コルチゾールで老化が進む 妊活ストレスの軽減は必須!

コルチゾールで老化が進む 妊活ストレスの軽減は必須!

慢性ストレスが妊活中は良くないといいますよね。ストレス度の多さが不妊リスクを

高めてしまうといわれています。ストレスを感じると分泌されるコルチゾールは

そうしてこんなにも良くないのか。

ストレスとコルチゾールについてみてみましょう。

 

毛髪中のコルチゾール(慢性ストレス)が不妊リスクアップ

ノッティンガム大学の研究グループは、体外受精に臨む135名の女性(平均年齢34.5歳)を対象に

体外受精の開始前の唾液中と毛髪中のコルチゾールを測定し、ストレスとその後の治療成績との関連について

解析しています(1)。髪の毛に含まれるのコルチゾールレベルは、長期にわたるストレスを反映しているもので、

妊娠率には有意に関連していました。

慢性ストレスが不妊リスクを高めたという事。

毛髪中のコルチゾールレベルが高いほど妊娠率が低いことがわかったのです。

これは、年齢やBMI、採卵数、受精卵数など妊娠率に影響を及ぼす他の因子を調整しているので、

単純に毛髪中のコルチゾール(ストレス)が着床しにくくさせてしまう事に影響すると考えられたのです。

しかも妊娠率の差は27%もあったのです。

精神的なストレスが、ストレスホルモンなど体の状態にも影響を与えています。

メンタルがいい状態である事は妊娠しやすさに必要な事といえますね。

妊活中はつらさを感じる事も多く、精神的なケアは必須になっていきますね。

 

ストレスホルモン コルチゾールって?

ストレスホルモンであるコルチゾールは、強いストレスを受けたときに分泌されるホルモン。

これが分泌されると、体には以下のような変化が起こります。

 

  1. ストレスを受ける
  2. 副腎でコルチゾールを作り出す
  3. 血糖値があがる
  4. インスリンの分泌量がさがる
  5. アドレナリンが心臓のスピードをあげる
  6. コルチゾールが血管をせばめ血圧があがる
  7. 全身が緊張して交感神経が高まった状態になる

 

コルチゾールは、ストレスや外敵に備えて闘争か逃走の体制を整えて、

命を守るというための働きを起こさせる役割があるということですね。

生きるために必用なシステムではあるものの、慢性的にストレスにさらされてしまうと、

体の中では問題が起きてきます。

 

ストレスホルモンによっておこる体の老化と炎症反応

ストレスホルモンが増える事で、体の中では様々な反応がおこります。

 

高血糖とインスリン抵抗性

コルチゾールによって、血糖値が上がって高血糖状態になり、インスリン抵抗性が

高まっていくほど、糖尿病のリスクが高まってしまいます。

糖尿病って生活習慣病とも言われているものですが、

不妊にも大いに関係があります。

高血糖によってもたらされるAGEという代謝産物は細胞の老化に直結しています。

そして、高血糖・インスリン抵抗性と不妊リスクや流産リスクにも関係があります。

AGEとART不妊治療との成績にも関係があることが研究で分かってきました。

医療法人三慧会 HORACグランフロント大阪クリニックが共同で行った研究では、

AGEの蓄積と不妊ならびにARTの治療成績の悪化には相関があることが明らかとなったと報告しています。

また、妊娠6〜8週で中絶手術を行った方の胎盤から、

インスリン(1nM)and/orメトホルミン(10μM)を添加・培養し、

胎盤の細胞(トロホブラスト)のDNAダメージ、アポトーシス、細胞生存率を調べた研究(2)では、

インスリン添加により胎盤の細胞はDNAダメージが3.86倍に有意に増加し

アポトーシスが増加したため細胞生存率が0.34倍に有意に低下してしまったのです。

 

 

