不妊治療で赤ちゃんを授かる 妊娠出産後への影響

不妊治療で赤ちゃんを授かる 妊娠出産後への影響

不妊で悩むご夫婦は5.5組に1組という割合に増加しています。

そのため、不妊治療で赤ちゃんを授かるケースも増えていますね。

不妊治療と聞くと最先端の生殖医療の技術に期待がかかり

日本は世界一の不妊治療大国になっています。しかし、不妊治療で

赤ちゃんを授かっていく過程においては、問題点もでています。(1

 

不妊治療で赤ちゃんを授かるとどんな影響が?

赤ちゃんが授かれれば、方法はどんなでもいいから、治療でもいいから

とにかく自分の子供が欲しい。赤ちゃんを手に入れたいという思いはとても

切なるものです。しかし、不妊治療をうけて切に赤ちゃんを欲しがって妊娠し、

出産育児を行う中で、悪影響が出ている部分もあるのです。

妊娠した時の喜びは、自然妊娠した場合よりも優位に度合いが高く喜んでいる一方、

実際出産後の育児においてうつ傾向を占める割合も多いという点が見落とせません。

不妊治療で赤ちゃんを授かることがその後妊娠以降にどう影響しているのかも

ちょっと知っておきましょう。

 

不妊治療における 医学的な問題点

治療 病院

不妊治療は不妊を解決してくれる魔法なような治療のように思われる方も

いるかもしれません。中には違和感を感じる方もいるかもしれませんが、

不妊治療にも医学的に見た問題点があります。

実際はその問題点よりも、赤ちゃんを授かれるかもという期待度の高さから

不妊治療へ進むことそのものへの抵抗はすくなく検査から自然な流れで

治療へ進むケースも多くなっています。

 

期待とのギャップ

まず一に妊娠前で見てみると、による不妊治療の問題点は、

妊娠率や出産率が期待とギャップがあり思ったよりは低いという点にあります。

高度の生殖医療である体外受精であっても、妊娠率から、さらには出産率にかけて

みてみると非常に低く40代では妊娠率5%未満で、出産率は1%未満となっています。

非常に妊娠しにくい上に、出産はかなり難しいという点です。

 

治療過程の副作用

次いで、薬の副作用による問題点です。

卵巣過刺激によって卵巣過剰刺激症状があらわれてくる点もあり、

不妊治療の長期化がかえってより妊娠しにくさを作り上げていく点にあります。

 

不妊治療中の心理的ストレス

不妊治療は高額な治療費がかかる事、通院にも仕事の調整や時間の高速があり

心身ともに負荷がかかりやすくなっています。

不妊であるということで、自分自身にダメを出したり、不幸感も高まってしまっています。

妊婦への嫉妬や怒りも感じていますし、家族等からの妊娠への期待によるプレッシャーも

ストレスとなっています。妊娠しなきゃ、子ども産まなきゃ、自分が認められないのではという

脅迫観念も盛ったりもします。妊娠するまで不安で過ごし、うつの診断を受けても

おかしくないレベルにまでなっている人が56.5%、不安障害では75.9%にもなって

います。(3

 

不妊治療による妊娠期における医学的な問題点

 

不妊夫婦不仲

流産や早産、多胎妊娠などのリスクが高まるため、予防的な処置

が必要になっていく

という点があります。そのため、出産においても、高齢出産、切迫早産、帝王切開などへの

対処も必要となりハイリスクとなります。

不妊治療で妊娠した場合、妊娠してからの不安度が自然妊娠した場合よりも高い傾向が

でています。

帝王切開などもそうですが、産科的手術を受けた母親は自分の出産体験を否定的に

受け止めてしまい子供に愛着を示せないという傾向があるといわれています。

帝王切開そのものがいけないわけではないですが、

不妊治療で授かる事、産科的な手術によって生むといったことによって

自分で成し遂げたという実感が得られないことが心の中の問題となってしまうという

点があります。のちの子供との愛着形成にも影響が出てきやすいという事です。

さらに、陣痛を経験しない、産んですぐに赤ちゃんを抱いていないといった母子分離から

もその後の育児に影響が出てくる部分もあるようです。

 

