つらい不妊に悩む自分にセルフコンパッション

つらい不妊に悩む自分にセルフコンパッション

赤ちゃん 手の中

自分のことを大事にしてあげる、そのままを受け入れるという

セルフコンパッションをご存知でしょうか。

妊活女性にとってもとても大事な心のケアになっていきますよ。

落ち込んでネガティブになってしまう自分を無理にポジティブにしようと

変えようとすることよりは、自分をありのままに受け入れていく

セルフコンパッションに取り組む方が取り組みやすいと言えるでしょう。

 

不妊でつらい気持ちの中にある傷つきやすさやプレッシャー

不妊の悩みは夫婦だけのもんだいだけでなく人生や人間関係にも

影響するため、つらいと感じ、ストレス度が高くなっていきます。

不妊で悩むストレスについての研究では、

不妊治療中の女性にうつや自殺まで考えたことがあるという人が2割にも上り

心の中に深いつらさを感じているため心のケアが欠かせないことがうかがえます。

ストレス発散やできるだけ考えないようにするといったことではうまくケア

できないところもあります。とくに周囲から言われることに過敏に反応して

傷つく安くなっているという点がでてきますし、自分自身に対しても

自分はダメだとか、妊娠する力がないといった不毛感や不全感も感じ

自己肯定感が低下してしまう人もいます。

妊活女性こそ、心の傷を癒し、ありのままを受け入れ自分を大切に生きていく能力を

高めていくこともとても大切だと言えるでしょう。

 

ありのままを受け入れる セルフコンパッションとは

女性お腹にハート

2011年に出版された「Self-Compassion」の著者は、テキサス大学のクリスティン・ネフ博士です。

「Self-Compassion」は日本では、「自己への慈しみ」と訳されています。

セルフ(=自分に対する)コンパッション(=思いやり)は、

自己への慈しみによって「あるがままの自分を受け入れる」ということです。

 

セルフコンパッションは主に3つの要素で構成されると言います。

この要素が相互に作用することによってよい働きをしていきますが、

この要素は仏教の慈悲の精神が参考にされているようです。

宗教だといって自分に関係がないと思うよりは、自分の生活に役に立つ

精神として浸透しているとよいことも多いものだと思います。

 

・自分への優しさ
他人に接する時のように、自分にも思いやりを持って優しい態度をとること。

・一般的な人間性
自分は周囲の人間関係の中で生きているという自覚。誰もが時には失敗するという認識。

・マインドフルネス
今の経験に対してイライラしたり、不安な気持ちに捉われて判断し行動することをせず、

まず今の自分の感情や思考を受け入れ、そこに気づく態度。

 

CFT(コンパッション・フォーカスド・セラピー)がダメな自分を癒す

認知行動療法は科学的に信頼性高いメンタル治療法であり、CFT(コンパッション・フォーカスド・セラピー)

という認知行動療法のから枝分かれしたような療法があります。

イギリスのポール・ギルバート博士がはじめた心理療法(1)で、

恥や自己批判、自己否定といったメンタルを解決していくという点に特化されたものです。

 

ついついしてしまう、自己否定や自己批判、

そして、そんなクセは、他者否定や他者批判にもなってしまいがち。

妊娠しない自分はみんなと違う。みんなと同じようにできるようになりたい。

できない自分はダメだなんて責めることをやめて、

自分を信頼し、心立て直し、前向きに取り組める心を育てていった方が心も元気に

ストレスによる不妊を回避できますし、妊娠していくことに前向きになれますね。

 

自分には優しさを向けられず傷つけてしまう人も多い

ここで質問です。次の2つの質問からちょっとイメージしてみましょう。

・体も少し疲れて体調がすぐれない時に仕事を頼まれたらどうしますか?

・ちょっと疲れて体調がすぐれないから仕事を変わって欲しいと言ってきた相手に何て言ってあげますか?

 

どうでしょう?

ちょっと疲れていて、体調がすぐれない時でも、つい引き受けて頑張ってしまったり、

大丈夫な自分を装ってしまって仕事を引き受けて休む機会を先伸ばししてしまう

事もあるでしょう。

 

でも、他の人がつらいから休みたいと言ってきたら、

大丈夫?ゆっくり休んでくださいね。仕事は引き受けるから

気にせず早く元気になるようにしてくださいねと優しく言ってあげる事でしょう。

 

他者に優しくしてあげる様に自分自身にも同じように優しくしてあげるという事。

自分に優しくするという事は自己中心的になる事とは全く違います。

また自分に優しくしてあげないと逆に自己犠牲感も高まるためストレスをため込みやすくな

ってしまいます。

 

