妊娠したいならいいの?NG?根拠に基づいた妊活中のコーヒー

妊娠したいならいいの?NG?根拠に基づいた妊活中のコーヒー

コーヒー

妊活中は、カフェインの入ったコーヒーやアルコールの入った

飲み物は控えた方がいいという事で好きだけど我慢される方も多いでしょう。

飲みたいけれど我慢ののしすぎもストレスがたまり良くはありません。

妊活中でも飲めるカフェインを抜いたコーヒーもあり、妊活中も飲むことが安心して飲めるものもありますし、

コーヒーそものも妊娠率を高めているという研究もあります。

男性ではEDにも効果的という驚きの情報も。

コーヒーとの上手な付き合い方とデカフェについてご紹介です。

 

こんなにすごいコーヒーのメリット

コーヒーは妊活中は本当にNGなのでしょうか・・・

コーヒーが持つ意外と良い部分や妊活中には役立つ部分もあります。

エジンバラ大学の研究で、過去のコーヒー研究から218件を精査したメタ解析(1)では、

色々な病気の予防にもなる事が発表されています。死亡率が10%減少、心疾患の減少、

2型糖尿病の予防、がんのリスク減、うつ病にも効果的とのことです。

2008年のハーバードの30年間にわたって13万人分の健康データから統計分析した論文(2)でも、

ガンや心疾患などのあらゆる死因とコーヒーとの関係を調べ、コーヒーは健康レベルを高める

という事が言われています。

 

 

・肝機能を向上させる

脂肪分解にかかわる酵素を活性化させる働きがあり、

分解された脂肪が体内でエネルギーとして使われるようになるので、

脂肪が蓄積される肝臓においても機能を向上させるようになります。(3

 

・血行促進

カフェインには血行促進の効果もあります。体の中の血行が良くなり

代謝も上がり、老廃物も排出されるようになります。

ホルモンバランスを整えるには、血行が良い事は欠かせませんね。

 

・精神を安定させる

コーヒーを飲む人やコーヒー店で働く人はうつ病になりにくいと言われています。

カフェインによる精神安定作用や、

コーヒーの香りによる精神安定効果もあるのでしょう。

妊活中のストレスを和らげてくれるすぐれものです。

 

・抗酸化作用でアンチエイジング

人間は細胞内で代謝されてエネルギーを生み出す過程で

生じるフリーラジカルにより、酸化していってしまいます。

酸化こそが老化のもとと言われていて、糖化とも関係があるといわれています。

その糖化を改善してくれる効果もコーヒーにはあるようです。(4

その酸化を抑え鵜効果がポリフェノールにはあって、

赤ワイン同様にコーヒーにもたくさん含まれています。

 

・抗炎症作用

コーヒーにはアレルギーなど免疫バランスがの悪化、炎症体質によって引き起こされる

体の中の炎症を落ち着かせる抗炎症作用もあります。

子宮内膜症などをはじめ体のなかの炎症反応は不妊に影響します。

そんな炎症体質をおさえてくれる効果もコーヒーにはあるようです。(5)

 

コーヒーに多い優秀なポリフェノール

コーヒーの中に含まれるポリフェノールは特に抗酸化作用が高く、

細胞の劣化を修復してくれる役割があります。

コーヒーを毎日飲む人は、血管の病気が少なく生活習慣病にかかる率も少ないようです。

血管が健康で血液の流れがよいこと。アンチエイジングできて健康的な体は

やはり妊娠しやすい体つくりともつながります。

妊娠において最も大事なのは卵子・精子といった細胞の質のよさになります。

体の中は常に活性酸素などで酸化していって細胞やDNAが傷ついてしまうのですが、

それを修復したり参加しにくいように関わってくれるポリフェノールが多く含まれる

コーヒーは妊活中だからと言って無理に控えなくてもよい飲み物と言えるでしょう。

 

コーヒーが不妊に良くないといわれるわけ

コーヒーがに妊活中は不向きといわれる部分としては、カフェインという成分になります。

カフェインが体に悪いというのは、刺激物で胃に負担がかかる、

血管を収縮させる、睡眠不足をもたらすといった作用です。

ただカフェインも全く摂取してはいけないというものではなく、量を摂取しすぎると

問題にはなりますが許容量というのもあります。

 

実際のところ、コーヒーにはいったいどのくらいのカフェインが含まれるのでしょうか?

