不妊治療がきっかけ 離婚にまで発展させない夫婦でできること

不妊治療がきっかけ 離婚にまで発展させない夫婦でできること

不妊で悩まれるご夫婦には、体のことだけに限らず、必ずいろいろな人生模様

人間関係模様が映し出されています。

不妊がきっかけで離婚になるご夫婦もいらっしゃいます。

本来は、幸せな家庭を築きたい、自分たちも周りのように家族ぐるみのお付き合いがしたい。

大切なパートナーとの証を残したい。そんな思いから始めた不妊治療が

夫婦の価値観がくい違い、一緒に協力し合うはずの夫婦がいつの間にか、

溝を深めていってしまうのはなぜでしょうか。その原因を見ていきながら、

不妊で夫婦関係が悪化しないためにできることについてご紹介します。

 

 

不妊治療に取り組む夫婦間の温度差

不妊治療に取り組んで数年が経過。

夫も子供はほしいっていうものの、子どもはいたらうれしいけれど、

できなければできないで、それはそれでもいい。

そんな、どうしても、何としてでも欲しいと頑張る妻と夫の間には

温度差が出てくることがしばしばあります。

夫は、気持ちを楽に、プレッシャーをかけないようにしているつもりが、

妻からすると、やる気が感じられない、こんなに私の方がつらい治療に耐えて、

あなたの子供を妊娠したいって頑張っているのにと不満が募ってしまいます。

成果がいつ出るのか、妊娠できるのか、子供が生めるのか?

ストレスと不安を抱え、子供がいない人生を考えたら、

絶望しかないと思い詰める妻にとって、夫の態度は消極的、非協力的に映り、腹立たしくなります。

ちょっとしたことがきっかけで大きな夫婦喧嘩が勃発。

それを繰り返していくうちに修復不能なまでの関係になってしまう事もあります。

ストレスがかかり心理的にダメージを受けると孤独感が増します。

孤独感は、自分だけが・・・という考えにも囚われやすく、またさらに悪循環を起こしやすいと言います。

本当に孤独であることが問題なのではなく、

気分的に孤独感を感じていることが心身への悪影響が最も多いといいます。(1)

特にこの孤独感は男性より女性の方が強く感じやすいといいます。

 

一生懸命になりすぎて、夫自身に目を向けなくなっていた

不妊治療は、精神的にも、肉体的にも、経済的にも大変負担が大きくつらいものです。

夫婦で話し合い、夫の了解を得て不妊治療を始めたものの、

不妊治療に絶対的に協力してくれるはず。そう思っていたのが、一転

突然夫から離婚を突き付けられる羽目に。

妻としては一生懸命やってきて、いったいなんで離婚なの?と怒りがおさまりそうもないけれど、

夫としては、夫婦でお互いの関係を築いた上で、その次に子供のこと。

不妊治療に一生懸命になりすぎて、夫婦生活を楽しむことさえせず、

満ち足りた気持ちを持たず、毎日”つらい”思いで、生理が来ては泣き崩れている妻に、

どれだけ働いても、喜びも幸せもなく、

仕事で疲れて帰ってきても癒される家庭がなく、子どもは欲しいけれど

そんな生活はもう嫌だと妻に対して不満を抱いてしまう夫もいます。

妻が何かに必死になると、それに対して夫はストレスを感じやすいようです。

 

 

子どもが欲しいだけが目標に

子どもが欲しいだけが目標になってしまうと、それ以外が全く目に入らなくなってしまいます。

自分たちの人生はこれだけがあったら幸せというものもありません。

確かに、大切なパートナーとの子供が欲しい。その気持ちは大切にしてもいいのでしょう。

しかし、それだけしか見えなくなると、いろいろなバランスが崩れてしまいます。

 

子どもさえいれば、相手は他の人でもいいのかもしれない。

そんな気持ちが芽生えてきたり、子どもがいない自分に価値を見出せなくなって

必要以上に周囲の言葉を気にするようになってしまい、疑心暗鬼になってしまいます。

 

不妊治療で生活そのものがつまらないものに

不妊女性とそのパートナー間の生活の質と感情的地位の違いについて調べた研究では(2

32施設のオランダ不妊クリニック内の不妊カップル

女性946名より696名の女性のアンケート調査を得られたものと男性パートナー520名からのアンケート調査より、

男性に比べ、女性の方が精神的にストレスを抱え、不安感、うつ度、不妊治療に対する無力感を感じる傾向が強く、

また不妊であること対する受け入れられないという感覚も強くなる傾向がでました。

また生活全般、心理的にも身体的にも社会的にも質が低下したという回答でありました。

女性へ負担が大きい不妊治療は、女性にかかる負担があり支え合う、

協力し合う、サポートを受けられるという体制を整えておくこともとても大切なのがうかがえます。

精神的につらくなってストレスがたまった状態、不安が強かったり、やる気がしない、

そんな気分で毎日を過ごしていると、夫婦生活そのものがつまらないと

置き換わってしまいかねませんよね。不妊で悩んでいたら、夫婦間で喧嘩してしまう事もあったり、

夫婦仲が冷え切ってしまうことだってあるかもしれません。

 

