不妊治療で妊娠できない原因 重要な時期に不安ピークに

不妊治療で妊娠できない原因 重要な時期に不安ピークに

不妊治療の妊娠率は期待するよりも現実はかなり低いことは意外と知られていません。

体外受精ですら全年齢でみると10%です。高齢になり40代になれば出産率は

5%にも満たないため妊娠しにくい、産めない事で悩むのですが、

なかなか治療で結果が出ない原因として年齢だけでなく最も重要な時期に

不安がピークになり緊張状態で女性が過ごさなくてはならない事も影響していそうです。

 

妊娠に影響するストレスやプレッシャー

ストレスがかかると心の問題でありながら体と密接に関係しているため

妊娠しにくさにも影響が出てきます。受精することよりも着床することが

難しく受精率よりも着床率が低い点も不妊治療で

結果が出にくい事にもつながっています。

特にストレスなどはホルモンにも影響が出るのもありますが、自律神経などへの

影響も出るため胎児の成長にも影響しているといわれています。

特に胚が分割して分裂を繰り返し成長する妊娠初期の段階では、

血管を収縮させてしまう交感神経が優位になると流産しやすいといわれています。

そのため、ストレスと不妊は関係がありリラックスして過ごせるかも

大事なポイントにはなるのですが、不妊治療をしていると最も重要な時期に

不安がピークに最も強く感じているようです。

 

不妊治療をつらいと感じる女性は多くストレスフルに

不妊治療は初めは妊娠できるのでは、きっとすぐに妊娠できるはずと気楽に考え

意気込む女性が多いです。生殖医療の技術への期待、産婦人科病院やクリニック

医師への信頼度や期待度から流れに逆らう事がなく

質的心理学研究 第7号2007 不妊治療を経験した女性たちの語り

京都大学大学院教育学研究科の研究では、100%の女性が

検査からの流れから不妊治療に進む流れに逆らう人が

ほとんどおらず、検査の結果を待っているよりどんどん治療を開始していった方がいい

と考えている点と、医療機関や生殖技術への信頼の高さあつく

治療開始時には楽観的な人が多く、研究対象者の全員が同じ傾向を示していたようです。

でも実際は子供ができず、何度も期待してもダメだったという体験を繰り返していき

ストレスを強く抱えるようになります。トライしても結果がともなわない不確かさに

強い不安も感じますし、高まる流産率に喜んでは落ち込んでを繰り返し

とても心穏やかな状態で妊娠を待てる心理的な状態になっていないといえます。

 

最も大事な妊娠判定前に最も不安がピークに

悲しむ女性

妊娠しにくくなる点としては受精ができないという点よりは、着床しにくい

という点で悩む女性が多くなります。体外受精は保険適応でないため治療費も高額となり

ますし、そのために仕事を調整もしますので期待しないという事もかなり難しい治療法です。

東北大学病院婦人科での不妊女性の心理に関する研究では、

体外受精, 胚移植を受ける女性を対象に, 質問紙調査および肥田野の新版STAI,

ラザルス式ストレスコーピングインベントリー(SCI)を用いて縦断調査を行っています。

その結果、治療各期の不安は治療を開始前より採卵前、胚移植前共に上昇し、

妊娠反応検査前では最も高い状態不安を示したと報告しています。

採卵、移植前、妊娠判定前と緊張が高まる中、もっとも女性が心穏やかに

リラックス過ごした方が良い時期にもっとも強い不安を抱えています。

着床しそれを維持していく際にもっとも精神的に安心をもてるようにサポートが

必要な際に支援が不足している状態で治療にのぞんでいることになります。

 

不安を感じやすい人は治療開始後からずっと不安に

不安を感じやすい女性は、治療開始後からも強い不安を抱え、

ずっと精神的に緊張状態が続く状態で過ごしている事がうかがえ、

もともと不安症な方は不妊治療を始める前からストレスを抱えているため

治療を開始するとより強く感じるようになりメンタルケアが必要だといえます。

 

不妊治療を受けているのに最も大事な支援が不足

妊婦 妊娠 マタニティ

不妊に精神的なストレスが影響することがさまざまな研究でも示唆されており、

心のケアもとても重要になっていきます。

不妊とストレスとの関係は様々な研究があります。またストレスは流産や死産にもつながりやすくなります。

オハイオ州立大学のC.D. Lynch教授は12か月間の追跡調査を行い、

ストレスに反応して分泌されるコルチゾール量などを測ることで、ストレス度が高い女性ほど排卵量が29%減少し、

不妊症のリスクが2倍に上昇すると分析しています。

参考|2014年5月発刊「human reproduction Volume 29, Issue 5」Preconception stress increases the risk of infertility

 

しかし、SCIからストレスに適切な対処ができていないと思われる状況が認められており

不妊治療を開始した女性の多くはもっとも妊娠に影響する

心理的な支援が必要であるが不足している状態です。

 

不妊でつらいのは仕方がない、つらくてもどうにもできない、

無力感も感じやすい方お思います。不妊治療によってうつ傾向になってしまう女性も

います。不妊の問題は複雑で人生に大きな影響を与える問題なだけに

直面している女性がいかに心を健やかにいい状態を保てるのかという点も大事に

すべきと言えるでしょう。

 

まとめ

不妊治療は妊娠率が高い治療ではありませんが、生殖医療や治療への期待度も高く

妊娠を望む女性は検査から治療への流れを受け入れやすいものの、

実際に治療を始めると不安を強く感じています。

着床後から、胎児への血流を阻害しないようもっとも穏やかに過ごしたいタイミングに

もっとも強い不安を感じ、それに対するストレスコーピングが適切に

対処できていない実態もあります。不妊治療を受ける女性はストレスを感じやすいため

合わせて心理的なサポートを受けながら取り組むことが望ましく

カウンセリングなどと併用し適切なサポートを受けることが好ましいといえます。

 

 

参考文献

質的心理学研究 第7号2007 不妊治療を経験した女性たちの語り 京都大学大学院教育学研究科

http://www.jaqp.jp/JJQPfull/JJQP_07_2008_118-137_full.pdf

不妊女性の心理に関する研究 : 体外受精・胚移植を受ける女性の不安と対処行動について 東北大学病院婦人科外来

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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