不妊治療で妊娠率が高まらない原因と妊娠に向けた解決策
不妊治療より本当は自然妊娠の方が妊娠しやすいことをご存知でしょうか?
自分たちでやってみて妊娠できなかったから、
年齢的にも焦りがあるから、不妊治療に思い切って
足を踏み入れるのでしょうが、
実際には不妊治療での妊娠率というのはさほど高くはありません。
まして、出生率となるともっと下がってしまいます。
不妊治療が適合するケースももちろんありますが、ごくわずかです。
不妊治療にともなう心のモヤモヤはいつも不安となって押し寄せ、
治療で赤ちゃんを授かったとしても、後にも心に闇を抱えなくてはならない実態があるようです。
本当は不妊治療は妊娠しにくい
不妊治療じたい、思い切って踏みこんでいくご夫婦が多い中、
病院のドアをたたくときの気持ちで一番多いのは、悪いところがあれば治療して、
できれば一番自然妊娠したいという気持ちなのです。
しかし、検査をし、医師からステップアップをすすめられるなかで、
疑問が残ったりしても、どうしていいのかわからず、治療がすすんでいくケースも多いようです。
ステップアップ式では不妊期間が長くなり、ホルモン療法を取り入れる期間が長期化し、卵子の質は低下します。
また、ホルモンバランスも崩れ妊娠しにくくなってしまいます。
人工授精自体はごく自然に近い形の治療法ですが、
遠心分離機で分離される過程で精子の寿命は縮まり
妊娠しやすいかというとそうではない条件が揃ってしまいます。
かといって、体外受精は肉体的にも、経済的にも、精神的にも
のしかかる負担が大きいため、それはそれで妊娠しやすい
コンディションを整えられるかというと難しいのかもしれません。
日本での体外受精ですら妊娠・出生率は本当に低く、40代では5%未満です。
実際は治療成果を左右するのは卵子の質にかかってます。
不妊治療にともなう心の抵抗感
子供が欲しいから、周囲には不妊であることを言い出せないから、
こっそり治療に通うようにしたものの、不妊治療で子供を授かることへの
心の中で起こる葛藤や抵抗感というのは、
想像以上に大きいものになることで悩まれる方がおおいのです。
不妊治療をしていることを周囲からどう見られるんだろう・・・。
プレッシャーや期待と不安から心の中が穏やかに過ごせず、
夫婦の関係もギクシャクしてしまって、
性生活はレスがすすみ、ほとんど義務的にしか感じられなくなってしまっていると
みなさんおっしゃいます。
欲しい欲しいと思いながら、人工的に手を加える事への抵抗感や
せっかく授かっても、流産したらどうしよう、
何か障害があったらどうしようという不安も常についてまわるといいます。
不妊治療では重苦しい気分
不妊専門クリニックに通う場合、通う理由は決まっています。
自分達でやってきたのだから、タイミングが合ていなかったから、
受精していなかったからだと思い、そこを何とかしてくれる医療への期待が増します。
でもタイミング法でも人工授精でも中々妊娠していかない
期待している分、ショックも大きくなってしまいます。
そして自分と周囲とを常に比べ、嫉妬したり、と
なんとも言えない雰囲気に包まれるのが不妊治療かもしれません。
常に不安と、常に比較し羨んだり、抑えきれない感情に振り回されて、自己嫌悪になっていく自分と向き合い、
つらい治療に耐えていく状況で
本当に女性の体と心はいい状態から離れてしまう方も少なくはありません。
子宮だって、卵子もいい状態にはとてもなれません。
体の中では神経やホルモン免疫物質などが複雑に連携して妊娠に関わります。
排卵誘発で妊娠率が低下
クロミッドは、排卵誘発で有名な薬で、魔法のような薬として独り歩きしていきました。
開発されて40年くらい。その当初は妊娠率も高く、画期的な薬として注目されいろんな研究がおこなわれました。
そのなかには月経が規則正しい排卵周期のあるひとへの投与も試みられています。
黄体機能不全(基礎体温で高温相の短いひとなど)に有効であるともされました。
ところが、排卵障害のひとにたいする排卵誘発率が高いにもかかわらず、
その妊娠率が低いという事実があきらかとなっています。
というのも、副作用が隠れていたのです。
クロミッドの服用を何ヶ月も続けると、排卵日頃のおりものが少なくなり子宮頸管粘膜がへったり、
月経の時の出血が少なくなったり、月経の期間が短くなったりすることもあります。
