催眠と聞くとなんだか怪しげな感じもするかもしれませんが、

催眠カウンセリングは科学的なちゃんとしたストレス軽減のための療法です。

それを妊活に活用すると、科学的にも妊娠できるようになっていく

事が実証されています。

不妊で悩む人がどんどん増えている

不妊の問題は、年々増加傾向にあり、今後も増えることが予測されています。（1）（2）

特に、日本では不妊についての知識も遅れていたり、

体外受精での妊娠率が世界最低といわれるほどになっています。（3）

日本では、性に関わることが特にタブー視されてもいますよね。

そのため、情報収集の源がインターネットや口コミなどに集中していて、

妊娠しやすさに有効だとされる科学的な根拠があるものではない

ものを選択したりもしています。（4）

催眠を妊活に用いると妊娠率が高まる

・2006年の研究では、in vitro処置中の催眠カウンセリングによる心理介入による

影響に関するものがあります。

妊娠率と着床率が2つのグループ間で比較されました。

催眠療法を使用したグループは、28％の着床率で52の妊娠（53％）

つながったのです。一方、催眠のないグループは29の妊娠（30％）を持ち、

着床率は14％でした。研究者は、胚移植中に催眠療法を使用すると、

妊娠率と着床率が大幅に改善する可能性があると結論付けました。（5）

・1999年に体外受精をした1156人の女性を対象に、

催眠カウンセリングを含む心理的支援を受けた場合の妊娠率の違いについての

研究では、催眠介入がなかった女性（42％）より妊娠率が高かった（56％）のです。（6）

・2013年の研究では、原因不明不妊（ストレス関連または心身症を意味する）

を持つ554組のカップルが28年間にわたって追跡されました。

催眠カウンセリングを使用して不妊のストレスと結婚のストレスを緩和すると、

妊娠の成功率は72％になりました。研究者たちは、催眠療法でストレスが緩和されると、

原因不明の生殖不全は可逆的であると結論付けました。（7）

妊活ではストレスが多くつらい

子どもができないことは女性にとって心に深く刻まれるほどの

苦痛をともないます。子供ができないという体験は、

子どもが欲しいという気持ちを大きく膨らませ、より多く子どもを

産みたいとも思うものです。（8）

でも妊活中に感じるつらさや悲しみ、恐怖心や不安は、

日常生活にも影響を与え、さらには妊娠率をも低下させる

ようにも働いてしまいます。（9）

ストレスによって妊活はうまくいかなくなる

ストレスによって妊娠しにくくなってしまうそのメカニズムは、

自律神経をはじめ、ストレスホルモンの影響があります。

わたしたの体は生きるために出来上がっています。

そのため、人が身体的、精神的、または感情的なストレスを受けると、

身体は中枢神経系および内分泌系で「ストレス反応」を起こします。

これは、「闘争または逃走反応」と呼ばれる自動反応を起こし

対処するようになっています。

ストレス反応は短い間なら一時の危機に対処するために最適ですが、

長期的な慢性化されたストレスはじわじわと不妊リスクをたかめます。

不妊症、月経障害、性機能障害などの深刻な状態を引き起こす可能性があります。

ストレスの多い状況では、体は受精・受胎を妨げてしまいます。

・ストレスへの反応は、末梢の筋肉より心臓への血液供給を優先します（10）

・体がストレスを受けると、ストレスホルモンのコルチゾールを作ります。

誌の過程で、プロゲステロンの分泌が減り、妊娠し維持するために

必要なホルモンが欠乏してしまいます。（10）

・コルチゾールは、体の主な性ホルモンであるゴナドトロピン放出ホルモン

（GnRH）も阻害してしまうため、男性でも精子数が減る、女性では排卵障害、

性的活動を抑制してしまいます。（10）

妊娠することを心配していると妊娠しない

妊娠する事にも不安を抱えていると、妊娠をうまく維持できない。

ストレス度が高い事が流産にも関係しているように、

ストレス反応は交感神経に働きかけて血圧や心拍数を高めてもしまいます。

そのため、不妊治療をしていたり、不妊であること、

妊娠できるのか不安が強い事はもちろん、妊娠してもその先にも

不安を感じていると、アンビバレントな葛藤のような感覚で

ずっと不安です。安心できるほど、妊娠しやすくなります。

妊娠への恐怖、出産への恐怖、または母性への準備ができていないことへの

恐怖や不安を感じる人もいます。（11）

相反する感情は、生理に影響を与え、生殖能力を妨げるストレスの一種です。

不妊治療でも妊活中でも催眠療法は母性の感情を助長し、

不安や恐怖を解決するサポートになります。

カウンセリングでも、催眠療法を用いていくととても有効です。

参考文献

（1）CDC releases a national public health action plan for the detection, prevention, and management of infertility

（2）第15回日本全国出生率調査

（3）Reprod Health. 2015; 12: 10.Published online 2015 Jan 31. doi: 10.1186/1742-4755-12-10A cross sectional study on fertility knowledge in Japan, measured with the Japanese version of Cardiff Fertility Knowledge Scale (CFKS-J)

（4）BMC Med Inform Decis Mak. 2013;13 Suppl 3:S3. doi: 10.1186/1472-6947-13-S3-S3. Epub 2013 Dec 6.Addressing tensions when popular media and evidence-based care collide.

（5）Stress increases putative gonadotropin inhibitory hormone and decreases luteinizing hormone in male rats. E. D. Kirby, A. C. Geraghty, T. Ubuka, G. E. Bentley, D. Kaufer. Journal: Proceedings of The National Academy of Sciences 2009

（6）Poehl, M., Bichler, K., Wicke, V., Domer, V., & Feichtinger, W. (1999). Psychotherapeutic counseling and pregnancy rates in in vitro fertilization. Journal of assisted reproduction and genetics, 16(6), 302-5.

（7） Vyas, R., Adwanikar, G., Hathi, L., & Vyas, B. (2013). Psychotherapeutic intervention with hypnosis in 554 couples with reproductive failure. Journal of the Indian Medical Association, 111(3), 167-9, 173.

（8）Hum Reprod. 2011 Aug;26(8):2101-12. doi: 10.1093/humrep/der148. Epub 2011 Jun 9.Variation in distress among women with infertility: evidence from a population-based sample.

（9）Matern Child Health J. 2006 Nov;10(6):489-500.Prevalence and correlates of pregnancy loss history in a national sample of children and families.

（10） Stress increases putative gonadotropin inhibitory hormone and decreases luteinizing hormone in male rats. E. D. Kirby, A. C. Geraghty, T. Ubuka, G. E. Bentley, D. Kaufer. Journal: Proceedings of The National Academy of Sciences 2009

（11）Kroger, W. S. (1977). Clinical and experimental hypnosis in medicine, dentistry, and psychology. Philadelphia: Lippincott.