不妊治療を諦める やめて子供がいない人生を選択する?

不妊治療を諦める やめると子供がいない人生?自然妊娠?

夫婦

不妊治療は子供ができないご夫婦にとって期待がかかる治療となっています。

しかし、不妊治療が抱える問題としては妊娠率が想像以上に低いという点です。

体外受精なら妊娠できると思ったのに赤ちゃんを授かれない現実

あきらめたら治療を辞めたらどうなってしまうの?

子供がいない人生を受け入れなくてはいけないの?

不妊治療をやめた場合ってどうなるのか気なる部分をお伝えしていきます。

 

不妊治療での妊娠率、出産率

引用:日本産婦人科学会ARTデータブック2013

 

子どもができなければ病院へ、治療を受ければ妊娠できるんでしょ?

最先端の医療なら何とかなるんでしょ?ステップアップしたら早くにと

思う方も多いのですが、不妊治療では卵子と精子を取り出しシャーレの上で

受精させ子宮へ移植して戻す体外受精、顕微授精でもってしても

妊娠率は10%程度と言われています。これは年齢とともに低下する傾向があり

40歳では、体外受精 凍結胚移植で8%程度

45歳 体外受精 凍結胚移植で 2%と言われています。

こちらは医療機関ごとの違いや、技術などの違いもありますが、決して高い値とは言えません。

そして、妊娠はゴールではないので、いったいその後産むまでにたどり着けるのかというと

30歳で体外受精して出産にいたる確率は19.9%、35歳で16.3%で以降

40歳で7.7%41歳で5%、42歳で3%45歳で0.6%です。

そして、多くの女性が妊娠しないだけで悩むのではなく、流産率の高さに悩まされるように

なっています。

 

不妊治療にかかる期待と現実とにギャップ

引用質的心理学研究 第7号2007 不妊治療を経験した女性たちの語り 京都大学大学院教育学研究科

 

不妊治療はかかる期待に対し、現実的に妊娠率や出産率が低いため

治療を辞める決断をし諦めてく選択をしていく必要性があります。

始めは治療をすれば妊娠できるだろうという楽観と期待の中で経過していきますが

実際には妊娠できない、ダメだったという事を何度も繰り返します。

京都大学の【不妊治療を経験した女性たちの語り-子供をもたないという人生の選択-】

研究からも明らかですが、検査からの流れから不妊治療に進む流れに逆らう人が

ほとんどおらず、検査の結果を待っているよりどんどん治療を開始していった方がいい

と考えている点と、医療機関や生殖技術への信頼の高さあつく

治療開始時には楽観的な人が多く、研究対象者の全員が同じ傾向を示しています。

 

不妊治療はつらく、ストレスを抱えやすい

不妊悲しむ女性

不妊治療中はよりストレス度が高まります。心身ともに苦痛を伴うだけでなく

経済的な負担もかかるため仕事との調整から、不妊治療退職といった治療のため

仕事を辞めるという選択も迫られる女性もいます。

治療に対する夫婦間の価値観のズレも生じたり、

傷つき孤独感も強く感じています。

傷つきやすくなっている心理状況に加え、いつまでつづくのか見えない不確かさへの

不安などストレスがかかる状況がさらに妊娠しにくさを作り上げてしまうという

悪循環もあります。治療に対してもやめたいと思いながら子供が欲しいから

辞める事が難しいとつらくても頑張り続けてしまい長期化する方もいれば、

あまりのつらさに不妊治療を辞め自然妊娠を目指す方もいます。

また治療費も高額にかかるため中には300万円程かかったという方もいれば

1000万円ほどかかったというかたもいます。

経済的にも継続が難しい点もあり治療をあきらめて辞めるという方もいます。

 

不妊治療後に自然妊娠という可能性

40代女性であると不妊治療を辞める、諦めていくという選択に 突き当たるように

なります。でも、不妊治療を辞めるという事は子供を授からないという選択では

ありません。

2003年に現在リプロダクションクリニック大阪院長 松林秀彦医師が

論文にて発表した中には、採卵さえできなくなり、移植も不可能になり治療を諦めた後に

50代で自然妊娠し無事出産しているケースがあります。

そこにおいて示されていることは、不妊治療や体外受精は万能でもなく、

不妊治療をやめることは妊娠を諦めることでもなく、

夫婦で支え合い、協力し合う姿勢や、心穏やかに過ごせることによって自然妊娠に至っている

重要性がありことが示唆されています。このように、不妊治療をやめ赤ちゃんを諦めた

後に40代で更年期と重なる年齢の時に自然妊娠されているケースの事例を耳にします。

実際、相談にいらっしゃるケースの40代女性で妊娠していくケースは100%自然妊娠です。

 

