細胞のDNA損傷ダメージを何とかする!妊活中こそブルーベリー
近年不妊の原因は女性だけでなく男性側にもあるという事が言われ、さらには卵子や精子といった
細胞の劣化・老化が妊娠の妨げになっているという事が言われています。
特に見た目には正常胚であっても着床前診断ではランクが良くても妊娠しないという問題の裏に
細胞のDNA損傷レベルが高いというところが問題になっています。
そして、何度も繰り返す着床不全では、着床の窓そのもの、DNAの発現せず壊れてしまっている
というケースが75%にも及んでいたといわれています。
見た目にはもうわからない細胞の劣化・DNAの損傷レベルこそ何とかしていかない事には
妊娠が難しいという事がわかってきています。
何が細胞DNA損傷の原因になっているの?
私たちの体の中のDNAも毎日だいたい、1日にひとつの細胞につき10〜50万回ぐらいの
損傷が起きているといわれています。たくさんダメージを受けるため、
そのたびに修復作業が行われています。
そのため、卵子などは抗酸化作用が高い状態だといい状態で卵子を温存しているといわれています。
一方、精子という細胞はこまめにつ切り替えられる細胞ではあるものの、
自ら修復する作用をもたないため、ダメージにつながるようなものにできるだけ
さらされないというのもかなりポイントになりそうです。
細胞のDNAのダメージには以下のものが関わります。
・活性酸素
・紫外線
・化学物質
・大気汚染
・たばこ
ではどうしていったらよいのか・・・ということですが、
これらをできるだけ抑える生活をしていくということはもちろん大事な点になりますが、
もう一つ、生活をしていたら細胞はダメージを受けてしまうけれどそのダメージを修復する力も
私たちは持っていて修復を繰り返しています。しかし、体内の炎症反応があると
DNA修復のための遺伝子のスイッチがオフになってしまうというのです。(1)
そのため、細胞のアンチエイジングについては、抗酸化作用と抗炎症作用をセットにして
取り組む必要性があります。
そのためには、基本的には地中海式の食事療法によって抗酸化作用・抗炎症作用が
多い食品を摂取しておくという事は大切です。
またストレスによっても炎症反応は高まるためそこらへんも取り組んでいく必要性があります。
ポリフェノールがもつ抗酸化作用で卵子若返り?
新たな繁殖技術として考えられているのが、卵子を若返らせる方法です。
生物の体内ではエネルギーを生み出すミトコンドリアが合成と分解を繰り返しているのですが、
高齢になるとそのサイクルが停滞し、質の悪いミトコンドリアが増えてしまいます。
さらにエネルギーを作る際に発生した活性酸素が細胞にダメージを与えてしまいます。
これがいわゆる老化のメカニズムで、卵子の中でも同じことが起きています。
しかし赤ワインに含まれるポリフェノールの一種であるレスベラトロールを与えると、
高齢な牛の場合、40%程度の確率で異常な受精を起こしてしまうのですが、
卵子を若返らせると異常が10~20%に抑えられるようになります。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、
これが身体の老化・病気の予防となる働きをしてくれます。
私たちの身体は、紫外線やストレスが原因となって発生する活性酸素によって酸化していきます。
身体が酸化するという事が劣化・老化につながります。そのため抗酸化作用が高い食品は
妊娠しやすさに影響を与えてきます。
このような、老化や病気の原因となってしまう身体の酸化の予防をしてくれる効果が期待できます。
もともと体外受精などの生殖技術は牛の研究から始まっていますが、
その牛の研究よりポリフェノールによって卵子若返り、妊娠率が高まったという報告が入ってきています。
ポリフェノール アントシアニンには強い抗酸化作用が
ポリフェノールは、ほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分で、
なんと、自然界には5,000種類以上あると言われています。
ポリフェノールは抗酸化作用が強いことでも有名ですね。
ポリフェノールは抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEと同様に強い抗酸化作用があります。
また、ポリフェノールの種類により、それぞれ独自の機能を持っていたりもします。
水に溶けやすい性質があるので、比較的短時間で作用しますが、
長期間効果は持続しないという特徴もありますので、毎日こまめに摂取し、たくさんの食品から
することが取り入れる望ましいという事です。
そんな中でも特に注目したいのが、アントシアニンというポリフェノールです。
ブルーベリーにも多く含まれ、抗酸化作用だけでなく、抗炎症作用が高く、
妊活中には必須のフルーツとも言えるのではないでしょうか。
抗酸化作用もものすごいのがブルーベリー
75gのブルーベリーの摂取で身体の酸化レベルが下がったという報告もあります。(1)
ブルーベリーシェイクを飲んで運動した場合には筋肉のダメージ量が減少(2)、
100gのブルーベリー摂取でリンパ液の酸化レベルが減少など(3)
全身の抗酸化作用にもすごいパワーを発揮しています。
アントシアニンは1日500mg~1000mgほど摂取できると効果が持続していきます。
そのためには、1日ブルベーリーの摂取目安が60g~100g程度です。
ブルーベリーでDNA損傷が10%~20%減少
DNA損傷レベルを下げてくれる食品として注目され、多くの研究があるのがブルーベリーです。
10名男性が300gのブルーベリー(アントシアニン348mg)を摂取し、
24時間でDNA損傷の量が減っていたという報告もあります。(4)
また、168名の男女に1日1000mlのブルーベリージュースを飲んでもらったら、
4週間でDNA損傷が20%も減っていた(5)など、ブルーベリーで細胞のDNA損傷レベルが減少してします。
しかもブルベリーは残留農薬が少ない果物で安心して摂取できる点や、
冷凍ブルーベリーなどもあるので、手軽に毎日少しづつ摂取しやすいのもメリットが大きいです。
酸化ストレスが良くないなら抗酸化サプリに頼ればいい?
