排卵障害改善 トランス脂肪酸を減らすことで妊娠しやすく

排卵障害改善 トランス脂肪酸を減らすことで妊娠しやすく

妊活中は、食べ物・食事への気遣いも欠かせないところですよね。

足りていない栄養を補う事はよく気を付けるともいますが、

とってはいけないモノを控えるという点はいかがでしょうか?

飽食の現代では、栄養不足を心配するよりは、

むしろ、とりすぎの方が気を付けた方が良い栄養もあります。

食べない、食べ過ぎないという選択も排卵障害の改善につながっていく食事があります。

とりすぎてはいけないトランス脂肪酸についてみていきましょう。 

 

トランス脂肪酸摂取は排卵障害で不妊リスクを高める

女性の妊娠、出産に際して、トランス脂肪酸がどのように影響を及ぼすのかについては、

これまでにいくつもの研究報告があります。

トランス脂肪酸を多く摂る事で、インスリン抵抗性を招きやすくなります。

高血糖や高インスリン状態を引き起こし、

それによって卵巣の働きが低下し、卵の成熟や排卵の障害になるリスクが高くなること、

また、炎症体質をも招くことから子宮内膜症の症状を悪化させてしまったり、

流産や死産のリスクが高くなるとの報告もなされています。

このようにトランス脂肪酸の過剰な摂取は、

女性の卵の成育や排卵の障害や子宮内膜症の悪化を通して、

自然妊娠できる力・妊娠を維持する力をぐんぐんと低下させてしまうことがわかっているのです。

 

トランス脂肪酸の摂取が不妊症リスクを高める事も1万8555人の既婚で閉経前の

妊娠可能な女性を対象にした調査で分かりました。

この研究では、食事による脂肪酸が女性の排卵機能に影響を与え、

排卵性の不妊症に関係するのではないかとの事から行われており、

研究によると、トランス脂肪酸の摂取量が2%増えると、

同じ量のエネルギーをオリーブ油やヒマワリ油に含まれるオイレン酸から摂取した場合と比べて

不妊症のリスクが2.3倍高まるとのことです。

つまり、トランス脂肪酸の摂取量が増加すると、排卵性の不妊症のリスクが増加するのです

 

トランス脂肪酸とは

植物性の油は、常温では液体で、空気に触れると酸化されやすく、

加熱すると劣化しやすくるという性質があります。

しかし、水素を添加し、一部の化学構造を変化させる事で、

液体から半固形になり、酸化や加熱にも強く、さらには、風味もよくなり、

食品産業にとっては安価で格段に扱いやすい油になります。

食品を売る側にとっては、都合が良いように加工して、

マーガリンやショートニングがつくられているのですが、

その際に出来てしまう副産物がトランス脂肪酸となります。

食品を食べる側にとってみればメリットは少なく、

これまでの研究では摂り過ぎるといろいろな病気や障害のリスクを高めることがわかっています。

食べる側にとってはよいことは何もありません。

いたって不自然な食べ物です。これでは、自然妊娠力をつけていく事はできません。

しかし、安さや手軽さ美味しさといった点からも子供から大人まで食べるものに

使われているのが現状です。

そんなに怖いものだとも知らずに食べているケースも多いはずです。

どんな食品に含まれているかというと、マーガリンやショートニングといった表記があるものです。

御菓子類・ファーストフード加工食品には使用されている可能性が高いです。

菓子パン、スナック菓子、ドーナツ、クッキー、フライドポテト、

冷凍食品など、加工食品やファストフード、などです。

 

 

研究からわかる排卵障害 不妊リスク低下への食事

8年間にわたりハーバード大学が調査した17,544名の妊娠を希望する、または、妊娠した、

そして、不妊経験のない女性を対象に食生活や生活習慣のパターンを追跡調査しています。

それによると、生活や生活習慣のパターンによって、そうでない女性と比べ、

排卵障害による不妊のリスクが低下すること

その他の原因による不妊においても程度は小さいもののリスクが低下するという事が

わかりました。

この生活を取り入れた女性は66%が排卵障害による不妊になるリスクを低下させ

他の原因で不妊になる確率を27%も低下させています。

 

