ペリネイタルロス死産や流産による心の傷をいやす心のケア

死産や流産後の妊活はかなり不安!心のケア必須

不妊落ち込む女性

死産・流産による子供を亡くした親の心の傷が問題になっています。

ペリネイタルロスのケアをしっかり考え、専門家に相談しておくことが、

心の傷を早くに癒しておくことが、次の妊娠へのステップに

つながります。

近年増加している周産期の子供の死亡ペリネイタルロス、流産体験を

見つめ、あなたが早くに妊娠していかれるようにしていきましょう。

 

ペリネイタルロスとは

先天性疾患などや、原因がわからない死産や、

生後1カ月以内に亡くなる赤ちゃんは年間約2万3千人にも上っています。

流産も全妊娠の15%前後とされるほど、経験するする人が多いものです。

近年、晩婚化、妊娠年齢の高齢化に伴い、流産・死産を経験しながらも、

不妊と向き合うご夫婦も増えています。

こうしたペリネイタルロス(周産期の子どもの死亡)を経験したご夫婦の

心のケアも医療者の大切な役割であるとされています。

そして、近年は看護学生の教科書に掲載されたり、医療者向け研修会が開かれたりもしていますが、

ただ病院によっては態勢が整っていないケースも多く、

また日常の業務におわれてしまい、配慮に欠いた対応になってしまう事もあります。

当事者からすれば、医療者の対応にひどく傷つき、

ショックから立ち直れないご夫婦もいらっしゃいます。

ペリネイタルロスについて、心のケアがいかに大事となるかみていきましょう。

 

病院での対応に傷つくご夫婦もいます

病院対応によって、その後に心に傷が残ったりもします。

死産は、両親としては、本当に望んだ待望の赤ちゃんだけに、

それを受け止め、前向きになる事はとても困難だと思われるかもしれませんね。

そんな際、医療者の対応がさらに、ご夫婦を苦しめるものになったり

してしまうようです。

病院によっても、死産や流産のケースはまれではなく、

業務的な対応になってしまったりもしてしまうのかもしれません。

また、病院でも深夜といった場合だと、どうしてもスタッフの配置人数から、

心温まる行き届いたケアを提供するという事が難しい場合もあるでしょう。

それでも、本人からすると、大事な赤ちゃんを失った悲しみは

計り知れなく、そっと寄り添ってもらうだけでその後の心の持ち方が変わったりもします。

そのため、死産または新生児死亡後の妊娠中のメンタル的な改善に向けて、

心理的支援の価値が強調されています。(1

 

流産による悲しみとつらさ

妊娠する前は、自分が妊娠できるかすら分からず流産すらしたことのないことに不安がありました。

しかし、これから流産を体験するとかと思うと「流産すらしたことがない」なんて

どれほど幸せな話だったのかと思い知らされます。流産なんて、したくありません。

こんな経験、したい人なんていないでしょうが流産なんて、できれば一生したくなかった。

引用 悲しい検診

流産も妊娠初期(妊娠12週)までにおこるものは8~9割あり、

ほとんどが染色体の異常と言われています。20代でも流産率は10%~15%ほどあり、

40代になれば40~50%近くに高まります。

流産は、繰り返すとさらに次の流産確率は高まり、不育症などでも悩むことが増えます。

赤ちゃんをやっと授かれた喜びから、突然赤ちゃんを失う悲しみと苦しみは

女性の心を深く傷つけます。でも、それにおいて、適切なサポートが受けられずに

精神的につらい思い出次の妊活をしている状況になっています。(2

 

流産による悲しみをどう乗り越えていったらいいのか困る

悲しいのと手術の不安でいっぱいです。

丁度友人や隣人が、妊娠・出産ラッシュ。何で私だけだめだったんだろう、と。。。
自分が醜いと思いつつ、日増しにお腹が大きくなるお隣さんをついつい睨んでしまいます。
流産は15%くらいと聞きますが、私の周囲のだれに聞いても、流産した人なんて
全然いないんです。
周りの人をうらやましがってばかりいる未熟者だから、赤ちゃんがいやがって
逃げちゃったのか、と、ますます悲しくなります。。。

引用 流産で悲しい

 

 

流産後すぐにはそれを受け止めることができませんが、稽留流産のような場合は、

体の中に残しておくこともできず、手術が必要になる事があります。

悲しみと手術に対する不安も押し寄せてきます。

また流産はその後手術をしても女性の心の傷つきは簡単に癒えてはいきません。

長い場合は、1年2年、もっとかかる場合もありますし、

状況によっては夫婦関係も不仲になっていってしまうというケースもあります。

なんで、なんでと自分を責めてしまう事もあるでしょうし、失った喪失感から

中々立ち直ることができずに落ち込んでしまう日々も続きやすいため、

そういったストレスが次の妊娠しにくさにつながって悪循環をもたらしてしまいます。

 

