原因不明不妊症ピックアップ障害からの自然妊娠へ

原因不明不妊症ピックアップ障害からの自然妊娠へ

原因不明の機能性不妊 ピックアップ障害が増えています。

原因不明の不妊症は、あらゆる医学的な検査をおこなっても

原因がわからないという不妊症です。原因不明の不妊症は

全体の15%程度といわれています。

1人目は何もなく妊娠出産できたのに、その後二人目は不妊で悩み、

治療を行っても結果が伴いにくいというケースもあるようです。

 

原因不明不妊の女性は有意にストレス度が高い

医学的に原因不明という場合は、

不妊に影響を与える体の不調、仕事のことや、人間関係のこと

そしてほとんどがメンタル部分の影響が大きく出ます。

全ての病気のもとは1つのネガティブな思考から始まるストレスであると

医学的にも解明が進んでいます。ストレスによって

性ホルモンの分泌や、子宮環境への悪影響などもあるので、

侮れない部分になります。300人の原発性不妊の女性を対象に

ストレス度を調べた研究では(1

原発性不妊の女性は優位にストレス度が高かったと報告しています。

女性のストレスの有病率は80%にものぼりっています。

そして、その中でも原因不明不妊の割合は、15%程存在していました。

 

結婚生活の長さや不妊歴の長さも影響

さらに単変量解析により、

ストレスの原因となっているものが、結婚生活年数、不妊症の期間、

不妊症の種類、婦人科手術の履歴、性交時および子宮内授精による排卵誘発のサイクル、

現在および過去の精神医学的罹患率、対処困難だと感じいる度合い、

婦人科診断、および月経前不快感の重症度などでした。

5年以上の結婚生活を経験している場合、または、

5年以上の不妊期間を持つ場合にストレス度は高まっています。

結婚生活が長くなり、さらに一人目の子供の子育て、そして

次の妊活と仕事との両立などを考えると、原因不明不妊は

2人目不妊として起こりやすい条件は整いやすいと言えるかもしれません。

夫婦関係をよくしたり、夫婦間の不満の改善には家事を分担する

とよいとも言われています。特に、価値を見出しにくい食器洗いなどを

夫に分担してもらった場合、女性の満足度は高まる傾向にあるようです。(2)

日頃の生活の中でも支え合いましょう。

 

ピックアップ障害とは

排卵から受精して、着床して妊娠成立という一連のプロセスの中、

最初の段階である「受精」では、

精子と卵子との出会いが必要です。

膣内に射精された精子は子宮内を通過して卵管へ進み、

卵巣から排卵した卵子は卵管采から卵管内に取り込まれます。

卵子と精子が待ち合わせをして、デートをするように出会うと受精になるのですが、

うまく出会えていない事が一因となっています。
この原因となるのが、

排卵した卵子を卵管内に取り込む仕組みに不具合がうまれる

つまり「ピックアップ障害」という問題がおこるのです。

もし卵子持と精子が出会えないとすると、

精子は待ちぼうけをくらい、排卵した卵子もどこかへいってしまい

妊娠が成立しなくなります。卵管采からうまく卵子がピックアップ

されているかどうかというのは、検査することができません。

そのため、原因不明という場合は、このピックアップ障害が考えられます。

 

ピックアップをサポートするカフェイン

このピックアップは、カフェイン摂取がサポートしてくれている

という研究もあります。コーヒーに含まれるカフェイン

ポリフェーノール同様細胞にとって抗酸化作用になります。

人工授精を受けている女性では、1日に1〜5杯のコーヒーを飲む女性は飲まない女性に比べると

妊娠、出産に至る確率が1.5倍も高くなり、一方で、体外受精や顕微授精を

受けている女性ではコーヒーの摂取量と治療成績には

特に関連が見られないという1708名の女性を対象にした

オーフス大学の研究チーム(デンマーク)(3)で実施された

研究で明らかにされています。

カフェインが卵管の繊毛の働きを刺激してくれて、

卵子のピックアップ(排卵後の卵子の卵管への取り込み)や輸送の機能に良い働きを

してくれているのではと推測しています。

 