コーヒー100mlあたりのカフェイン含有量は、60mg 程度です。

この量が多いのか少ないのかはピンと来ないと思いますので、ちょっと比較してみましょう。

紅茶は、100mlあたり30mg 、ウーロン茶は100mlあたり20mg、ココアには100mlあたり30mg

他の飲み物に比べてやや含有量が多いようです。

健康的な成人の場合は、カフェインのの摂取量は1日300mg程度と言われています。

コーヒーでは約一日4杯程度は大丈夫

ただ、妊娠を望む場合は目安として、アメリカ生殖医学会で推奨しているガイドラインである

カフェインは、妊娠前も妊娠中も中等量のカフェイン摂取1日100~200mgが良いという事で、

コーヒーだったら、2~3杯まで

飲みすぎなければカフェインも摂取しすぎにならないため、

不妊だから飲んではいけないと過度にひかえすぎないほうがよいでしょう。

 

 

コーヒーを飲む方が人工授精で妊娠率高い?

人工授精を受けている女性では、1日に1〜5杯のコーヒーを飲む女性は飲まない女性に比べると

妊娠、出産に至る確率が1.5倍も高くなり、

一方で、体外受精や顕微授精を受けている女性ではコーヒーの摂取量と治療成績には

特に関連が見られないという1708名の女性を対象にしたオーフス大学の研究チーム(デンマーク)(6)で実施された

研究で明らかにされています。

これは、カフェインが卵管の繊毛の働きを刺激してくれて、

卵子のピックアップ(排卵後の卵子の卵管への取り込み)や輸送の機能に良い働きを

してくれているのではと推測しています。また、カフェインをとる事で黄体期にはプロゲステロンの

分泌が高まるということや無排卵になってしまうリスクも低下すると関連するという報告もあったりするため、

1日に1杯から5杯程度のコーヒー摂取は人工授精での妊娠確率を高めてくれると

結論付けています。

 

1日8杯以上飲むと流産の確率が高まってしまう

ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは1991-2009年に女性看護師を対象に生活習慣と

さまざまな疾患の関連を調査した大規模前向きコホート研究「the Nurese’ Health Study Ⅱ」から

妊娠する前にカフェインやカフェイン入りの飲み物をどれくらい摂取したかと

流産リスクとの関連を解析しています。(7

その結果からは、1日に400mgのカフェインを摂取していた女性は50mg未満だった女性の比べて、

流産のリスクが1.11倍だったことがわかりました。

 

妊娠中に1日8杯上のコーヒーをたくさん飲む女性は流産や死産のリスクが高くなることが、

オランダの大学の調査で明らかにされています。(8

妊娠16週の88482人の妊婦を対象にコーヒーについて調査しています。

お酒やタバコ等のコーヒー以外にも流産の原因になるかもしれない生活習慣についてもしらべています。

その結果、1日に1杯半から3杯飲む妊婦の流産や死産のリスクは3%高まり、

4杯から7杯飲む妊婦では33%、8杯以上では59%も高くなると発表しています。

 

以上から、コーヒーは1日3杯以内にとどめるとよいのではないでしょうか。

 