不妊治療によって 心が燃え尽きバーンアウト

不妊悲しむ女性

妊娠や出産が一つのゴールになってしまい、その後燃え尽き症候群のように

気持ちが燃え尽きてしまうという点もあるようです。

不妊治療で子供を授かった場合は、自然妊娠で授かった場合と比較して、

何としてでも妊娠し、産む。そのためにはどんな苦痛もいとわないという

想いの強さが、不妊治療で妊娠した人ほど強い傾向があります。

妊娠し、出産することが大きな目標でゴールになっており、

出産することに意識が強く注がれ、妊娠経過中に出産後の事、育児の事に

向けてイメージしていくことが不足してしまう傾向が出てきます。

妊娠がゴールだったり、産むだけで精いっぱい、妊娠すればすべてうまくいくと思っていた

というような、出産することにこそ強い使命感があり、不妊治療の末妊娠できても

その後に燃え尽きバーンアウトのようになってしまう事も多いようです。

 

不妊からくる精神的な傷つきが自分の無力感に

不妊悲しむ女性

不妊でなやみ、不妊治療によって赤ちゃんを授かる事で、潜在的な心の中に

自分を肯定したり、自己効力感といった自分のやったことで成し遂げることができる

という気持ちが低下してしまう点も出産後の育児に影響していきます。

長期にわたる不妊により妊娠前から傷つき、妊娠したことそのものは大きな喜びであっても

治療でしか子供ができなかった、自然に授かったものではない、自分と医師との間に

できた子のような気がする、子どもができないのは自分が赤ちゃんから選ばれないからだ、

どこかで自分はみんなと違うという意識が働いたり、不妊治療で授かったということを

知られたくないという気持ちも持っていたりし、心の中に、

自分はできるんだ!とか、自分はやったんだ!という気持ちになりきれない

不全感や不毛感を抱き、劣等感なども抱き、集団での育児にも参加したくないといった

気持ちも芽生えやすくなっているようです。

 

不妊治療で授かると子供に対する否定感も高まる

いらいらする女性

あれだけ悩んで授かったのだから、絶対に大切に育てる!そう思う方も多いはず。

逆に虐待するなんて絶対に考えられない!そう思いながら、

妊活したり、不妊治療にのぞんだりもするのですが、

不妊治療で授かった子なのに、出産後、育児で悩み虐待をするといったケースも増加中。

もちろん子供がかわいいという愛着の部分も高いのですが、同時に

自分の子に対して否定的な感情が高く持つのも特徴です。

愛着と否定感情と相反する両方の感情をもちアンビバレントな状態に。

特に不妊治療によって初めての子を授かった場合よりこの傾向が強く出るといわれています。

虐待というと暴力をイメージするかもしれませんが、

お世話を放棄する、子どもを無視したり、暴言を吐いたり精神的に苦しめるのも虐待です。

産まれて、5日、1ヶ月、6ヶ月では、不妊治療を受けて子供を授かったママほど

子どもに対して強い嫌悪感や拒否感場も合わせて持つ傾向が出ています。

 

不妊治療で妊娠しているほど夫への育児協力期待度が高い

不妊治療によって子供を授かっているほど、妻が夫に求める育児への協力度の期待値が

高まる傾向がある一方、夫の子供への愛着度が産まれてから小さいうちから芽生えてきにくく

低い傾向があります。自然妊娠しているほど、夫の子供への愛着が芽生える気持ちの

高く育児への協力姿勢が高い傾向がある様です。

そのため女性が協力を得られないと強く感じやすく、生まれてすぐの大変な時の育児に

協力してもらえない、大変と強く感じやすい点もあり、育児への不安や、それが子供へ否定感情に

繋がってしまいやすい点もあるのかもしれません。ギャップです。

妊娠することに頑張りすぎて負担になりすぎないように、

精神的なストレスが軽減されているとよいでしょう。

 

まとめ

不妊治療によって子供を授かっていく流れが今の世の中は増加傾向もありますし、

医師や高度の生殖医療に対し期待感も高まっていますが、

実際には不妊治療で子供を授かる事に医学的な問題もあり、

メリットばかりでもなく妊娠率や出産率の低さ、思ったような結果がでない。

副作用にも悩まされる点もあります。

どうしても不妊治療が必要なケースもあるかとは思いますが、

精神的な苦痛で不妊治療を継続できなくなるケースもあります。

子供を授かることによって妊娠だけでなく出産、そしてその後の育児、

その後の夫婦関係家族関係にも影響が出ていく部分もあり、(3

妊娠を望む女性の毎日が良いものになるような支援も必要とされています。

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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