妊娠できない事で自分をどんどん責めたり否定的に

自分へのイメージが悪く、肯定できないほど不満を抱きやすく、

人間関係にもトラブルが生まれやすく不妊リスクも高まると

言われています。逆に自分に対しても妊活中も思いやりを持って、

大事に接していってあげる事がとっても大切です。

心の中で起きることなので、普段は無意識に自分自身に

ついダメ出しをしてしまっているかもしれません。

自分自身に肯定的な言葉をかけて、思いやりを持って接していく

セルフコンパッショントレーニングを受けた不妊女性は

受けない女性に比べて優位に心の心理的幸福度が高く回復すると

言われています。(2

 

比較に苦しむ 不妊で赤ちゃんがいない自分へのイメージ

不妊でなの悩みとしては周囲との比較や、比較されて劣っていると思われることへの

不安や恐怖心なども自分を苦しめるストレスになってしまいます。

自分にだけ赤ちゃんがいない、自分はみんなと同じようにできない、

周りの友達はどんどん妊娠したのに、同僚も妊娠したのに、

嫁として孫を見せられない女性なんだとか、何かと比較して赤ちゃんがいない

自分への自己イメージが悪くなってしまう事も多々あります。

周囲の反応やネガティブな評価に対して自分自身で自己否定をせずに

そのままで自分を受け入れていくことができれば、もっと幸福感を感じながら健康で

生きていくことができます。

そのため、セルフコンパッションが高いと、

自他の比較によって自尊心を維持する必要がなくなり、ありのままを受け入れながら

穏やかに日々を過ごせるようになるのです。

セルフコンパッションが高い人は、周囲からの反応がネガティブであってもポジティブであっても、

どちらも同じように受け入れることができます。

 

セルフコンパッションが低いとより不健康に

セルフコンパッションが低いと健康面へのデメリットが出てきます。

妊娠しやすさには心身ともに健康的という事が欠かせない点はご存知でしょう。

特に着床しやすくしていく、妊娠を維持していく際はストレスケアもとても重要です。

妊活中は夫婦間での温度差の違いを感じたり、誰にも言えない、

周囲はどんどん妊娠していってしまい、自分だけが孤独と感じる傾向が強まります。

 

セルフコンパッションが低いと自分への思いやりが不足しているため、

失敗やチャレンジを乗り越えられなかった自分に対しても

批判的になり、けなしたり、叱りつけたりという態度になります。

さらに、自分は無価値な人間であり、周囲の人間と自分は違うと感じるようになります。

すると、他者に対して嫉妬したり、孤立感を覚えてしまうのです。

そのため、セルフコンパッションを高め、自分自身に優しさと思いやりをもって

接してあげる様にしていきましょう。

 

自分に優しくすることは、自分と向き合う事

自分に対して優しくすると、自分を甘やかしてしまい、

成長しなくなるのでは、向上心がなくなってしまうのではと思う人もいますが、

自己への慈しみとは、自分を甘やかすことではなく自分と向き合うことです。

自分に厳しくし、叱咤激励ばかりしてしまうと、自分はダメだと思ってしまい、

逆に挑戦できなくなったり、乗り越えようとする心理にならなくなってしまいます。

自分に優しくできず、精神面で追い込まれることになると、

うつ病などの精神的疾患を発症する可能性が高まります。

 

良くても、悪くても、あっても、なくても、そのままの自分を受け入れて

自分が自分に優しく接していってあげることで、精神的に穏やかさと幸せ、

そして体も健康的になれるのです。(3

 

まとめ

妊娠しやすさと言えば、単純ですが心身ともに健康的である事も大切です。

健康というのは病気でないという意味ではありません。

そのため、病気でなければ健康だと思っていると

知らず知らずのうちに長く不妊に悩まなくてはいけなくなることでしょう。

まずは、自律神経にも影響がでてくる精神的な健康とケアを大切に、

そして、新しい命を生み出す女性、自分自身を大切にしいい状態にしてあげる事で

赤ちゃんは元気に育つことができ、この世に生まれてくることができますよ!

セルフコンパッション是非高めていきたい力と言えるでしょう。

 

参考文献

(1)Behaviour Research and TherapyVolume 44, Issue 1, January 2006, Pages 1-25

(2) 2019 Nov 7;17(10):757-762. doi: 10.18502/ijrm.v17i10.5300. eCollection 2019 Oct.Self-compassion training and psychological well-being of infertile female.

(3)October 2013Volume 100, Issue 4, Pages 1059–1067Mindfulness-Based Program for Infertility: efficacy study

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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