治療を辞めても妊娠そのものを諦める事ではない

不妊治療を始めると、性生活の回数が減少傾向になります。

セックスレスになるご夫婦も多く、不妊の原因となりより妊娠しにくくなる中、

治療をしたことをきっかけに自然妊娠の道が閉ざされてしまうと

治療を辞めた場合は本当に治療を辞める事が子供を諦めるという事に直結してしまいます。

でも、不妊治療中にも自然妊娠の道を閉ざさないような夫婦関係を継続できることで

より絆を深め治療を辞めたら逆に楽になってリラックスし自然な形で

赤ちゃんを授かっているご夫婦もいます。

不妊治療を長期化させないこと、治療中の夫婦の関り方には注意していきましょう。

夫の支えが心の支えで、ボロボロの時も見守って欲しい

よく話を聞いて欲しい。相談に乗って欲しい。積極性を持って欲しい。

といった思いが女性が不妊治療中に強まっています。

 

体外受精後の統計的に見た自然妊娠率は?

体外受精ARTによって妊娠しても妊娠しなくても、その後の自然妊娠率って

どうなのかは研究が少ない中で、イギリスの国家国家規模の統計を用いて検討されたものでは、

意外にも、体外受精で妊娠していても、妊娠していなくても

その後の自然妊娠率に有意な差はなく、

1998〜2011年にART治療(体外受精、顕微授精)を実施した女性2133名を対象にしています。

その後無治療での妊娠成立の有無を検討しています。

治療後5年間での妊娠成立は、ARTで妊娠した群は15%ARTでは妊娠しなかった群では17%でした。(1

不妊治療である体外受精で妊娠していても、妊娠しなくてもその後に自然妊娠する確率は

差ほどなく、無治療であっても妊娠していくケースも充分に残しています。

治療をやめたら一生子供がいない人生というわけでもないのです。

 

不妊治療中の自然妊娠率は?治療の合間にも自然妊娠も起こる

オランダにおける不妊治療をお休みしている間に自然妊娠をした割合を調べた研究では、

一年間の累積妊娠率は24%でした。(2)以外にも高いですよね。

38歳でも不妊期間が3年でも不妊治療をお休みしている間の

自然妊娠率が22%あり、精神的にも身体的・経済的な負担がかかってしまうと

また不妊リスクは高まるため、治療でなくては絶対に授からないというものでもないですし、

ちょっとリラックスできる環境になったら自然妊娠もおこりうるという事が

いえるでしょう。

不妊治療は精神的な負担も多く、途中でやめていくケースや妊娠できずにやめていくケースも

少なくはありませんが、治療していないことが妊娠しないにはやはりつながりはしません。

治療をするメリットデメリットもありますが、治療だけが妊娠を連れてくるのではないため、

視野を広げながら、子どもを授かる・授からないというだけでなく、

毎日をどう過ごしたいか、どんな人生にしたいかも見つめながら、

妊活や不妊治療こそが大事という価値観にとらわれるのは避けたいですね。

妊娠こそが子供を望んでいるときは大事かもしれませんが、ふと視野を広げられると

もっとリラックスすることはできるのではないでしょうか。

 

不妊は夫婦の生活や人生に多大な影響を与えている

夫婦手に赤いハート

不妊という問題と夫婦関係というのに着目した研究は日本では少ない中、

【不妊当事者の人間関係】保健医療社会学論集 18巻1号では、不妊と夫婦の関係について

「不妊や不妊治療を通じて、夫婦の関係がよくなった」が27.1% あった一方で

「不妊や不妊治療を通じて、離縁を考えたことがある」も23,2% あったとあります。

不妊という問題を通じて、夫婦の絆を深めるのも、離婚など関係が冷めさしてしまうケースもあります。

問題の影響がプラスともマイナスとも判断できないような影響を与えるほどの

問題であり、直面している当事者が人間関係をいかに良い状況で過ごせるのか

周囲からのサポートも必要な場合も出てくる問題だといえます。

 

