タバコを吸う喫煙が不妊の原因に!いつから禁煙すべき?

タバコを吸う喫煙が不妊の原因に!いつから禁煙すべき?

妊娠を望む女性にとって不妊の原因を作るタバコを吸う事・喫煙の害はどれくらいか

ご存知でしょうか。また禁煙はいつから取り組むべきことなのでしょうか。

喫煙による体や健康への害や妊娠中の喫煙がもたらす胎児や産まれてくる子供への

将来にわたっての影響などみていってみましょう。

今すぐ禁煙が必要で取り組みたくなるはずです。

 

男性と女性の喫煙率について

2018年「全国たばこ喫煙者率調査」、男女計で17.9%

2018年の喫煙率/喫煙者数は、男性:27.8%/1406万人、女性:8.7%/474万人となっています。

例えば1989年(平成元年)では喫煙率が男性の方に割合が多く男性61.1%、女性12.7%だったのに対し、

近年では男性は喫煙率が減少しここ30年ほどで約半分ほどに低下してきています。

しかし、まだ男性の3割、女性の1割弱が喫煙しているという実態があります。

さらに、喫煙の影響は受動喫煙にもあり、

 

 

不妊の原因となるタバコ 喫煙による害とは

禁煙する不妊女性

不妊の原因は様々ありますが、その人の生活習慣によって体の健康状態や

老化の進行速度というのは違うものです。

酸化ストレスにさらされることで卵子も精子も質が低下し不妊の原因と

なってしまう事が指摘されており、喫煙もそんな細胞にダメージを与えてしまう

原因となることが様々な研究からも言われています。

喫煙者が吸っている煙や、タバコから立ち昇る煙、そしてさらに、喫煙者が吐き出す煙にも、

ニコチンやタールといった多くの有害物質が含まれています。

そのため、本人は喫煙していなかったとしても、その影響を受けてしまうのが受動喫煙です。

受動喫煙との関連が「確実」と判定された病気だけでも、

肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群(SIDS)の4疾患が深刻だといわれています。

妊娠には健康的であることも条件になるため、喫煙は健康を損なうものの代表として

禁煙に取り組みたいところですが、ニコチンには依存性もあり中々止めたくてもやめられない

といった問題も潜んでいます。

 

タバコを吸っているとどれくらい不妊に影響するの?

禁煙訴える妊婦さん

血液中のFSHは高まると卵巣機能が低下してきていることを示します。

女性で喫煙習慣がある方は、血液中のFSH値の値は、非喫煙者に比べると

約23%高くなるというデータがあります。

血液中のFSH値が上がってくることは、卵巣機能の低下を示し、

卵子の数が減少してしまうこと、そして閉経が早まる可能性も意味します。

さらに一度減少してしまった卵子のもととなる細胞は、あとから回復し増やすことが

できません。タバコの害のおそろしいところは、女性本人がタバコの喫煙だけでなく、

副流煙といって他者が吸っているタバコの煙を吸う事による受動喫煙でも同じように

閉経が早まることとの関連が認められているのです。

妊娠はゴールではなく、母子ともにいい状態で分娩でき子育てしていかれることが

望ましく、女性の喫煙は、不妊にはじまり、妊娠後の早期破水・前置胎盤・胎盤異常、

早産や妊娠期間の短縮にもつながっており影響がでています。

 

男性の喫煙による精子への影響

また男性の喫煙は男性不妊の原因にもなってしまいます。

男性の喫煙によって精子の質などにも影響が出ます。

喫煙は、以下の5点において全てに悪影響が出る事が報告されています。

・精液量の減少

・精子濃度の低下

・運動率の低下

・正常形態精子率の低下

・総精子数の減少

 

喫煙によって精液検査で調べる全ての項目と言っていいほど、

精液量、精子濃度、運動率、正常形態精子率、総精子数 全てを低下させてしまいます。

また、精液中のニコチン代謝産物が精子の運動性を低下させてしまったり、

精細胞のDNAを障害することなどが原因ではないかと推測されています。

そのため、精液検査だけではわからない精子DNA損傷レベルも高まります。

そして、そうなると、たとえ不妊治療で体外受精 を行った場合であっても、

喫煙者カップルは そうでないカップルと比較して妊娠 までに約2倍の治療回数を要するように

なってしまいます。

受精以降、着床や流産の回避のためにも細胞のDNA損傷が少ない方が妊娠には有利になります。

 

喫煙者と非喫煙者とでは妊娠率はどれくらい違うの?

 

胚移植あたり臨床妊娠率

引用 生殖補助医療における胚移植あたり臨床妊娠率(田園都市レディースクリニック 喫煙群75周期 非喫煙群545周期)

2005年に田園都市レディースクリニックにおいて、喫煙者と非喫煙者とでは

体外受精での妊娠率の違いを比較している

統計では、上記のような結果となり優位な差があったようです。

非喫煙郡では妊娠率が40.2%だったのに対し、喫煙者の郡では23.6%の

妊娠率となっています。

タバコを吸っていない方の方が妊娠率が高い傾向があることがうかがえるのと、

意外にも喫煙者が多い事もうかがえます。

 

喫煙による妊婦さんや胎児への悪影響について

 

相対危険度 調査地 低出生体重児 早産
田中による調査(1964) 柳橋病院 1.9 1.5
星らによる調査(1977) 東北大学附属病院 1.9 1.6
厚生省研究班による調査(1979) 全国11ヵ所の大学病院 2.4 3.3
久富らによる調査(1982) 川﨑中央病院 2.2 1.5
黒倉らによる調査(1984) 大阪府立病院 1.7 1.7
中村らによる調査(1988) 大阪府 2.5 1.9
濱田らによる調査(1988) 東京都立築地病院 1.3 2.9

