糖化・老化のスピードを変える!妊娠しやすい食べ物とは
細胞の老化が、卵子や精子といった生殖細胞の質に関係していきます。
劣化した細胞程ダメージを受けているため妊娠しにくくなりますが、
そんな劣化が積み重なったのを老化とも表現できます。劣化のスピードを食事から
変えていってみてはいかがでしょうか。
細胞の老化とは 酸化と糖化
細胞が老化していってしまうのは、体内に取り込まれた酸素が活性酸素に変わり
そのダメージを受けることで劣化していくといわれています。
その酸化と並んで糖化というのも今は重要視されています。
糖と結合して代謝の産物として出来上がるAGE(終末糖化産物)は
体の中に悪玉物質を増やし強い毒性を持つといわれています。
AGEは食事にも含まれるし、毎日すこしずつ体内でも生産され蓄積されてしまいます。
老化のもととなる酸化や糖化を防ぐ効果が高い食べ物もあります。
食品を取り入れたレシピで老化のスピードをゆっくりにしていってあげましょう。
高血糖の状態は不妊リスクを高めてしまうという研究もあります。(1)
中国の大規模な研究で、妊娠歴のない方2,226,048名を対象に、
妊娠前の空腹時血糖と妊娠率の関係をしらべていて、
12周期あたりの妊娠率は、空腹時血糖正常(42.3%)と比べて、
境界型(35.5%、0.82倍)と糖尿病(31.5%、0.74倍)で有意に低くなっています。
また、血糖値90mg/dL未満その中でも最も良いのは70〜88mg/dLで、妊孕性が良好という結果でした。
健康診断の際にチェックしてくれている数値なので参考にしてみるとよいのではないでしょうか。
AGEはなかなか体内から排出されにくい
AGEには毒性が強いことがわかっているものの、体外に全く排出されないまでも
なかなか体外に出すというのは難しいのかもしれません。
一部は、体内で分解されてAGEsペプチドになることで、腎臓から尿として出ることはあるようです(1)。
そのため、今のところできる点としては、血糖値を高めない、という点と
既にあるAGEからの悪影響を最小限に抑えるといった点です。
AGEの生成を抑えてくれるおすすめ3大食品
鶏肉
鶏肉は、若返りのビタミンとも言えるビタミンB6 が多く含まれていて、
ビタミンB6は体内でタンパク質と糖が結合するのを止める作用があるようです。
また鶏肉にはカルシノンと呼ばれる活性酸素の発生を抑える作用がある物質が
多く含まれ、若返り食品としては注目を浴びています。
カルシノンは人の体の中にも肝臓や筋肉内に存在しますが、
年齢とともに減っていってしまうため補給してあげるとよいでしょう。
肉類の中では、鶏肉が最善かもしれません。牛肉や豚肉にはかなりAGEが含まれます。
鶏肉もできるだけ避けて、タンパク質は、豆類や魚類に傾けておいた方がメリットは大きそうです。
鮭など
鮭のピンク色の素になっているアスタキサンチンには、強力な抗酸化作用があり
酸化し劣化していってしまうのを防いでくれる作用があります。
そのパワーは、抗酸化作用が高いといわれるビタミンEの500~1000倍とまで言われ、
若返り食品として注目を浴びています。
他にも、鮭にはDHAやEPAなども豊富なため、献立を立てては計画的に登場させてあげましょう。
アスタキサンチンは他にはエビやカニなどにも含まれています。
納豆
納豆はたくさんの抗酸化物質やビタミンB 郡を豊富に含みます。
手がるに摂取でき、毎日でも摂取したいくらいの食品です。
血管の中の血液の流れもよくしてくれるビタミンEも含むため、
大豆製品などを何かの形で摂取できるとよいでしょう。
昔から、大豆は形を変えてほぼ毎日食卓に並ぶくらいの優秀な食品です。
きなこ、大豆、枝豆、もやし、納豆、豆腐、あげ、しょうゆ、みそ、などなど幅広いですよね。
これだけといった食材に限らず、
糖化や酸化に効果的とされる地中海式の食事療法も参考にどうぞ。
AGEを増やさないように調理の工夫
油と糖質とタンパク質が一堂に会するとAGEは発生しやすくなります。
そのため、調理方法として、油で揚げる、焼くという他にも、
普段の料理の調理方法に、
煮る・蒸す・ゆでるといった調理方法とを組み合わせるというのも1つの工夫ですね。
AGE特にNGとされる3大食品
AGEはタンパク質と糖とが加熱されることによって生まれるという事で、
特に要注意とされる食品もご紹介しましょう。