アンチエイジングのためと抗酸化作用を高めたいという気持ちに拍車がかかりやすいのですが、
気をつけたい点も多々あります。抗酸化作用は高すぎても低すぎても結局はよくはないという点で
バランスって大事です。
抗酸化作用を求めたサプリの摂取によって、DNA損傷レベルが改善するという事って
あまりなく、逆に悪化してしまうという事すら起きています。(6)
ビタミンCとかビタミンEなども注目されやすいですが、長期的に摂取しても効果なしどころか
悪影響が出てしまうのは避けたいところです。
基本は抗酸化作用のあるものは食べ物から、そして、酸化ストレスにさらされないように
食事だけでなく、ストレスや運動不足、睡眠不足、体型そういった点にもセルフケアこそ重要です。
体調がイマイチ良くないとか、すっきりしなくて疲れやすいといった場合は、
体の中での炎症レベルは高まっている可能性がかなり高く、DNA損傷の修復がうまくいかなく
なってしまっているかもしれません。
妊活にはストレスがつきものですが、ストレスについても間違ったケアをしているとかえって
炎症反応は高まるばかりです。
まとめ
ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、抗酸化作用や抗炎症作用が高く、
細胞の老化、DNA損傷レベルを改善するのにも効果的な数少ないフルーツといえます。
細胞の劣化そのものが妊娠を妨げる大きな原因になっているため、
検査などではわからない不妊の原因が、細胞のDNA損といったところに至っています。
体の中でじわじわとすすむ慢性炎症では、徐々に細胞の修復のための遺伝子すらスイッチがオフに
なってしまうというのですから、妊活でとりくめる最善セルフケアは
抗酸化作用と抗炎症作用にエネルギーを注いでいくのがよさそうです。
でもかといってサプリなどで何とかしようとしてもいい効果は得られそうもありません。
手軽に毎日少しづつのブルーベリー習慣を始めていきましょう。
また、地道なようですが、細胞のDNA損傷ダメージを減らしていくには、
生活習慣を変えていくこともとても大事ですし、
何かと妊娠しないという事でストレスは高まり、不妊リスクも高まってしまう悪循環になりやすいため、
メンタルケアも大切にしていきましょう。
瞑想やマインドフルネスには、炎症を抑える効果が報告されています。
参考文献
Fertil Steril 2019; 112: 483 doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.04.029
Fertil Steril 2019; 112: 466 doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.05.016
Fertil Steril 2019; 112: 46 doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.03.013
(1)Br J Nutr. 2013 May;109(9):1670-7. doi: 10.1017/S0007114512003650. Epub 2012 Aug 31.
(2)J Int Soc Sports Nutr. 2012 Jul 11;9(1):19. doi: 10.1186/1550-2783-9-19.
(3)Br J Nutr. 2002 Oct;88(4):389-98. The effect of wild blueberry (Vaccinium angustifolium) consumption on postprandial serum antioxidant status in human subjects.
(4)Nutr Res. 2013 Mar;33(3):220-7. doi: 10.1016/j.nutres.2012.12.009. Epub 2013 Feb 1.
(5)Carcinogenesis. 2007 Aug;28(8):1800-6. Epub 2007 Jun 29.Impact of multiple genetic polymorphisms on effects of a 4-week blueberry juice intervention on ex vivo induced lymphocytic DNA damage in human volunteers.
(6)Cardiovasc Diabetol. 2007 Feb 22;6:8.Pro-oxidant effect of alpha-tocopherol in patients with type 2 diabetes after an oral glucose tolerance test–a randomised controlled trial.
最高の体調 著 鈴木裕