不妊治療を辞めリタイアしていく決断

口論不仲夫婦

不妊治療を受ける人口は増加傾向にあるものの、不妊治療での妊娠率・出産率は

以前として低く、多くの方が治療を受けても授かれずにいる実態があります。

不妊治療はいったん治療を始めると、次々に選択肢や代替的な治療の選択を

迫られるため妊娠・出産を向かえるまで治療が終了しない雰囲気が出来上がっており

終わりの見えないトンネルをすすみ、自ら治療を辞めるという決断を下さなくては

ならないタイミングが来ます。

 

産みたいけれど治療をやめたい。

もう治療は嫌だけど妊娠しないと治療は止められない。

といった相反する感情を併せ持ちとても精神的にも苦しさを感じてます。

 

治療そのものがストレスになってしまうケースが少なくないという事です。

当事者が不妊の悩みを抱えているときに関心が高まるのがフィンレージの会による調査では

・メンタルケア

・最先端の生殖医療

・赤ちゃんがいない人生

といった3つです。

 

子どもがいない人生を選択していくこと

深呼吸する女性

不妊によって子供を授かれなかったという事は女性だけに限らず精神的な

負担になったりトラウマになってしまう事もあります。

親になれなかった自分というのが、社会的に見ても女性の役割を果たしていないのでは

ないかという思いがとても苦しいものにさせていっています。

子どもがいない人生を選択することそのものは、その人にとって

必ずしも悪いものとして働くわけでもなく、

自己成長しその後の生き方も選択していくことみちは開かれます。

しかし、そこの過程へ行きつくまでには心理的にも様々な過程を経て

何度も何度も期待と絶望を繰り返した後に、閉じこもり、引きこもり、

疎外感を感じうつ傾向にもなりその過程を経て

心のなかに諦め、そしてもう頑張らなくていいんだという解放、

といったプロセスを踏んでいっています。

 

不妊治療をリタイアし諦めについてのブログ

 

にほんブログ村 不妊治療をリタイアし諦めた方のブログを

ランキングで取り上げています

不妊治療(リタイア諦め) – 赤ちゃん待ちブログ村

 

不妊治療の末、子どもを諦めたい。夫との不妊治療に対する温度を感じ

治療に限界を感じながらも辞めたいけれどあきらめがつかない質問者さんと

実際に固い決意をしたという回答者さんとのやり取りです。

不妊治療の末、子供を諦めたいです。どうすれば

 

不妊治療何歳で諦めましたか?という、

42歳まで不妊治療に取り組み、夫からのやるだけのことはやった。きりがない。

授かれないという事実を受け止めるしかないといわれることに対しても

どうしても心の中の諦めきれない気持ちもあり質問されています。

不妊治療 何歳で諦めましたか

 

 

まとめ

不妊治療そのものが妊娠率が高いわけではない点を踏まえながら、

自然妊娠できる道を残しておくことで、治療を辞めても妊娠できる点があります。

特に40代では治療を辞める事が赤ちゃんを諦める事に直結するわけではありません。

しかし、夫婦関係が悪化していたり、性生活が成り立たない、セックスレスと

なってしまう事で赤ちゃんを諦めるという選択も迫られることにつながります。

不妊の悩みを経て赤ちゃんのいない人生という事を選択していく過程には

心理的にもとてもつらい経過があります。

いつも何を選択するのか迫られるのが妊活。

後悔しない人生、一緒に協力し合う人生、離れる人生、諦める人生、絆を深める人生

色々あるかと思いますが、価値観も多様化しています。

不妊治療そのもので子供を授かったかどうかだけでなく、どんな生き方をしたいかも

見据えた妊活を行っていきたいですね。

 

参考文献

質的心理学研究 第7号2007 不妊治療を経験した女性たちの語り 京都大学大学院教育学研究科

http://www.jaqp.jp/JJQPfull/JJQP_07_2008_118-137_full.pdf

【不妊当事者の人間関係】保健医療社会学論集 18巻1号 2007東洋大学社会学部白井 千晶

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshms/18/1/18_KJ00009558206/_pdf

(1)Hum Reprod 2019; 34: 1470

(2)Hum Reprod 2018; 33: 919 doi: 10.1093/humrep/dey051

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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