人工授精(AIH)の方法・妊娠確率・リスク・費用について
不妊治療の1つである人工授精(AIH)は、人工的に精子を子宮内に入れることによって、
より自然妊娠に近い形で妊娠させる治療方法です。
体外受精や顕微授精に比べると、
費用も低くおさえられるので、妊娠の可能性を高められるならと、
人工授精に挑戦したいと踏み切るご夫婦も多いです。
今回は、人工授精(AIH=Artificial Insemination by Husband)の、
方法、妊娠成功確率、リスク、費用などについてまとめました。
人工授精とは、その方法
人工授精とは、精子を子宮内に直接注入し、
卵子と精子が出会う確率を高めるための不妊治療法の一つです。
子宮内に注入された精子は自力で卵管内へ移動し、排卵後に卵管内に取り込まれた卵子と自然に出会います。
名前には「人工」とつき、人工的なイメージが強いですが、
人工的に行われる部分は、精子を遠心分離させ、子宮内に注入させる点です。
受精から着床までは自然なかたちで行われるので、より自然妊娠に近い形の治療法です。
治療に用いる精子は男性から採取した後、精液を培養液で洗浄し、死滅した精子を除去
して濃縮することによって、運動性指数の割合を増やします。
精液に含まれる分泌液や、雑菌、赤血球、白血球など遠心分離することによって、
良好な精子をピックアップしてきます。
この運動精子をチューブのような注入器具を用いて子宮内に注入します。
人工授精の妊娠成功率
人工授精の1回あたりの妊娠する確率は5~10%程度といわれています。
これは、排卵日ちかくに妊娠成功した場合の自然妊娠の確率に比べるとて半分程度です。
なので、今まで妊娠しにくかったという方にとって、
希望が持てるかというと必ずしもそうではない治療法です。
なので、妊娠するまでに複数回行うのが一般的となっています。
人工授精を受診した約9割の女性が3~4回目までに妊娠したという統計があります。
ただ、1回目、2回目、3回目、4回目と回数を重ねるごとに、
妊娠率は落ちていくといわれます。
治療回数の目途としては3回か4回を目安に次の妊娠方法として
体外受精へのステップアップを検討する場合が多いようです。
人工授精の適応するご夫婦とは
- 精子の運動性や数に問題がある
- フーナーテストの結果がよくなかった場合
- 性交障害(インポテンツ)やセックスレスがある場合
- 女性生殖器の狭窄や子宮頸管のトラブルなどによって精子の通過性に問題がある場合
いずれの場合も、卵管通過障害(卵管狭窄・閉塞)がないことが前提とはなります。
以上のご夫婦が人工授精を受けるのでしたら、適した治療といえます。
しかし、タイミング法で結果が出なかったから、原因が不明だからと
ステップアップすることにはリスクがついて回るようになります。
人工授精のリスク
つまり、人工授精は、適応するご夫婦が受ければ適した治療法といえますが、
あくまで受精から着床までは本人の自然に妊娠できる力に頼る形になります。
人工授精が適するご夫婦が受けるのでしたら問題ないでしょうが、
不妊の原因を探りつづけ、、何度もホルモン剤を使用し、
不妊期間が長くなることで、
卵子の劣化は進み、女性ホルモンのバランスは崩れる一方になります。
タイミング法で妊娠しなかったからという理由で、ステップして人工授精を
選択しているうちに、本当の不妊体質になってしまうリスクがあります。
しかも、人工授精は回数が増すごとに妊娠確率は下がる上に、
人工授精で精子を遠心分離することによって精子の寿命は縮まります。
妊娠確率が低い治療に、長い期間費やすリスクはそれなりにあるといえます。
人工授精のデメリット
・ 自由診療なので保険が使えない
(人工授精は一回当たり15,000円から20,000円程度)
・ 排卵誘発剤を使う場合、多胎やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になりやすい
・遠心分離にかけることで、運動性の高い精子をピックアップできるが、寿命は短くなる
・排卵誘発剤を使った過排卵刺激法を併用した場合、多胎率が上昇します
・カテーテル挿入の刺激で人工授精後ごくわずか出血を認めることがある
・頻度としてはまれですが、子宮や卵管、腹腔内に感染をおこすことがある
治療は、不妊期間も長くホルモン剤の使用期間が長いほど、
ストレスも増え、女性ホルモンも乱れ、妊娠力は落ちてしまいます。
自分に適した検査と、適した治療法を提案してくれる病院を探すこともとても大切だといえます。
また、妊娠率を高めるためには、
卵子の質を高める、受精卵が定着できる環境を整えるということが
一番大切なポイントになっていきます。