男性の不妊妊娠しやすさに影響 禁欲期間と妊娠率
男性の禁欲期間が不妊治療の成績、妊娠率にどれくらい影響が出るのか
様々な研究があります。
男性不妊の原因も色々ありますが、
男性の精子の質に影響がでるものの1つに射精回数や射精間隔などがあります。
精子という細胞は、卵子と違って何度も作られている細胞です。
そのため、射精回数が多いほど、射精間隔が短いほど、
精子の質がよくなる結果が出ています。
禁欲期間どれくらいの期間がベストなの?
精子はどんどん生まれ変わっている細胞なので、
性生活が多いご夫婦ほど妊娠率が高まるように、
男性も射精回数が多くなればなるほど精子の質も向上していくようです。
禁欲を医療機関によってはすすめられることも不妊治療を
している場合はあるようですが、研究などのデータからは、
8日間というラインが妊娠率に違いがでてくる期間になっていたというほうこくもあります。
さらにはその体外受精を受ける夫婦の男性の禁欲期間が8日間
以内の場合は妊娠率が良好でありさらには4日間くらいの間隔で射精がある場合はさらに
妊娠率は高かったという事です。
妊娠しやすい状態をつくるには、男性側においてもできる事もありますし、
夫婦で性生活を見直すことはもちろん、
タイミングにこだわりすぎるあまりレスになる事の方が体外受精のようにもう性生活を送らなくても
良いのでは考えてしまうと、不妊治療を受けるご夫婦にとっても逆に妊娠率を下げる事に
繋がってしまうので要注意です。
禁欲期間と男性精子の質
射精間隔が、1~3時間の精液と、3~7日の間隔の精液では過去の研究からの通り、
精子所見だけでなく、遺伝子レベルでも良好であり体外受精ARTでの成績も高まっています。
322種類のたんぱく質の発現量に1.5倍以上となったことで、細胞の運動や、
受精能獲得や酸化ストレス、代謝に関わるものが多く禁欲期間と妊娠率に影響がでてきています。(1)
禁欲と顕微授精での妊娠しやすさ
イタリアローマの男性不妊についての研究(2)では
精液所見がよくない男性不妊カップルを対象に禁欲期間が胚染色体正常性に
どれくらい影響するかを調べていて、
自然妊娠でも体外受精などでも妊娠を望むすべての人のヒントにもなる点かといえます。
採卵当日に、男性には2つの精液サンプルを準備してもらっていて、
サンプル1は数日の禁欲期間のあと射精してもらっていて、サンプル2はその1時間後に再度射精されたものとなります。
サンプル1とサンプル2では精液量の違いのみで、精子濃度・運動率・正常形態率は差はなかったのです。
しかし、顕微受精をおこなった後、染色体正常胚盤胞獲得率はサンプル2でサンプル1よりはるかに高かく、
サンプル1が27.5%に対して、サンプル2は 43.6%とかなり違いました。
禁欲していない状態、精子ができるだけ酸化ストレスにさらされない状態のほど、
数や運動率、奇形率といった点だけでなく遺伝子レベルで違うというところが着目ですね。
男性は精液検査だけの結果ではわからない部分が多いという事や、
精子の質という点では酸化ストレスにさらされないよう、
日頃の生活を整えながら、禁欲期間は短く射精頻度が多くなるような取り組みを心がけましょう。
参考文献
(1)2Shen ZQ et al., Characterization of the Sperm Proteome and Reproductive Outcomes with in Vitro Fertilization after a Reduction in Male Ejaculatory Abstinence Period. Mol Cell Proteomics. 2018 Aug 20. pii: mcp.RA117.000541.
(2)1Scarselli F, et al. How 1 h of abstinence improves sperm quality and increases embryo euploidy rate after PGT-A: a study on 106 sibling biopsied blastocysts. J Assist Reprod Genet. 2019 in press