不妊になりにくくさせる食事と生活習慣として、

トランス脂肪酸よりも一価不飽和脂肪酸の摂取が多い食事をしていたこと、

精製度の低い穀物を摂取し血糖値の上昇を防ぎ、糖質を制限していた点も

注目したいところです。

 

研究でもトランス脂肪酸の摂取が少ない方がよいことが判明

研究からわかる、取り組んだ妊娠する力を高める食生活の特徴としてあげられるのは以下の点です

  • トランス脂肪酸よりも一価不飽和脂肪酸の摂取が多い食事
  • 動物性たんぱくよりも植物性たんぱくを多く食べる
  • 精製度の低い穀物を食べている
  • 乳製品を適量食べる
  • マルチビタミン(葉酸、鉄分を含む)のサプリメントを摂取する

 

妊娠する力を高める生活習慣について気をつけるべき点は以下です。

  • カフェインやアルコールを取り過ぎないこと
  • 適度な運動をすること
  • 禁煙

いかがでしょうか。

逆の食生活をすると改善傾向がみられるのですから、

トランス脂肪酸は排卵障害になりやすく、また不妊リスクを高めてしまう事がわかりますね。

 

トランス脂肪酸を含む食品を減らす食事へ

・マーガリンやショートニングは、バターやオリーブオイルへ変えていきましょう。

・バターが飽和脂肪酸だから摂取が気になるという方は、ココナッツオイルなどへの代用をお勧めします。

・おやつに食べるものは果物かカカオ70%以上のチョコレート、ナッツ類、小魚などで代用することをお勧めいたします。

・ファーストフードは食べないか、食べても頻度を減らすようにしましょう。

・マヨネーズなども市販のものは使用を控え、オリーブオイルを使ったドレッシングに変えたり、

ポテトサラダなどは、プレーンヨーグルトで作るといった工夫もできます。

・市販のお菓子でなくてもいいからお菓子を食べたいという場合は手作りすることをお勧めします。

その際にも注意点はあります。

トランス脂肪酸をとりすぎてはいけない点と、

高血糖・高インスリン状態にしないという点も非常に重要という事です。

そうして、一価脂肪酸である魚やオリーブ、ナッツ等に含まれる油(不飽和脂肪酸)は、

不妊を解消に向かわせてくれる“サポートオイル”と言えます。

少量でも、継続的にとれるよう少しずつ意識して摂取するようにしていきましょう。

 

WHOでもトランス脂肪酸の摂取に警鐘

WHOの公式声明で「トランス脂肪酸は不必要な有毒化学物質で、命を奪います。

世界中の人々がそのような物質にさらされ続ける理由はありません」と、

アメリカ疾病対策センター(CDC)の元所長で、

現在は非政府組織「リゾルブ・トゥー・セイブ・ライブズ(Resolve to Save Lives)」の

理事長兼CEOを務める博士のトム・フリーデン氏は訴えます。

2003年に、デンマークが世界で初めてトランス脂肪酸を禁止されました。

その後、間もなくアメリカもつづき、禁止となりました。

生殖のみにとどまらず、体のへの有害な食べ物として摂取は控えましょう。

 

男性の精子にもトランス脂肪酸が悪影響を

ハーバード大学の研究チームは男性への影響も確かめています。

トランス脂肪酸の摂取量が多い男性ほど、精子濃度が低くなるといいます。

大学病院に不妊治療で通院するカップルの男性パートナーを対象に、

食物摂取頻度調査で、主な脂肪酸の摂取量を調べ、精液検査の結果との関係を分析したところ、

トランス脂肪酸の摂取量が最も多い男性グループは、最も低いグループの男性に比べて、

40%も精子濃度が低くなっていたというのです。

このようにトランス脂肪酸は妊娠を望むご夫婦にとっては摂取を避けるべき脂肪酸と言えるでしょう。

そして、一価脂肪酸の摂取を心がけていきましょう。

 

参考文献

「ハーバード大学調査に基づく妊娠に近づく自然な方法 妊娠しやすい食生活」(日本経済新聞出版社)

American Journal of Clinical Nutrition 1月号

American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 85, No. 1, 231-237, January 2007

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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