冷えが不妊の原因に 血液循環から妊娠しやすくするには?
男性に比べ筋力が少ない女性はとくに悩まされる冷え性。血液循環の悪さから
様々な症状や病気になりやすいという事も言われていますが、不妊の原因となるのか
冷えを改善し妊娠しやすくしていくためにはどうしたらよいか見ていってみましょう。
血液の循環と働きについて
血液の循環とその働きには大きく分けて2つの役割があります。
私たちの体が温かさを保てているのは、心臓から送り出された血液が熱を乗せて
全身をめぐり、また足は第二の心臓と呼ばれ血液を心臓に戻すように働いているからです。
血液は心臓の左心房から送り出され、心臓や筋肉のポンプのような作用で大動脈、
足先の毛細血管や静脈を通り、心臓の右心室に戻るという循環を行っています。
血液が全身を回るために約1分ほどかかります。心臓は24時間休むことなくこの
循環を維持させています。
血液循環(血行)と呼ばれる酸素や栄養分を全身の組織に届け、
老廃物や痛みの原因となる疲労物質、発痛物質などを体中の組織から回収してくることを担っています。
そのため、血液循環が悪くなると細胞に酸素や栄養を届けることができない、
ホルモンの運搬ができない、老廃物を排出できずにため込んでしまう結果として体に様々な
不調がでてしまいます。
女性を悩ませる冷え・冷え性とは・・・
冷え性は、入浴後すぐなのに手足が冷える、手足が冷えて眠つきにくい、
体が温まりにくいといった症状をもち、女性に多いのが特徴といえます。
冷えを持っていると、血液循環が悪くなるため、冷えだけでなく、
むくみ、腹痛、頭痛、生理不順、月経トラブル、PMS、抑うつ感など、
体調面や心理面にもさまざまなトラブルを伴うことがあり、妊活中の女性にとっては
気になる問題だといえます。妊娠できない原因が冷えにあるのでは・・・
そう思う女性も少なくないはず。
米国のラッシュ大学医療センターによると、冷え性が女性に多い理由としては、
女性の生活習慣は冷えを招きやすい点と、一般に女性のほうが男性より筋肉量が少ないこと、
女性ホルモンのやり取りによっておこる月経・出産・閉経などに伴って
ホルモンのバランスが崩れやすく影響が出る事が多いことなどがあげられています。
冷えの原因とは
女性の体が冷える原因として、あげられるのは、体質・体格、自律神経の働きの乱れ、
女性ホルモンの変化、生活習慣など多岐にわたってが考えられています。
なかでも、生活習慣では衣食住やストレスが冷え性の原因となる場合が多いといいます。
冷えの定義はあいまいであったり基準も様々です。
ただ、冷え症の原因として影響しそうな要因としてあげた41項目の食生活や生活習慣をもとに
冷え症との関連が有意であった要因を取り上げると以下になっています。
・菜食主義で野菜を摂取する傾向が強い
・麺類をよく食べる
・偏った食事
・不規則な睡眠
・ストレスが多い
・間食が多く甘いものをよく食べる
・果物だけで食事を済ますことがある
・BMIが低い
<参照:若年女性の冷えと食および生活習慣との関連/日本食生活学会誌/第26巻第4号>
また、上記の研究には運動の観点が入っていないが
筋肉量の少なさから冷えを感じる女性が多いため、冷えには運動不足や
デスクワークの多さなども影響するといわれています。
筋肉は体の35%~40%の熱を産み出す部分です。不足することで冷えやすくなってしまうと
言えるでしょう。
冷えと不妊との関係はいったい?
こちらの研究では、冷えと不妊症との関係そのものには大きな差が生じず、
冷えがあっても妊娠する人もいれば不妊症で悩む女性もいることがわかります。
「冷え症と判定された不妊症者50%(6名/12名)と不妊症ではない者52%(32名/62名)では比率に差がなかった。」
(全体数74名:上記に加え、冷え症なし不妊症あり6名/冷え症なし不妊症なし30名)
<引用:女性の冷え症状と不妊症との関係について/全日本鍼灸学会雑誌/2016年第66巻3号>
また、こちらの研究によると非妊娠時から冷えを感じている女性が72%おり、
冷えを感じている女性の多さもうかがえます。
冷え症の定義,測定,特徴および妊婦の冷え症に関する文献レビューと今後の研究の方向性京都大学
女性とくに現代ではダイエットなどで痩せの傾向が高まる中で冷えを併せ持つ
女性が多く、全体的に多くの女性が冷えを抱えて生活していることがうかがえ、
冷えがある事そのものが不妊に直結しているとはいいがたい点があります。
冷えの強さ度合いが不妊に影響
ただ、冷えの度合いの強さが、不妊に影響を与えているといえそうです。
不妊治療者は冷えを自覚している人が多く、複数の自覚症状が伴う場合は明らかに
不調が出ている状態のため、体力面、精神面においても悪い影響を及ぼしています。
より冷えを強く感じ症状を併せ持っているほど不妊症で悩む傾向があるようです。
以下は、不妊症者における冷えの自覚調査の結果を引用したものです。
「不妊治療中の女性74名(平均年齢37.5±4.4歳)で冷えを自覚している者が77.0%を占め、
一般に冷えを自覚している女性と比較して多い」
妊婦の冷えは出産・産後にどう影響するのか
体が冷えると筋肉が硬くなり、血行が悪化します。
そのため、子宮がうまく収縮できず、本来お産が進むに連れて強くなるはずの陣痛が、
強くならない可能性があります。
陣痛が弱いと子宮口が順調に開かず、
出産に時間が掛かってしまうなどの影響が出る可能性が示唆されているようです。
また、妊婦を対象とした冷え症の調査や研究は,論文数も少ないため実態調査が多く
