卵巣チョコレート嚢胞の原因と妊娠率
近年増加傾向にあると言われている、子宮内膜症。
その中でも、チョコレート嚢胞は不妊になる確率が高いと言われています。
今回は、そんなチョコレート嚢胞の原因と妊娠率について。
チョコレート嚢胞とは?
子宮内膜は、本来、受精卵の着床に備えています。
しかし、妊娠が成立しないと、膣から出血となり排出されます。
これが、月経です。子宮内膜症とは、子宮の内側だけに存在するはずの、
子宮内膜が、子宮以外の場所に異所的に存在し、増殖してしまう病気です。
子宮内膜症の中でも、「チョコレート嚢胞」とは卵巣の中に発生するものをいいます。
子宮内膜に似た組織が卵巣の内部で増殖・出血を繰り返してしまいます。
この出血が卵巣内で溜まってしまい、嚢胞と呼ばれるふくろ状の組織になってしまうのです。
溜まった血液は時間が経つにつれ、チョコレートのような茶褐色のどろどろした形状になります。
この形状からチョコレート嚢胞という名前が付いています。
子宮内膜症の症状の進行度は1~4であらわされており、1は軽症4は重症となります。
チョコレート嚢胞が発見された段階でステージ3以上に進行していることになります。
軽度から重症まで段階があるのです。
チョコレート嚢胞の症状
チョコレート嚢胞の主な症状は痛みです。
どのような痛みかというと
- 一般的な月経痛よりも痛みが強く、出血が多い
- 性交時に圧迫されるような痛みを伴う
- 嚢胞が大きくなると、圧迫されたり、癒着などにより慢性的な骨盤痛を起こす
などです。
その他の症状としては、嚢胞が大きくなると、頻尿や便秘になったりします。
さらに、嚢胞が大きくなったり、悪化すると破裂をする可能性があります。
破裂してしまうと、激痛を伴い、手術が必要となってきます。
チョコレート嚢胞の原因
チョコレート嚢胞を引き起こす、子宮内膜症の原因は今のところ、はっきりとしたものが解明されていません。
そのため、いろいろな説はあるものの、チョコレート嚢胞のはっきりした原因は解明されていないというのが現状です。
チョコレート嚢胞で妊娠確率は?
子宮内膜症患者さんは、3年間の累積妊娠率が軽症でも約25~50%、
チョコレート嚢胞がある重症例となると約5%と報告されます。
データを見てお分かりいただけるように、チョコレート嚢胞を有する、
重症な子宮内膜症では著しく妊娠率が低下してしまいます。
チョコレート嚢胞を摘出することで、妊娠率が高くなるという報告もあります。
重症化する前に早期治療することが大切だと思います。
子宮内膜症の再発と癌化の問題
子宮内膜症の手術後、2年で20%、5年で40~50%が再発されていると、2009年に報告されています。
また、静岡県の調査によりますと、卵巣内膜症の癌化の割合は、20~30歳代では1%前後です。
しかし、40歳以降は4~5%に増加するとのことです。
また、一般的に内膜症は閉経後に自然治癒するとされています。
しかし、50歳以降の癌化率は20~25%、更に60歳まで放置すると約半数が癌化するという報告があることも
覚えておいた方が良いかもしれませんね。
まとめ
今回はチョコレート嚢胞の症状、原因、妊娠率について。
チョコレート嚢胞では著しく妊娠率が低下してしまいます。
月経痛が悪化したり、激痛を伴う月経痛などの症状がみられた時は、我慢せずに早めに受診をしましょう。
妊娠につなげるために大切なことは早期発見!早期治療です。
<参考文献>
婦人科「子宮内膜症、特にチョコレート嚢胞の治療について」 – 診療科・専門外来 | 羽島市民病院
http://www.hashima-hp.jp/bumon/fujinka/fujinka02.html
チョコレート嚢胞・嚢腫での妊娠率は・・・? | 不妊治療ガイド.jp
http://不妊治療ガイド.jp/healing/ladies/choco/ritsu/
チョコレート嚢胞でも妊娠できる?原因・症状・治療法と妊娠への影響 | MARCH(マーチ)
https://kosodate-march.jp/chocolate-cyst54965/