不妊診断、繰り返される検査、妊娠しないにストレス

自然に妊娠をしようと試みている夫婦よりも、生殖医療の手助けを

うけて妊娠しようとする夫婦の方がストレス度がより高くなる

傾向があります。病院に行ってみて、検査をしてみて、できる治療法を

試していても妊娠しないということに強いストレスを感じていきます。

検査してもわからない、結果もでない、そんな状況が、どんどん

毎日の生活をおくっていく上でもつらく感じたり不安を抱くようにも

なってしまいます。夫婦生活そのものにも不満を感じてしまう事も

あるでしょう。子供ができないこと、原因不明不妊で悩むことは

女性を精神的にかなりつらい状況に追い込んでしまいます。(4

そして、それらがさらに、妊娠しにくいようにも働きかけて

悪循環をおこしてしまいます。原因不明不妊では、

妊娠しやすくしていくために、精神的なストレスを軽減していくための

取り組むが必要になります。

 

ストレスによって卵子や不妊治療成績にも影響

不安のレベルがたかく、アドレナリン、ノルアドレナリン、

コルチゾールといったホルモン濃度が高い場合では、

受精卵母細胞、移植胚、着床率、IVF妊娠の両方の割合が低下してしまいます。(5)

妊活をしていたら、いったいいつ妊娠できるのだろう、

いったいいつまでこの生活を続けたらいいのだろう、

ずっとこのまま妊娠できなかったらどうしようといった不安を強く感じて

しまいます。常に不安と隣り合わせの生活になってしまいます。

さらに、治療をしたら期待する分、結果が出ない時の落ち込み度は

ジェットコースターに乗っているような気分になってしまうものです。

そのたびに、生殖にとっても不利になってしまって、八方塞がりのような

感じになってしまいますね。

子どもがいない自分はダメだと責めてしまいたくもなりますし、

女性としても機能していないのではないかとか、体や自分への

イメージも悪くなってしまいやすいので、自分への思いやりを

欠かさないように接していってあげましょう。

 

妊娠という領域に医学的な限界

ピックアップ障害の原因と治療方法が確立されていれば、

しっかりと治療を受けるとよいでしょう。

でも、原因がわからないという場合は、不妊治療をしても、なかなか授からず、

妊娠しても流産も多く、出産に至らないケースも増えているのが現状です。

一方で、ストレスの軽減や治療をやめたら絶対に無理だと

言われていた自然妊娠に戸惑いと喜びを体験される

ご夫婦もたくさんいらっしゃいます。

カウンセリングなどの精神的なサポートの必要性も言われている部分で、

不妊という問題は、人生において影響が大きく、精神的に負担が

かかってしまう問題となっています(6

 

心トラブル、プレッシャーや不安や悲しみつらさといったものや、

妊娠できないという思い込みから解放されたり、

精神的ストレスに対処できると、妊娠しやすさは改善して妊娠率が

高まります。ストレスは、自覚がない場合もあれば、

はっきりとうつ病や不安障害など精神的な疾患の診断が

つく場合がありますが、ほとんどは心理的サポートを受けていない

場合も多く、不妊ストレスは見過ごされてしまっています。

 

心も体もホルモンや自律神経を介して密接につながっているのが私たちの体です。

心の緊張は、体の不調と相関関係があります。

 

妊娠率を高めるには、心へのアプローチを重視していきましょう。

妊娠率が高まることもわかっていますよ!

そのために、日頃から自分でできる自己思いやりケアをしていきましょう。

詳しくは⇒こちら

 

参考文献

(1). 2016 Jan-Mar; 9(1): 28–34.doi: 10.4103/0974-1208.178630Prevalence and predictors of infertility-specific stress in women diagnosed with primary infertility: A clinic-based study

(2)Reference:New York Times, TIME,
https://www.nytimes.com/2014/02/09/magazine/does-a-more-equal-marriage-mean-less-sex.html?_r=1

(3)July 2019Volume 112, Issue 1, Pages 120–129.e2 Impact of female daily coffee consumption on successful fertility treatment: a Danish cohort study

(4) McQuillan J, Greil AL, White LK, Jacob MC. “Frustrated Fertility: Infertility and Psychological Distress Among Women” Bureau of Sociological Research – Faculty Publications. Paper 13. 2003. [Last accessed on 2015 Apr 28]. Available from:

(5)Csemiczky G、Landgren BM、Collins AActa Obstet Gynecol Scand。2000 2月; 79(2):113-8。

(6)Kobasa, S. C. (1979). Stressful life events, personality, and health: An inquiry into hardiness. Journal of Personality and Social Psychology, 37(1), 1–11. https://doi.org/10.1037/0022-3514.37.1.1

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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