夫婦関係が良好で長続きするための5つのポイント

離婚問題に発展させずに良好で長続きさせるために気をつけたい夫婦関係のための

ポイントをイリノイ大学の研究をもとにご紹介します。

12273人分のデータをメタ解析した研究であるため信頼ができさらに参考にできるものになります。(3

日頃の清潔の中でも気をつけられる点もあるのでちょっと振り返ってみてくださいね。

 

2人が傷つけることなく相手を理解できている

相手を傷つけることなく、自分のことを理解してもらえるように自分のことを

伝え合い、2人の間に透明性が高いという点もポイントです。

相手を責める言い方ではなく、自分の気持ちや考えている事を打ち明けられているのか

そしてお互いにできているでしょうか。

相手には打ち明けられないというのはいい方向性ではないという事ですね。

 

日常にユーモア楽しさがある

ユーモアや、楽しさ、笑いがあるという事も大切なポイント。

真剣だったり深刻だといつもネガティブになっていて、日常を楽まないというのは

夫婦関係にひびが入りやすくなるため、気分を切り替える事も大切ですね。

 

2人の関係性がずっと続く約束

2人がうまく続いていくという関係性をイメージできるよう、お互いに

ちゃんと相手に言葉で伝えあっているという点も大切なところ。

相手が言ってくれるのを待つのでもなく、自分でも言ってみたり、

言ってもらうようにしてもいいのです。長く続く関係性であることを確認し合ったり、

約束し合うような会話時々きあてもよいのでしょう。

 

お互いが公平だと感じられる

どちらかが不公平だと感じられるような関係性だと長続きはしません。

そのため、公平感が感じられるように二人でうまく抱えている仕事や家事を分担しあう

助け合う、支え合うという姿勢を持ち続けましょう。

最も夫婦関係が回復しやすいのは家事を男性が手伝う事なんても言われています。

 

互がい友達とつながり合う

自分の友達、パートナーの友達ともつながりや関係性を持つことも夫婦関係が

長続きの秘訣なようです。

 

不妊で夫婦関係に溝をつくらないためにできる5つのポイント

不妊でも離婚にまで発展させないために、できることをしておきましょう。

夫婦あっての子供。これがやはり、本来のスタンスだといえます。

 

タイミングはセルフチェックがおススメ

ある一定期間妊活をしていても妊娠できない場合、

排卵をしているのか、卵巣子宮に主だった原因がないかどうかを

検査してもらう事は大事かもしれません。

しかし、タイミング療法を取り入れだすころから、セックスに義務感が生まれて、

セックスの回数は減少していく傾向にあるようです。

人工授精、体外受精と進むごとに、その率はさらに大きくなり、セックスレスになる夫婦も増えます。

とくに主だった原因がない場合は、セルフでタイミングをチェックしていくことで

ストレスやプレッシャーを回避できる部分も大きくなります。

基礎体温表と、排卵検査薬とを合わせてみていくことで、

本当に妊娠しやすいタイミングはかんたんにつかめるようになります。

 

中途半端な事をしない覚悟

結婚においても、なぜ、結婚されたのかもう一度振り返ってみるのも大切かもしれません。

この人と、人生を共に。この人だから、一緒になりたい。

この人と家族を築き上げたい。この人と、困難を乗り越えたい。

結婚をしたら、夫婦間のいろいろな問題はどんな形であれ出るものです。

それが、健康面で出る人もあれば、金銭的な問題で出る人もあれば、

仕事に恵まれないといったことや、人間関係で出る人もあれば、

子供に恵まれないことで出る人もあります。

もっと思いがけないこともあるかもしれません。

それは、誰にも結婚前から予測することはできないでしょう。

しかし、どんなことがあってもこの人と!結婚して、最後まで。

そんな覚悟をお互いに持つことで、どんな問題が起きても、それに向き合い、

その結果もすべて受け入れる覚悟につながります。

そうすれば、離婚という道はなくなります。

 

何となく、なんとなく好きだし、なんとなくそろそろ結婚した方がいい気がするし、

丁度付き合っていたし、働くより結婚した方が楽な気がするし、一生独身ではさみしいし。

なんとなくといった中途半端な覚悟だと、不妊治療のつらいときにも、なんとなく

相手を責めて、夫婦の足並みがそろわなくなっていきやすくなります。

 

 

夫が大事が基本

子どもがいれば、夫はどうでもいいかも。

子どもが大事。夫はその次。

結婚して、長く月日が流れるうちに、段々とそうなっていってしまうかもしれません。

夫婦ってそんなもんでしょ?結婚して夫婦になったらそうなっていくものよ。

それが当たり前になっていませんか?