コーヒーを飲んでいる男性はEDになりにくい

1日に2~3杯程度のコーヒーに相当するカフェインをとると、男性はED(勃起障害)の

リスクを低下させるという事がアメリカの研究で明らかになりました。(9

テキサス大学ヒューストン校公衆衛生大学院の研究者によると、

米国全国健康・栄養調査(NHANES)2001-2004年に参加した20歳以上の男性3,724名を対象に

コンピュータを使ったインタビューでEDとカフェインの摂取量について調べています。

EDのリスクが低下するのは、1日のカフェイン摂取量がコーヒー2、3杯程度だったようです。

カフェインによって男性性器のラセン動脈や筋肉の緊張をゆるませて

血流量を増やすようなはたらきがあるのではないかという仮説をたてています。

男性も、少しコーヒーを楽しむくらいが

妊娠しやすさにつながっているようです。

 

コーヒーが食後の老化を30%も防いでくれる

コーヒーの酸化防止効果は食事で食べたあげものの脂質の酸化を大幅に防いでくれる効果が

ある事がヘブライ大学の実験(10)で、コーヒーとマロンジアルデヒド(MDA)の影響を調べています。

MDAは脂質が酸化してできる成分であるため、この量が多いと老化の大きな原因になってしまいます。

10名の健康な男女を対象にして、揚げ物のビーフカツを食べた群と、

ビーフカツを食べながらコーヒーを飲んでもらった郡とで比較した場合、

コーヒーを飲んだ場合は、平均で血液中のMDAレベルが最大30%も減少したというのです。

高温調理となる揚げ物は酸化させやすく老化が進みやすい食べ物ですが、

それを大幅に減少させられたというのはコーヒーってスゴイという点があります。

コーヒーで消化器系の発がん率が減少するといった研究や(7)、

糖化による老化の指標にもなる2型糖尿病になるのが減少するといった報告(8)もあり、

コーヒーは妊活中も飲んだ方が抗酸化作用が得られるため適度に飲むというのはアリだと言えるでしょう。

 

心配な人はデカフェでコーヒーを楽しんで

デカフェ(Decaf, Decaffeinated coffee)は、

本来カフェインが入っているコーヒー豆からカフェインを取り除いたものです。

カフェインレス・コーヒー、ディカフェ、カフェインフリー・コーヒーと呼ばれることもあります。

コーヒーに含まれるカフェインは夜飲んだりした場合に睡眠に差支えが出たりするので

控えた方が良いのですが、昼間に数杯飲む程度でしたら問題はないですし、

それでも心配、気になるという方でしたら、デカフェがお勧めです。

スターバックスやタリーズなどでもデカフェは楽しめますのでお勧めです。

デカフェでもコーヒーの効果は残る可能性が高く、

2014年にハーバード大学が行った1,109,272人分の観察研究では(11)

1日に6杯のコーヒーを飲む人は糖尿病リスクが33%も減り、その効果はデカフェでも得られる

というものでした。糖化は老化の原因でもあり、コーヒーに含まれるクロロゲン酸によって、

同じレベルの抗酸化作用を受け取る事はできるのかもしれません。

カフェインは気になる、もしくはカフェインは苦手という方でもコーヒーのメリットを受け取るには

デカフェでも大丈夫そうですね。

 

カフェインにもアンチエイジング効果があり

スタンフォード大学の研究では(12)、コーヒーのカフェインには

アンチエイジング効果があるのではという結論です。

健康な20〜30代の若者と、60才以上の高齢者から血液を採取しそれを10年にわたって

比較し若者と高齢者とではどの遺伝子が働いてるのかを調べた結果、

関係していたのがインターロイキン-1ベータっていう炎症物質を出す遺伝子でした。

そして、コーヒーをよく飲むほど炎症遺伝子の活性が低かったようです。また、

生体外実験をしたところ、カフェインには炎症物質をブロックする働きがあることがわかったのです。

カフェインにもアンチエイジング効果があるという事で、

妊活中だからと言って、まったくなしにすることもなく、適度に楽しむのはやはりよさそうです。

 