これらの副作用はクロミッドの持つ抗エストロゲン作用によるものなので、子宮内膜が厚くならないという
副作用も出ています。
子宮内膜については、厚いほど妊娠率が高いという研究結果が出ています。
大事なことはクロミッド服用周期では、これらの抗エストロゲン作用による副作用が出ているかを
注意深く観察し対処してもらう事です。まず排卵日の頚管粘液検査、子宮内膜の厚さの測定、
そして排卵がちゃんと起こっているか、卵胞の破裂の確認などを通して、
もしクロミッドの副作用があれば次の周期からはクロミッドの投与を中止し他の排卵誘発法に代えるのが妥当なのです。
不妊治療体外受精では流産率が高い
ART妊娠は自然妊娠より流産リスクが高いことは古くから知られている。
しかしその理由は分かっていない。
この点に関して中国・南京/常州から5485胚移植周期を調査した後ろ向き研究報告があった。
体外受精では自然妊娠に比べて流産率が高いことが以前より知られているようです。
研究では、体外受精での流産率が高い原因は何かを調べています。(1)
ART妊娠後の流産リスク関連因子は以下があげられています。
・女性の高齢 (HR = 1.31, P< 0.001)
・アンタゴニスト法(ロング法に比べてHR = 3.49, P < 0.001)
・低刺激法(ロング法に比べてHR = 1.83, P < 0.001)
・凍結融解胚移植(新鮮胚移植に比べて初期流産高リスクP < 0.001)
・新鮮胚移植(凍結融解胚移植に比べて後期流産高リスクP < 0.045)
卵巣刺激によっても流産率が低下したり、凍結胚移植では初期流産のリスクが高いなど
不妊治療を受けることでも不安は多いものですが、流産への不安も抱えながらというのも
なかなか不妊治療でも心が休まらないつらさを抱えながらになりそうです。
不妊治療でも中なか成果が出ない理由
不妊治療も一つの手段なので、医学の力を借りるのも良いとは言えますが、
妊娠に本当に必要なのは細胞の質の良さ、卵子、精子の質の高さが欠かせないといわれています。
そうでなければやはり受精させるための医療の技術は非常に高いので
受精がポイントになるのであればもっと治療成績が良くてもいいはずです。
多くの方が治療をしてもなかなか成果が出なくて困るのに、
細胞の質を高められていないという点につきます。細胞はそれぞれの人の分身です。
そういった場合は、心と体を整えるという基本にたちかえり整えることで、
治療の成果を高めたり、実際に治療ではなく、自然妊娠できていたりします。
妊娠をあきらめたとたん、妊娠できたという話もよくありますよね。
また、不妊治療の場合、流産率も高いことは見逃せません。
自然妊娠した場合より、流産率は高まり、精神的な負担は計り知れないでしょう。
治療をしていても、そうでなくても、
根本的に妊娠しやすい体質づくりというのは、赤ちゃんを望む限り必要な事といえるでしょう。
自然妊娠できるように整え、妊娠できることが一番結果良い方向につながるといえそうですね。
参考文献
Mehdinejadiani S et al., Effects of letrozole and clomiphene citrate on Wnt signaling pathway in endometrium of polycystic ovarian syndrome and healthy women. Biol Reprod. 2018 Sep 3. doi: 10.1093/biolre/ioy187.
Liu KE et al., The impact of a thin endometrial lining on fresh and frozen-thaw IVF outcomes: an analysis of over 40 000 embryo transfers. Hum Reprod. 2018 Sep 17. doi: 10.1093/humrep/dey281.
Hu L et al., Influencing factors of pregnancy loss and survival probability of clinical pregnancies conceived through assisted reproductive technology. Reprod Biol Endocrinol. 2018 Aug 7;16(1):74.