AGEを増やしてしまう食品として、
ベーコンやフランクフルト、フライドポテトができれば頻繁に食べることは
避けたいNG食品と言えるでしょう。
特にベーコンは意外にもAGEを多く含む食品です。
加工食品やサラダオイルなどで高温調理されている食べ物は除外対象ということになりますね。
ストレスが増えるとAGEを増やしてしまう
ストレスがかかると血糖値を上げるためのホルモンが分泌されるため、
AGEが増えてしまうようになり体内で糖化がおこりやすくなってしまいます。
ストレスには日々の心のケアがおススメです。
インスリン過剰が周産期の合併症や死亡率増加、反復流産に
妊娠6〜8週で中絶手術を行った方の胎盤から、
インスリン(1nM)and/orメトホルミン(10μM)を添加・培養し、
胎盤の細胞(トロホブラスト)のDNAダメージ、アポトーシス、細胞生存率を調べた研究(2)では、
インスリン添加により胎盤の細胞はDNAダメージが3.86倍に有意に増加し
アポトーシスが増加したため細胞生存率が0.34倍に有意に低下してしまったのです。
一方、メトホルミンはこの変化を抑制しましたが、特に事前に投与したメトホルミンが最大の効果を発揮しています。
高血糖という状態が悪いというよりは、近年では、インスリンの過剰分泌やインスリン抵抗性が
問題視され始めています。インスリン抵抗性は、胎児奇形増加、胚発生遅延、周産期の疾病増加と死亡率増加、
反復流産(不育症)のリスク因子であることも知られています。
血糖値が高まるような食事スタイルやライフスタイルでは、インスリンが過剰分泌されるようになり、
結果インスリン抵抗性が高まってしまいます。
高血糖・インスリン過剰がPCOSにも影響
PCOSでの糖尿病治療薬メトホルミンを用いた体外受精についてはメタ解析された研究(3)ではプラセボ群と比べ、
メトホルミンを用いた場合では、妊娠率が1.52倍と有意に増加し、
OHSSが0.29倍と有意に低下しています。ただ、生産率には有意差を認めませんでした。
高血糖やインスリン過剰がPCOSに関係し、また体外受精での妊娠率を下げてしまう点からも
できるだけ血糖値の上昇やインスリン抵抗性が高まらないようにライフスタイルは
気をつけていきたいですね。
甘未飲料水の摂取が老化に初潮年齢の引き下げ
アメリカの研究より。全米50州から登録した16,875名の子ども達の前方視的研究で、
1996~2001年に9~14歳で初潮前の女児5,583名を追跡調査た結果、
5227名(94%)から初潮年齢の報告があり、
甘味飲料水(非炭酸フルーツ飲料、甘味炭酸飲料、砂糖入りアイスティー)の消費量との関連を調査しています。
週に2杯以下の甘味飲料水消費の方と比べ、毎日1.5杯以上消費する場合は
初潮は2.7ヶ月有意に早くなっています。初潮年齢がはやまるというとちょっとませているといった
感じかもしれませんが、体は明らかに老化していいて急成長してしまっているわけです。
特に、甘味炭酸飲料で有意差が最も強いという点でも糖化の影響の強さが浮き彫りになっています。
さらにこの傾向はBMIとは無関係であるため、高血糖・インスリン抵抗性の高さなどが
影響していそうです。初潮年齢が早いほど、乳癌や子宮体癌のリスクが増加することや、
肥満、2型糖尿病、インスリン抵抗性、新血管疾患のリスクも高まります。
また初潮が早いと、AMHが低下するという報告(4)もあり、糖化の影響はできるだけ避けたいところですね。
参考文献
(1)Hum Reprod 2019; 34: 1325 doi: 10.1093/humrep/dez069
(2)Fertil Steril 2019; 111: 489 doi: 10.1016/j.fertnstert.2018.11.032
(3)Fertil Steril 2015; 104: 542
Polycystic ovary syndrome: is a Western diet sabotaging our best efforts at management?
老けたくなければファーストフードを食べるな 老化物質AGEの正体 (PHP新書)
老けたくないなら「AGE」を減らしなさい カラダが糖化しない賢い生活術 (ソフトバンク新書)
(4)Fertil Steril 2013; 100: 1039