カフェインによる睡眠への影響も考慮して

カフェインの効果はストレスホルモンの分泌量に合わせて変化しているようです。(13

午前中はストレスホルモンの量が下がり始める午前9時半〜午前11時半の間に飲むのがよく、

午後は、午後12時〜午後1時と5時半〜6時半は再びストレスホルモンの量が上がるので

カフェインの摂取は避けたい時間帯になります。

就寝前は、カフェインの効果は最低でも4時間続くので、寝る6時間前はコーヒーをひかえて

睡眠に影響が出ないようにしたいところです。

そうすると、

午前中の午前9時半〜午前11時半に1杯、午後2時ころに1杯程度がベストな飲み方

になるかもしれませんね。

 

結局不妊治療にも影響なく、コーヒーを飲んでいた方が出産率が高い

コーヒーについては以前はネガティブな要素が前面に出ていましたが、最近では

コーヒーについての研究から健康レベルを高める、また不妊には関係がない、

コーヒーを飲んでいる人の方が出産率がよいなどです。

2010〜2015年のデンマークのコーヒー摂取と妊娠の関係についての2019年の研究では

1708組の夫婦を対象に、人工授精1511周期、採卵2870周期、凍結胚移植1355周期のコーヒー摂取との

妊娠成績を調べています。ART治療(体外受精+顕微授精+凍結胚移植)では、

コーヒー摂取は妊娠成績に影響していませんし、

人工授精では、非摂取群と比べコーヒー摂取群(1〜5杯/日)で妊娠率が1.49倍、そして、

出産率に至っては1.53倍に有意に高くなっています。特に自然妊娠などタイミング療法や人工授精などでは

コーヒーは飲んでいた方が妊娠と出産には有利という方向性です。

 

まとめ

コーヒーは妊活中は避けた方がいいんだってという情報はとても広がっているかと思います。

でも、コーヒーのカフェインにすら妊娠率を高めるような効果があったりもするので

驚きですね。

コーヒーを飲んだ人はその後の妊娠率が飲んでいない方達より妊娠率が高いという報告すらあります。

 

これを飲んだら妊娠できるという飲み物がないように、控えた方がいいものでも、

種類や飲み方に気をつければかえって妊娠率を高めてくれる優秀な飲み物になることもありますよね。

許容量からすると、1日に1~2杯なら妊娠率が高まり、流産率も高まらない程度です。

飲む時間もちょっと考慮してみるとよいでしょう。

何でも適度というのがとても大事なのでしょう。

妊活中ではとっても人気なルイボスティーには今のところ科学的根拠でもって妊娠率を高めたり

卵子を若返りに貢献したといったレベルの研究はありません。

うわさや口コミだけで判断してはもったいないです。

 

妊活中は、ストレスをためやすいものですね。

少しでも、コーヒーで心落ち着けるひと時をお過ごしくださいね。

 

参考文献

閉経前の女性におけるカフェイン、コーヒー、紅茶摂取量および尿中エストロゲンおよびエストロゲン代謝産物 がんエピデミアバイオマーカー前.2015年;24: 1174-1183

2015年食事ガイドライン諮問委員会2015年食事ガイドライン諮問委員会の科学的報告書

成功した不妊治療に女性の毎日のコーヒー消費の影響: デンマークのコホート研究.肥料滅菌.2019年;112: 120-129

カフェイン、アルコール、喫煙、および補助生殖技術治療を受けているカップルの間で生殖の結果。肥料滅菌.2018年;110: 587-592

Fertil Steril 2019; 112: 120 doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.03.014

Fertil Steril 2019; 112: 39  doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.04.033

Impact of female daily coffee consumption on successful fertility treatment: a Danish cohort studyJuly 2019Volume 112, Issue 1, Pages 120–129.e2 

Pre-pregnancy caffeine and caffeinated beverage intake and risk of spontaneous abortion European Journal of Nutrition, Volume 57, Issue 1, pp 107–117 | Cite as

American journal of epidemiology (Am J Epidemiol)

Role of Caffeine Intake on Erectile Dysfunction in US Men: Results from NHANES 2001-2004

 

 

参考サイト 日本コーヒー協会 体内の炎症をコーヒーが抑える

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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