流産や死産後のストレスや不安がさらなる不妊の原因に

流産や死産を経験すると、ひどい悲しみに加え、

次の妊娠へ向かう気持ちになれない、妊娠してまた失ったらと

思うと次に襲ってくる恐怖心も乗り越えていかなくてはなりません。

流産・死産を経験した時の病院・医療者の対応がその後にまで

大きく影響することはもちろんですが、

あなた自身も、その後の心のケアを大切にしていくことの重要性を

知っていてほしいと思います。

強いストレスは、不妊の原因になってしまいます。

失った悲しみは、時間と、次に授かった命が癒してもくれるようになります。

前向きに進めるように専門家の相談を受けることが大切です。

繰り返す流産、不育症の原因は6割が原因不明です。

そのほとんどが、精神的ストレスが原因ではないかといわれています。

 

 

死産を経験したクライアント様

クライアント様で、死産を経験し、その後うつを患ったクライアント様が

カウンセリングにいらっしゃいました。

死産を経験している方は、ずっと心の中にその時の事のショックや

自分を責める気持ちにさいなまれてもいます。子供が欲しい一方で、

授かっていくことへの恐怖感ももち、精神的に落ち着けずにもいます。

なので、流産や死産を経験した場合は、その後に精神的につらい

苦痛を経験し、さらに次の妊娠にも影響が出るのを回避するための

心のケアが必要になります。

ゆっくり、ゆっくり、お話を聞きながら、

カウンセリングの回数を重ねる中で、考え方や、物事のとらえ方にも

変化が出てきて、40歳ですが子供を授かり、無事出産されました。

もちろん今も元気な男の子で育っています。

次の妊娠につなげるには、クライアント様にそっと寄り添い、

心を癒しながら、心と体を整えていくカウンセリングの必要が言われています。(3)

 

死産や流産によって喪失体験をすると次の出産に影響

死産による子供の喪失や、繰り返される流産によって、

女性はその後にかなりの精神的苦痛を体験します。その後に

強い不安や恐怖心も抱き、何かの形で対処しようとしますが、

次の妊娠出産にも影響がでてきます。

特に、経験している女性は、経験していない女性に比べて、

悲嘆および不安抑うつ症状の有意に高いスコアを報告しています。(4

それによって、生まれた子供との愛着形成にも影響がでる重要な予測因子

となっています。産み育てる過程において、女性の心の健康は

とても重要なものになっています。

自分を責めすぎない、思いやりでもって接する事も大切です。

 

テンダーリビングケアの重要性

流産を繰り返し、なかなか妊娠、出産にいたらない場合の外国で取り入れられている

「テンダーリビングケア」をご存知でしょうか?

「テンダー・ラビング・ケア(TLC=Tender loving Care)」とは、

「優しい愛のケア」というような意味です。

その方法は、投薬や外科的な治療ではなく、

“優しく、愛情を持って”患者に接し、そして、いたわるという、

ごくごく単純な治療法にもかかわらず、

日本ではなかなか専門的に、たっぷりと時間をかけて心のケアまでは受けることはできません。

 

このテンダーリビングケアですが、

不育や流産になやみ、出産に至らないご夫婦に行った場合、このケアを受けるか受けないかで、

出産に至る割合が全く違う研究結果が出ています。(5)(6

こちらのケアを受けなかった場合は30%程度しか出産に至らないにもかかわらず、

ケアを受けた場合、86%のご夫婦がそのご妊娠出産に結びついているのです。

 

まとめ

病院の対応や、心のケアが行き届かない問題はのこるものの、

あなたの一生を左右する、赤ちゃんを授かるということ。

病院任せでもいられません。傷ついた心のケアがとても大事です。

大事と思いながらも、目を向けるのはタイミングや体外受精や人工授精といった

不妊治療ばかりになってはいませんか?

卵子や精子をくっつける事ばかりに目を向けていると、

大事な部分がごっそり抜け落ち、受精卵が健やかに育たなくなります。

卵子や精子の質を高めること、受精卵が着床して育つ、心と体が安定した母体を整える事が

今はとても大事といえるでしょう。

参考文献

(1)Parents’ experiences and expectations of care in pregnancy after stillbirth or neonatal death: a metasynthesis.Mills TA, Ricklesford C, Cooke A, Heazell AE, Whitworth M, Lavender TBJOG. 2014 Jul; 121(8):943-50.

(2). 2016; 16: 16.Published online 2016 Jan 25. doi: 10.1186/s12884-016-0806-2

(3)Pages 32-52 | Received 12 Jan 2014, Accepted 13 Jul 2016, Published online: 18 Nov 2016 The impact of miscarriage and stillbirth on maternal–fetal relationships: an integrative review

(4)Pages 240-251 | Received 10 Jan 2009, Accepted 06 Sep 2009, Published online: 20 May 2010 Pregnancy after perinatal loss: association of grief, anxiety and attachment

(5). 2015; 15(Suppl 1): A14.Published online 2015 Apr 15. doi: 10.1186/1471-2393-15-S1-A14Improving support in pregnancy after stillbirth or neonatal death: IMPs study

(6). 1958 Nov; 34(11): 747–756.

愛護的ケア(TLC:Tender loving care)日本産婦人科学会 

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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