチ

頭の後ろで軽く腕を組み、息を吸いながらゆっくり後ろに反るようにしていきます。

今度は逆に、手を頭の後ろにあてて背中を丸め、息を吐くようにします。

そして、初めの動作でお腹を伸ばし、次の動作で背中を伸ばしていくようにします。

椅子に座ったままでも簡単に出来るストレッチですので、

仕事の合間のちょっとしたリラックスに、テレビを見ながらでも可能ですよ。

体の芯の緊張をほぐし、短時間でのリフレッシュにとても効果的でしょう。

 

股割りストレッチ

股割りとは、開脚前屈のこと。脚を前後・左右に開ききるストレッチです。

相撲やテコンドー、ダンスやバレエ、フィギュアスケート、体操選手なども必ず行うストレッチです。

股関節を柔軟にすることで、骨盤周辺の卵巣や子宮といった器官の

血流も改善されていきますよ。

いきなり股割りを行うと傷めるリスクがありますので、

まずは、全身や太もものストレッチを行った後で股割りをしましょう。

 

脚を前に出して座り、両脚を痛みを感じない程度に無理なく開きましょう。

次に、右足のつま先に手を伸ばす感じで上体を倒していきます。左足は内側に曲げてくださいね。

今度は変えて、左足も同様に行いましょう。

両足を無理なく開き、体を前に出来るだけ倒していくようにしていくのがポイントです。

 

妊娠しやすいセックスのためのストレッチ

男女 ベッド

股関節の筋肉が固くなればなるほどセックスの時に痛みを感じて、

セックスの回数が減ったり、セックスで快を得ることが難しくなります。

セックス中に痛みを感じたり、気持ちよくなれない、

オーガズムを感じたとこすらないという女性は意外に多いようです。

女性300人に聞いたアンケートでは、

なんと89%の女性がセックス時に痛みを経験したと答えているようです。

妊娠したいのに、セックスが苦痛・・・。

セックスレスも解消しないといけないと分かっているけれど、

どうしていったらよいのかわからないという場合、

まずは、心地よさを感じられる体に整えていくことも大切な妊活といえます。

 

性交痛みの原因に筋肉のこわばり

性交痛の痛みの原因にはいろいろありますが、

セックスの挿入時に膣の入り口付近が痛む場合は、

十分に分泌液が分泌されずに「濡れていない」ことが原因である場合がほとんどです。

骨盤周りの筋肉が固くなり血行が悪くなると濡れにくくもなります。

濡れているときに出てくる液体は膣分泌液と言われています。

膣壁の粘膜から分泌される液体が主成分です。

膣分泌液は女性が性的に興奮すると分泌されます。

膣分泌液は膣内の酸性度を下げるため、

たくさん出れば出るほどアルカリ性である精液が子宮内に侵入しやすくなり、

卵子に届く可能性が高まり、妊娠しやすくなる仕組みを持っています。

そんな膣分泌液は多い人では100ccも出るそうです。

しかし、筋肉が固くなり、血行も悪くなっていると、感度も悪くなり分泌液も出にくくなります。

また、挿入されたときに奥の方が痛いという場合は特に筋肉が固くなって

しまっていることが原因になるそうです。

股関節周りを緩めて、血行を良くするストレッチなどを取り入れたり、

筋肉の緊張を解くようにリラックス習慣を取り入れていきましょう。

 

骨盤周りを緩めるストレッチ方法

まず床に座わるようにします。

膝を立てて、体育座りのように座わります。

次に、両膝を開きます。

ゆっくり息を吐きながら、つま先を両手で持って、体を前に徐々に倒していきます。

決して勢いをつけないで行うようにしましょう。

無理はせず、気持ちが良いと感じるところで止めてあげます。そして、息を吸いながら、ゆっくりと体を起こします。

この動作をゆっくりと数回繰り返して行っていきます。

 

日頃から股関節周りを整える習慣を

デスクワークの長さは妊娠力を低下させるという研究(3)があります。

運動不足を改善したり、デスクワークの時間を少なく小まめに体を動かすようにすると

細胞のDNA遺伝子の末端を保護しているテロメアという細胞分裂に関わるものが

長くなるという2014年スウェーデンの研究(4)もあり、

体をこまめに動かしている事、ずっと座りっぱなしを解消していくことで健康的な体

作りにつながっていきます。

30分に一度は体を動かし、立ったり歩く、そしてリラックスができるストレッチなども

取り入れるようにしていきましょう。

 

まとめ

筋肉のこわばりを解消し、ゆっくりと弛緩させることで、筋肉のバランスや骨格のバランスを整え、

卵巣や子宮への血流を改善し妊娠しやすい体質をつくっていかれます。

ストレッチは、継続していくことで効果が出てきます。ゆっくりと、楽しみながら行っていきましょう。

 

参考文献

(1) 2004 Sep;14(5):267-73.Does stretching improve performance? A systematic and critical review of the literature.

(2) 2007;37(3):213-24.The effects of stretching on strength performance.

(3)The impact of sedentary work on sperm nuclear DNA integrity.Gill K et al.,Folia Histochem Cytobiol. 2019 Mar 14.

(4)Sjögren P, Fisher R, Kallings L, et al.
 Stand up for health–avoiding sedentary behavior might lengthen your telomeres: secondary outcomes from a physical activity RCT in older people.
 Br J Sports. Online First, published on September 3, 2014.doi:10.1136/bjsports-2013-093342.

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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