不妊治療中の女性 心身症患者と同等の不安度に

不妊治療中の女性 心身症患者と同等の不安度に

頭を抱える女性

不妊の悩みはかなり精神的に追い込まれる、不妊治療はつらいったことは

実際に体験している方でないと分からない部分もあるかもしれません。

また、つらい思いをしていてもどの程度のストレス度なのか。

どれくらいメンタルケアが必要なのかという事も不妊の悩みを抱えている本人も

知らずにいる点もあるかもしれません。

 

不妊治療中の女性は高ストレス度

不妊治療中の女性を対象にストレス度がどの程度高いのかを調査した研究では、

驚くほど高いことがわかりました。

妊娠には心身共に健康であることが欠かせないのですが、精神的なストレスも例外ではなく

心のケアの必要性を感じさせられます。

 

ストレスを感じている女性ほど、不妊になりやすく、妊娠までの期間も伸びるという

研究報告もあるので、メンタルケアの重要性も知っておいて欲しいところです。

さらに、人に相談できないと思う人ほどそのストレス度はより高いので、

抱え込み、一人で妊活を頑張っていると思っている状態や、

不妊治療は私ばかりが何とかしなくてはいけないと思っている、

周囲はどんどん妊娠していってしまったという状況はよりつらさを感じやすいでしょう。

 

 

不妊治療を受ける女性のストレス度は心身症レベル

高度生殖医療と一般不妊治療を受けている女性に対しState-Trait Anxiety Inventory(日本語版)を用いて

ストレスがどれくらいかかっているのかを測定した研究では、平均特性不安が46.5±9.5,

平均状態不安48.6±8.6であったようです。

高不安状態にある者が,特性不安では全体の約53% 状態不安では全体の約80%を占めており、

多くの女性が強いストレスをうけ不安を抱えながら治療にのぞんでいることがわかります。

状態不安については、正常成人と比較して高くい事がわかっています。

しかもそのレベルは、心身症患者と同程度であったと報告されています。

高度生殖医療あるいは一般不妊治療かの違いによる不安の程度に差はありません。

不妊治療を受ける段階ではかなりストレス度は高まっているといえます。

さらに、高度生殖医療を受けた女性では不妊の原因が自分自身にある場合はさらに

不安状態が高い傾向にあることが示されています。

これらのことからも治療を受ける過程においてはもちろん、

心理面でのフォローアップまたはサポートが必要であることを示唆したと報告しています

 

 

特性不安と状態不安について

不妊治療を受ける女性の多くが抱えている特性不安と状態不安についてみていきましょう。

不安とは、自分にとって何か悪いことが起きるのではないかと感じることによって

うまれてくる漠然とした気分のことです。

不安の対象が特定され、不安がとても高まると恐怖という気分になります。

不安というのは、主に状態不安と特性不安という2つに分けることができます。

状態不安は、ある特定の時点や場面において感じている不安のことを指します。

ストレスが強いほど、またストレスに長時間さらされているほど、状態不安は高まる傾向にあります。

特性不安は、状態不安のように一時的に感じている不安ではなく、

その人の性格などに由来する不安になりやすい傾向であり、これといった原因が

なくても感じやすいため、特性不安は比較的安定しており、また個人差によっても変化します。

特性不安が高い場合は、何らかのストレスがかかると比較的不安になりやすいため

特性不安が低い人に比べると、さまざまな状況下で状態不安が生じ、

ストレスにさらされやすいとも言えるでしょう。

 

不妊治療で妊娠を希望する方でもメンタルケアは必要

自然妊娠を望むからメンタルケアが必要という事でもなく、

不妊治療で妊娠を望むという方にとっても精神的に不安を和らげていく

カウンセリングやメンタルケアは重要なサポートであり、必要であることも示唆されています。

また、不妊の原因が自分にあったり、流産を経験すればその度合いはより高まります。

 

不安が強い状態、ストレス度が高い状態では、自律神経でも交感神経が優位になりやすく

発生学的に見て胎児への動脈が母親からの神経支配を受けるため、

着床、またその後の妊娠の維持にも問題が出るという説もあります。

妊娠しやすく心身ともに健康的でいい状態に、カウンセリングなどを役立てていくのも

いいですね。

 

 

参考文献

生殖医療を受けている女性の不安 (科学技術–医学–産婦人科学) // (社会・労働–社会問題・社会保障)五十嵐 世津子 弘前大学大学院保健学研究科 他

不妊治療を受けている女性の抱えている悩みと取り組み 長岡 由紀子 日本助産学会誌 14(2), 18-27, 2001-02-05

不妊治療の長期化が女性の日常生活と健康に与える影響について 鶴巻 陽子 , 江守 陽子 , 村井 文江 , 永井 泰 , 小笠原 加代子 , 石渡 勇母性衛生 = Maternal health 54(1), 78-85, 2013-04-01

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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