治療を受けるべき?原因不明不妊の場合の自然妊娠の確率

治療を受けるべき?原因不明不妊の場合の自然妊娠の確率

夫婦で悩む

中々妊娠できず、病院で不妊検査を受けても原因不明と診断されるケースもあります。

原因不明不妊と言われたご夫婦にとってステップアップの不妊治療は本当に

必要になるのでしょうか?治療に進まなかった場合、自然妊娠していく確率はいったい

どれくらいあるのかも気になりますね。

不妊治療へ進むことを迷う事も多い原因不明不妊の場合の妊娠率と、

妊娠できるようにしていくために取り組むべきことについてお伝えしていきます。

 

原因不明不妊とは

原因不明不妊とは、不妊検査をしてみてもこれといった原因が見つからず、

それでも、避妊せずある程度性生活をもてているにも関わらず、

半年以上経過しても妊娠しない場合を言います。

原因不明不妊とされても、精密検査を受けていくことによって原因が判明することもあります。

原因不明の不妊は機能性不妊とも呼ばれ、不妊の全体の10~15パーセント程度と言われています。

 

原因不明不妊の場合でも自然妊娠ってできるの?

不妊検査をうけて、男女ともどちらにも特別原因が見つからないという

原因不明であったり、どうしても卵管が閉塞している、

無排卵、無精子症といった重度な不妊症の事例を除いては、

例え不妊治療を開始していたとしても、その後1年間で自然妊娠に至るケースが

少なくないようです。

 

原因不明の場合、軽度の不妊症の事例の場合は、

治療を開始しても、その後1年以内にタイミング療法などで

自然妊娠に25%が至っているという海外の研究結果もあります。

 

原因不明不妊のの場合の治療の方向性

原因不明不妊とされた場合、どこにどんな原因があるのかがわからない状況なので、

だいたいは3つの一般的な不妊治療の中から方向性を決めていくことになるでしょう。

・タイミング療法

・人工授精

・体外受精

一般的には、排卵誘発剤と合わせ、タイミング療法を行い、

それでも妊娠しない場合、人工授精、体外受精へとステップアップしていきます。

希望していく不妊治療によっては保険適応外となるものもあり、ご夫婦で今後の

方向性と合わせ治療内容は話し合っていく必要性が出てくるでしょう。

あくまで、不妊の原因が受精しにくいという点にあった場合に効果的になるのが不妊治療になります。

そのため、卵子や精子の質が悪い、着床障害があるといった場合は

なかなか成果が出にくい選択肢になります。

 

治療をしなくても同じ妊娠率

また、治療をせずにそのまま自然妊娠を期待して取り組んだ

夫婦は治療した郡と実は変わらない妊娠率を示したという海外の研究での報告もあるようです。

治療をしても、治療をしなくても、自然妊娠をしているケースが多く、

妊娠率には大差が出ていないという結果です。

 

不妊治療において妊娠率を高めるという部分は、

明らかな原因があって、受精できない状況がある場合、

その原因に対して手だけがある治療が選択された場合に治療が効果的になるという事なので、

同じ不妊でも、原因によって治療は受けていくべきなのでしょう。

 

原因不明不妊の場合、不妊治療をすすめるリスク

病院へ行き始めると、どうしても治療でないと授かれなくなってしまう

のではないか、治療を継続していないことが

もう赤ちゃんをあきらめなくてはいけないものと思いこんでしまう方もいらっしゃいます。

そのため、治療のステップダウン、治療を止めてみるといった選択をしにくくなります。

医療の手助けを得ない事を選択した場合、治療を受けていないという不安になるというのもありますが、

不妊治療を受けていくとストレスにも悩まされる、治療や薬による体の負担や副作用も

でるようになり、治療は長引くほど以外にも妊娠率は下がります。

治療をすすめるほど、基本的な夫婦での性生活にトラブルが出やすくなるため、

日本では、妊娠しにくくなるリスクも高まりますので、原因不明不妊の場合

タイミング療法や人工授精、そして体外受精へと治療をすすめることが最善とは言えなくなります。

 

原因不明不妊の場合はジャンプアップ体外受精がベスト?

フランスの人工授精の妊娠率と精子の調整時間とについての研究では、

精子は禁欲期間が5日以内の新鮮な精子を用いるという点と、

精子調整後22~37℃で保存するという条件で精子調整後40~80分で

子宮に注入した場合に最も妊娠率が高くなりました。それより精子の調整時間は短くても長くても妊娠率が低下しました。

この他に人工授精の妊娠率低下させてしまう要因として、有意な差になったのが、

女性の加齢、運動精子数低下、原因不明不妊症の場合でした。

海外(欧州全土)の一般的な人工授精での生産率8.3%です。

そのため、原因不明不妊の場合はさらにこれより生産率が低くなってしまうという点と、

日本では、できるだけ治療も自然に、薬をあまり使わないという事が好まれる傾向もありより

生産率は下がってしまう事が予測されます。

この研究では排卵誘発は、hMG製剤かFSH製剤を用い、卵胞が15mm以上になったら

hCGを投与し排卵のトリガーとしての研究です。原因不明不妊の場合には、

人工授精よりはジャンプアップして体外受精を早期に視野に入れてみるのも

妊娠率を高めるのではという考えができる研究です。

基本的には不妊治療に進むことを選択されたら、時間をできるだけかけない事を

第一に選択していくのも妊娠と出産という目標達成には大切になりそうです。

 

原因不明不妊 卵管采からのキャッチアップをサポート

排卵された卵子がちゃんとキャッチアップされて卵管の方へ取り込まれているか

どうかという事は、検査ではわからないといいます。

コーヒーを飲んでいる女性は人工授精での妊娠率も高く、

カフェインなどが卵管采の動きを手助けしているのではとも言われています。

たしかに、飲み過ぎはよくはなく流産しやすかったり不妊リスクを高めてしまうかもしれませんが、

コーヒーなど多少のカフェインを少し取り入れる事も有効にもなりそうです。

 

原因不明でも妊娠しやすくするためにすべきこと

重度なケースを除いては充分自然に妊娠していかれるという事が

研究でもわかっている部分ですので、妊娠において本当に必要な部分は

受精させることなのではなく、女性が心穏やかに過ごせ、

受精卵が着床し、その後赤ちゃんに酸素や栄養が届く状態をしっかり作ってあげる事にあるといえます。

そして子供を目的とした夫婦生活に偏らないことも

非常に大事なので、心地よさやゆっくり、リラックスした性生活というのも忘れたくないですね。

 

治療を始めると、精神的にも肉体的にも、経済的にも

仕事との調整等を含め女性はかなり負担やストレスを感じる部分が多くなるかと思います。

ただ、治療をしている、医療に任せているという安心感も得られつつ、

その分気負ってしまう部分、緊張感、期待感などなど感じずにはいられなくなってしまうかと思います。

 

治療のない周期や、ステップダウンをした際にも自然妊娠できる可能性は

充分に持ち合わせているので、

気負わず、リラックスして赤ちゃんを楽しみに待てる環境を、卵子と精子細胞の老化を

いかに食い止め抗酸化作用や抗炎症作用を高める生活を夫婦で取り組んでいきましょう。

 

参考文献

Fertil Steril 2019; 112: 120 doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.03.014

Fertil Steril 2019; 112: 39  doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.04.033

Fertil Steril 2014; 101: 1618

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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