しかし、夫婦関係を良好に維持するには、夫が大事。それを通し続けることが秘訣です。

夫をないがしろにすればするほど、協力的になってもらえなくなったり、

自分が大切にされないかと思う相手と一生いたくないと思われてしまい、

離婚にまで発展しかねないのです。

 

不妊治療を始める前に夫婦でルールをつくる

不妊治療出口が見えない治療です。妊娠率も、出生率も決して高い治療ではありません。

不妊で悩んだら、最後の砦と思って思い切って進んでいく道かもしれません。

しかし、不妊治療は期待する以上に結果がともなわない治療です。

病院選びを間違えたり、長期にわたり治療を続けることで

本当にあともどりができない不妊体質を作り上げるリスクもあります。

また、不妊治療にかける金額が大きくなればなるほど、治療をやめる覚悟も

なかなかできなくなります。

必ず、不妊治療を始める前に夫婦でよく話し合い、あらかじめルールを作って

そのルールに従う事も大切です。

 

例えば、

無刺激・低刺激の採卵方法を用いる病院で行う。

原因不明の場合はステップアップはしない。

体外受精は4回まで。

 

一番大事なのは、自分を大切にすること

一生懸命になりすぎて、自分自身を大切にすることを忘れてしまってはいませんか?

妊活とは本来つらいもの。不妊治療とは痛みにも耐えて、ストレスがあっても、

頑張り続けるもの。そう思い込んではいませんか?

 

自分の体の不調があるにも関わらず、治療費のために仕事は絶対にやり続けるしかない。

不安で押しつぶされそうなのに、誰にも相談できずに苦しみ続ける。

卵子の質が妊娠には大きくかかわります。

今、あなた自身は元気ですか?あなたの心は落ち着いていますか?

今あなたの体調は調子がいいですか?

 

卵子はあなたの細胞の1部です。

今の自分を見つめてみれば、卵子の質が手に取るようにわかります。

妊娠するには、何よりも自分を大切にしていくことが大切です。

自分を大切にするから、パートナーも大切にできるようになります。

自分も、パートナーも大切にしていたら、不妊であっても離婚になることはまずありません。

自分を後回しにするから、相手に不満が出てきてしまいます。

本当は、一番に自分自身を大切にしてあげていいんですよ。

 

 

夫婦関係がうまくいくには性格や愛着形成がカギ

イランで行われた実験をもとにした研究で、146組のカップルを対象に全員の愛着スタイルを調べ

その上で最も別れやすい男女の特徴について調べています。(4

愛着スタイルには、安定型、不安定型、回避型とあります。

最も安定した2人だとうまくいくのですが、

最もうまくいかない組み合わせが、不安型と回避型の組み合わせだったようです。

不安型同士もうまくいかなかったり(熱しやすく冷めやすくなる)

回避型同士だとそもそも信頼し合えていないから夫婦としてカップルが成立するのかも疑問ですが・・・。

どちらかが安定型だと問題を回避しやすくはなっていきます。

夫婦関係がうまくいくにはメンタルがいい状態である事はとても重要な要素となっていきます。

困った時には助けあっってサポートし合い支え合う形が好ましいのですが、不安型は

そういった局面で不安が強い分、サポートする時に依存的になってしまって、

相手をうまくサポートできなかったり、回避型では距離をとってしまうため

悩みを打ち明けにくくなってしまう関係性になってしまいます。

愛着形成が安定型になるように瞑想や認知行動療法といったメンタルトレーニングを始めていきましょう。

 

結婚して幸せを感じる、不幸になるカギは対人トラブルのとらえ方

オークランド大学の研究では、結婚によって幸福感が高まる人、不幸感を感じてしまう人の

違いを調べています。その結果、カギを握るのは、対人トラブルに捕らわれてストレスに

なってしまうのかどうかという点でした。

対人関係で、トラブルがおきて、もめることがあったとしてもそれを解決できたり、

うまく気にせずやり過ごせたりできたり、トラブルが起きてもそこから受ける対人ストレスが

少なく意外うまくなんとかしているという性格のひとだったら結婚しても幸福度は

高まるけれど、対人トラブルに捕らわれたりそこからストレスを感じやすい人は不幸感が高まって

しまうようです。

夫婦関係を結婚してから良好に過ごすには、トラブルが起きてもうまく対処できたり、

ネガティブな事があってもすぐに立て直したり気にせずやり過ごせるような

レジリエンスが必要ということですね。

 

 

参考文献

1 Quality not quantity: loneliness subtypes, psychological trauma, and mental health in the US adult population

2 Human Reproduction, Volume 28, Issue 8, August 2013, Pages 2168–2176,

3 A meta-analytic review of relationship maintenance and its correlates 

4 Sexual experience, attachment styles and types of care in couple relationships 

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

プロフィールを詳しく見る

みなさんに読まれています

妊娠された方々も読んだ
「妊娠するための教科書」を無料プレゼント。
みなさんにお役立ていただき、
喜ばれたLINEメッセージです。

LINE登録はこちらから

トップに戻る

もっと知りたい