引用 厚生労働省妊娠中の喫煙が胎児に及ぼす相対危険度
(非喫煙者を1とした時の喫煙者の危険度)

 

喫煙は母体への影響だけにとどまらず、お腹の中の赤ちゃん・胎児の発育ににも

悪影響がでてくることが懸念されます。喫煙している妊婦さんから生まれた赤ちゃんは

喫煙していない妊婦さんから生まれた赤ちゃんに比べると2倍近く

低出生体重児となる割合が高まります。低体重出生時はのちにメタボリックシンドロームになる

危険性もしてきされており、自分の子供が一生涯にわたって健康的に生活できるように

してあげられると好ましいですね。

さらに、喫煙している妊婦は喫煙していない妊婦に比べ、早産、自然流産、周産期死亡

(妊娠28週以降の死産と、生後1週間以内の早期新生児死亡)の危険性は高まっています。

特に35歳を過ぎたころから30代後半、40代にかけては老化の影響やストレスなどからも

流産率が40%~50%へとさらに高まりますので、禁煙は必須と言えるでしょう。

 

副流煙の影響は飲食店・外食がきっかけにも

受動喫煙の機会は外食時に多いという事も言われています。

自分は吸わなくても他者が吸っているタバコの煙が影響してしまう点もあります。

厚生労働省でも受動喫煙に対しては飲食店などで外食等をしたさいに

煙を吸ってしまう事の影響が言われており、その対策が必要とされています。

外食をした際にも影響が受ける部分もありますが、

ファミレスなどの外食産業で働いている人の約6割が受動喫煙を経験していると

繊維や流通、食品などの労働組合でつくる産業別労組「UAゼンセン」での

調査報告があります。お客さんの喫煙による受動喫煙を経験してしまうため、

食事を提供する場の全面禁煙を求める声も高まっているようです。

 

閉経が早まってしまえば30代40代妊活にも影響

タバコを吸う事で、卵子の数も減ってしまう、閉経が早まってしまい

妊娠しにくいといったことに始まり、流産や早産しやすいという影響や

乳幼児突然死症候群(SIDS)やさらに小児喘息などにもなりやすいという事から

30代、40代での妊活女性にとって喫煙というのは影響が大きく出てくるといえます。

晩婚化がすすみ、初産の年齢も引きあがってきています。

30代40代で妊活をする女性も増えているため

自分が吸うだけでなくパートナーや他者が吸う煙による被害も同様に出てしまうため

喫煙対策は必要であり、気をつけていきたいところです。

 

喫煙して妊娠している人もいると思うのは危険

喫煙していても赤ちゃんを授かるご夫婦もやはりいます。

しかし、35歳以降は女性も年齢的な影響を受け初め出産についても

ハイリスクになっていきます。妊娠をきっかけに妊娠高血圧症・妊娠糖尿病

などを発症することもありますし、流産や早産のリスクも高まるため

せっかく授かった命なのに悲しい思いをしなくてはならない確率が高まって

しまいます。あの時禁煙していたら産んであげられたかもしれないという

後悔は一生ついて回ってしまいます。そういった後悔を回避するためにも

妊娠前からできる取り組みをしていきましょう。喫煙していて産んでいる人も

いると思って自分も大丈夫だと思いこむのは危険ですし、喫煙している人は

やはり体外受精などでも妊娠率が低い傾向にあるためより不妊で悩まなくては

いけない確率が高まってしまいます。

 

妊娠したいなら いったいいつから禁煙すべき?

妊娠を望むのであれば、夫婦そろって今すぐに禁煙することが望ましいといえます。

分煙といって、喫煙スペースを分けたといっても、

タバコを吸った後も出る呼気からは有害な物質が含まれるためそれを吸ってしまうし、

衣服にもつくため、どうしても体内に取り込んでしまいます。

そのため受動喫煙してしまうことになります。

また、たばこの煙に含まれる有害な成分は空気清浄機などでは除去できないため

夫婦そろってタバコを止めるという取り組みが望ましいでしょう。

妊娠しにくいだけではなく、流産や早産、さらには産まれてくる子供や

産み育てていくパパ・ママの健康状態を考えてもタバコは害しかありません。

今すぐとりくみはじめましょう。

 

 

参考文献

厚生労働省「喫煙の妊娠出産などへの影響」

厚生労働省「受動喫煙 – 他人の喫煙の影響」

厚生労働省「資料7 喫煙の健康影響について」

病気や症状等の医療情報をわかりやすく 医師・病院と患者をつなぐ医療検索サイト|メディカルノート

田園都市クリニック 不妊の原因 - 喫煙があたえる卵子と精子への影響https://medicalnote.jp/contents/171227-004-CA

いまいウィメンズクリニック 喫煙と妊娠の関係は?https://ameblo.jp/imai-clinic/entry-12394779734.html

外食産業で働く人、6割が受動喫煙「経験あり」- UAゼンセン調査

Li Y et al. Association between socio-psycho-behavioral factors and male semen quality: systematic review and meta-analyses. Fertil Steril. 2011 Jan;95(1):116-23.

British Medical Association Board of Science and Education & Tobacco Control Resource Centre :
Smoking and reproductive life. The impact of smoking on sexual, reproductive and child health, 2004

Feldman HA, Johannes CB, Derby CA, et al : Erectile dysfunction and coronary risk factors : prospective
results from the Massachusetts Male Aging Study. Prev Med, 30 : 328-338, 2000

Mc Vary KT, Carrier S, Wessells H : Subcommittee on Smoking and Erectile Dysfuncition Socioeconomic Committee. Sexual Medicine Society of North America. 

Smoking and erectile dysfunction : evidence based analysis. J Urol, 166 : 1624-1632, 2001.

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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