妊娠前冷え症であった女性は妊娠後も冷え性を訴える事も多くマイナートラブルを抱え
る傾向が強い事がわかっています。
妊娠しやすく 冷え性の対策とは
冷え改善のために取り組むことで、血液循環を改善し、諸症状の緩和につなげ
妊娠しやすくなっていきましょう。妊娠を司る女性ホルモンも血液循環の影響を
受けるものです。不妊で悩んでいたり、ホルモンバランスの乱れが気になる場合は
特に気をつけていきましょう。
主に、冷えに影響を与える、食生活、間食・甘いもの、運動、睡眠、ストレス、
体格BMIといった部分を見直していってみましょう。
血行を良くする食生活
野菜の摂取そのものは血流速度を高めるとされていますが、菜食主義の場合は、
BMIが低く痩せの傾向が強い事が言われています。また野菜の摂取そのものは
問題ないけれど、栄養バランスが偏る傾向があると冷えにつながりやすい研究結果
となっています。筋肉の素となるような肉や魚豆類などタンパク質の摂取が好ましい点も
あります。麺類が多い食事をする場合もやはり副菜を欠きやすく栄養バランスが乱れやすい
傾向が強まる事やインスタント食品やレトルト食品の摂取もできるだけ控え
バランスよく規則的に食べることが冷え改善につながる食事といえます。
冷え症改善に甘い間食は控えて
甘い洋菓子を食べる傾向がある場合、菓子パンなどの摂取や間食する傾向も
高く、冷えを訴える傾向も高くあります。
白い砂糖は冷えの素とも言われていますが、糖質の摂取に伴う影響が自律神経を介し
冷えにつながりやすくなります。
砂糖が入った甘いものや間食はできるだけ控えていくとよいでしょう。
筋力アップに運動と足のセルフケア
筋力量が多いほど熱を産み出し、ポンプとして送り出される血液の循環をよくすることも
可能になります。そのため、全身をつかった有酸素運動などを習慣にすることも
効果的です。デスクワークが多い場合は、こまめに体を動かして、
血液循環が悪化してしまうのを避ける事も心がけていきたいですね。
他には、下肢の血液を心臓に向かって戻していくためのお手伝いとして
簡単なマッサージなどでセルフケアを行っていくのも効果的です。
また、筋トレなどに取り組むことで筋力アップも期待できます。
睡眠不足改善で自律神経を整える
睡眠不足や不規則な生活集リズムは自律神経の交感神経を高め
血流を傷害しやすくなります。睡眠不足があるほど冷えを感じる傾向があるため
ぐっすりと睡眠をとるようにしていきましょう。特に30代、40代では
睡眠不足も深刻問題になっています。睡眠負債という言葉があるように
寝だめだけでは日頃の睡眠不足を解消することもできません。
睡眠は冷えだけに限らずホルモンバランスにも影響が出やすい部分なので
規則正しく睡眠を確保していきましょう。
痩せずぎBMIによる冷え改善
痩せすぎで体格指数であるBMIが低い場合は冷えと関連が強く、
体重管理の必要性と充分な熱を産み出すだけの栄養の摂取の必要性もうかがえます。
また、BMIの低さは冷えだけに限らずホルモンバランスにも影響しやすく
不妊との関係性も出てきます。BMIは理想値が22とされより健康的でいい状態
基準値内におさまるようにメンテナンスしている事も必要です。
シンデレラ体形のような痩せすぎ、ダイエットなども妊娠しにくさにつながりやすいので
気をつけていきたいですね。
冷え改善にストレスケア
ストレスをよく感じる場合、ほとんど感じない場合に比べて冷え症の発症率は
3.07倍にも上がるといわれています。冷えを訴える女性ではストレスや疲労を
訴えることが多く、ストレスが交感神経を刺激しその結果血管を収縮させ
血流障害を招いており、ストレスと冷えの関係については冷水負荷試験でも報告
されています。ストレスは冷えを悪化させるため、心のケアも妊活中は大切になります。
不妊で悩む女性の多くは不安や焦りも感じており、不妊治療をする場合はより強い
ストレスにさらされる傾向もあります。ストレスケアが冷え改善につながり
妊娠しやすさにつながっていくため、外から温めるだけではなく心のメンテナンスを
大切にしていきましょう。
まとめ
多くの女性が抱える冷え性の悩みは、強く感じて冷えによって引き起こされる
自覚症状が強く多いほど不妊症になりやすい傾向もあります。
冷えがあるから必ず不妊になるわけでもなく妊娠していっている人もいるため、
冷えをできるだけ改善するための取り組みによって妊娠しやすくしていくことも
大切になっていくでしょう。冷えというと体をホッカイロやひざ掛けなどで
物理的にあたためる事に注目が生きやすいかもしれませんが、冷えの改善には
生活習慣の見直しや体型・ストレスケアなどが影響が大きく取り組んで欲しい点になります。
参考文献
血液の循環をよくして妊娠しやすいカラダをつくるhttps://www.akanbou.com/topics/topics/040.html
https://www.nipro.co.jp/sukoyakanet/50/
血行不良・血行障害を改善して冷え性から脱出する3つのポイント /カラダ治す通信https://www.karada-naosu.net/poor_blood_circulation_improvement
妊婦の冷え対策は?お腹が冷たいと胎児に影響がある?/子育てハックhttps://192abc.com/17165
冷え性を克服するための6つの改善策冷え性の原因は血行不良/一般社団法人日本生活習慣病予防協会http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2016/008960.php