内臓脂肪が増えてしまう

筋肉が減って内臓脂肪が増える(3)という事もありますし、

コルチゾールには中性脂肪を分解し、内臓脂肪を増やす働きもあるため、肥満になりやすいという

点があります。ストレスたまったときほど、甘いものが食べたくなってしまうし、

やめられないなんてこともありますよね。

さらに内臓脂肪が増えると体内の炎症レベルは高まってしまって老化が加速してしまいます。

肥満と不妊との関係からも指摘されている通り、

体型は適性がよく、内臓脂肪が増えるのは避けたいところです。

BMIが25以上は妊娠率と生産率が1割程度低下し、流産率が3割程度増加(4)してしまいます。

ストレスによって肥満リスクが高まるのも避けたいところですね。

 

免疫系への影響

ストレスによって免疫系にもアンバランスが産まれてアレルギーが悪化してしまったり

という事もあります。(5)

コルチゾールはストレスをしずめるためのホルモンでもあり、体の炎症をやわらげる作用を

合わせ持つ一方で、同時に免疫系にも影響がでるため、

アレルギーの悪化やガンの発生につながってしまいます。

妊娠には他者の細胞を受け入れていくという、免疫も大きくかかわってきているため、

影響が出てくるのも納得です。

特に免疫の異常によって繰り返す流産である不育症との関連も指摘されています。

 

テストステロンが減少する

テストステロンは男性ホルモンとも言われていますが、

女性の体の中にも存在し、妊娠と関わっているホルモンなのですが、

コルチゾール分泌によって、テストステロンは減少してしまいます。(6)

テストステロンは、女性の妊娠率にも関わっていて、

月経3日目の男性ホルモン(テストステロン)が20ng/dL未満の場合には、

体外受精の成功率が低下することを示す研究もあります。(7)

また卵巣の反応が悪い場合にはテストステロンが使われたりもするので、妊娠に

関わっている大事なホルモンといえます。

 

心臓病や血管への影響

コルチゾールには血管を収縮する作用があるため、長く続くと高血圧になります。

そして血管にダメージをあたえつづけることになってしまいます。

血圧と流産率についても関係があるため、

ストレスホルモンの分泌が続く状態は避けた方が良いところですね。

やはり緊張をといてリラックスできることも大切。

 

老化

コルチゾールが多い状態が続くことによって、脳からサブスタンスPという神経ペプチドが

分泌されます。また、この物質によって、全身の細胞に炎症反応が引き起こされるため、

ストレスによって体が老化していってしまいます。

 

コルチゾールが増えると老化が進む ストレスのケアを

コルチゾールが増えすぎてしまう事は、デメリットも多く、うまくストレスは

ケアしていってあげる必要性があります。

不妊でのストレス度はとても高いものになり、心理サポートの必要性も言われています。

特に情報があふれ、また正しい情報であっても知識が増えるほどに不安感も高まってしまいます。

自分でできるセルフケアや瞑想・マインドフルネスも有効となりますし、

他にもコルチゾールを増やしてしまう生活習慣はあるので気をつけていきましょう。

妊娠するには?生理後の落ち込みを卒業する根拠に基づく方法

 

コルチゾールはずっと分泌されていると、

体中をボロボロにしていって老化をすすめてしまうホルモンでもあります。

生理前にはそわそわして、生理が来ては妊娠リセットで落ち込んでしまって、

尽きない不安と絶望感や孤独感も感じやすくなってしまっていることも少なくはありません。

 

こういった状況になって悩んでいる女性は少なくないので、つらい時には心理的な

カウンセリングなどを受けていくのもとて効果的になります。

 

 

参考文献

(1)Psychoneuroendocrinoligy 2016; 74: 397

(2)Fertil Steril 2019; 111: 489 doi: 10.1016/j.fertnstert.2018.11.032

(3) 1999 Jan;7(1):9-15.Stress-induced cortisol, mood, and fat distribution in men.

(4)RBMOnline 2011; 23: 421

(5) 1991 Mar;34(3):198-208.Cortisol and immunity.

(6)Neuropsychopharmacology. 2005 Oct; 30(10): 1906–1912.  Testosterone Suppression of CRH-stimulated Cortisol in Men

(7)Fertil Steril 2004; 81: 1713

(8)Am J Reprod Immunol 2016; 76: 432

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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