子宮内膜を厚くするには?アルギニンを含む妊活食事

子宮内膜を厚くするには?アルギニンを含む妊活食事

妊活中は食事にも気をつけていることが多いでしょう。そのなかでも、

妊娠を左右する子宮内膜。

その子宮内膜は厚いほど妊娠率が高いといわれています。

そんな子宮内膜を厚くするのに役立ってくれるのがLアルギニン

アミノ酸の一種で、妊活中は摂取しておきたい栄養の1つでしょう。

 

子宮内膜は厚い方が妊娠率は高い

カナダからの大規模研究では、体外受精ARTでの子宮内膜の厚さと、妊娠率・出産率・流産率の関係を

しらべています。33のクリニックのARTデータベースCARTR-BORN databaseを利用して、

子宮内膜の厚さとART妊娠の関係について、大規模な後ろ向き解析結果報告がされています。

その数は、2013年から15年までの4万件以上、24363新鮮胚移植周期 、20114 凍結融解胚移植周期の

胚移植成績と子宮内膜の厚さとの関係です。

研究の規模の大きさにまずびっくりですね。

結果は新鮮胚移植と凍結融解胚移植とではちょっと違いがあるものの、

おおざっぱにまとめると、子宮内膜の厚さは厚い方が妊娠率・出産率が高く流産率が低くなる傾向はでています

新鮮胚移植周期では内膜の厚さが8㎜未満では妊娠率と出産率は低下し、流産率は上昇しました。

出産率は内膜厚8㎜以上で33.7%、7㎜台で25.5%、6㎜台24.6%、5㎜台で18.1%となっています。

凍結融解胚移植周期では内膜の厚さが7㎜未満で、妊娠率と出産率は低下したが、流産率は変わらないとなりました。

出産率は内膜の厚さ8㎜以上で28.4%、7㎜台で27.4%、6㎜台で23.7%、5㎜台で15%、4㎜台で21.2%でした。

また、年齢とともに、子宮内膜の厚さが得られるのが低下する傾向もありました

 

妊娠率・出産率からみると、子宮内膜はやはり厚い方がベストといえますね。

 

かといって、子宮内の血流が良いと妊娠率が高いわけではない

子宮内膜は月経周期に合わせて変化しています。そのため、

子宮内膜は排卵に向かっていく卵胞期に血流をよくして子宮内膜を厚くしてはいますが、

排卵以降の黄体期では子宮内膜はさほど厚くはなっていきません。(1)

そして、受精後の受精卵は低酸素分圧の状態で培養した方が妊娠成績はよくなっていきます。(2)

つまり血流が促進されていない状態ということです。

そのようにうまくプロゲステロンのホルモンの影響でうまく調整されているのです。

なので無理に血流を良くしようとするとかえって妊娠率は低下してしまうのです。

血流がよくなり、さらに毛細血管が豊富な状態では妊娠初期は流産率が高まってしまっています。(3)

妊娠するには、血流が大事、内膜はどんどん厚くするように取り組み続けた方が良いと

思われているかもしれませんが、体の中ではエストロゲンやプロゲステロンなど

ホルモンの影響を受けながら丁度良いバランスを保とうとしています。(4)

体の中ってスゴイですよね。

 

子宮内膜を厚くするために役立つアミノ酸 Lアルギニン

Lアルギニンには子宮内膜を厚くする働きもあるとのこと。

Lアルギニンは一酸化窒素の前駆体で一酸化窒素を作り出すことで子宮の血流が改善するためです。

そのため、子宮内膜を厚くするという効果が期待されていると思いますが、

一方で、新鮮胚移植では良好胚は少なくなり妊娠率が低下しています。(5)

日本の研究では、Lアルギニン服用によって内膜が厚くなったという報告はあるものの、

6g/日の内服であったようですが、長期に飲むとどうなのか、妊娠率や流産率については

不明です。特にLアルギニンはサプリなどからとらなくても充分アミノ酸をたくさん含む

タンパク質から摂取できるので、他のホルモンなどの調整も考えると

サプリに頼るよりは、食事メインで調整する方がよさそうです。

結局摂取しすぎや摂取していた影響が、排卵以降に良い影響にならないリスクが残っています。

 

Lアルギニンは健康度を高める効果がたくさん

Lアルギニンは、食欲をコントロールするために脳で活躍しているといわれています。

脳内のアミノ酸濃度が視床下部で感知されて、食欲のコントロールをしています。(6)

アミノ酸の中でもLアレルギンはその中でも最も反応が高かったアミノ酸で、食行動にも

影響を与える栄養と言えるでしょうし、

精神的な不安を軽減するのにも役立っています。(7) 妊活中は何かとストレスフルになりますし、

不安も尽きないところ。しっかりアミノ酸を摂取していることでストレス軽減効果も

狙えそうです。さらには、細胞の活性化や修復にも役立つ成長ホルモンの分泌を促す

働きももっています。(8

 

Lアルギニンを多く含む食品は妊娠率を高める地中海式と重なる

Lアルギニンを多く含む食品は以下を参考にしてみてください。主に肉類には多く含まれますが、

魚やアボカドや豆類、ナッツ類にも豊富です。これらは妊娠率を高めるという事で

有名な地中海式食事療法に結構出てくる食品ばかりです。

食品から摂取した栄養は、他の栄養素と手を取り合ってうまく調整し合うため、

摂取しすぎの悪影響も防ぐことができるので参考にしてみてください。

 

  • 豚(肩)
  • 牛肉(サーロイン)
  • サバ
  • ニシン
  • スズキ
  • タラ
  • サーモン
  • マグロ
  • アボカド
  • レンティス豆
  • アーモンド
  • ヘーゼルナッツ
  • ピスタチオ
  • 全乳ヨーグルト
  • プラム

 

地中海式食事療法や、妊娠しやすくはたらく栄養素などについて詳しく見ていきましょう。

妊娠するには?不妊改善のための根拠に基づく食べ物栄養とは

 

増殖期より着床時期には子宮内膜が薄くなる方が妊娠率は高い

今までは、子宮内膜は厚ければ厚いほどよく、排卵までの増殖期以降も、

着床の際もどんどん子宮内膜が厚くなっているほど妊娠しやすいと

考えられてきました。しかし、子宮内膜の厚さは主にプロゲステロンやエストロゲンの影響で

厚くなったり薄くなったりをしているのが子宮環境で、

プロゲステロンの分泌にちゃんと反応できているほど、

着床の時期には子宮内膜は薄くなる傾向を示し、

その比率が薄くなる傾向が強いほど妊娠率が高まったという研究報告があります。

2017〜2018年にホルモン補充周期で凍結胚盤胞移植を実施した274周期を対象した研究です。(6)(7)

エストロゲンE2補充最終日と移植日の子宮内膜の厚さを測り比率を出し、その妊娠率を比較しています。

 

移植日の内膜/E2補充最終日の内膜が0.95では妊娠率が23.1%に対し、

移植日の内膜/E2補充最終日の内膜が0.85未満では妊娠率が58.9%と最も高まる傾向を示しました。

10%内膜の厚さが減少した場合、最も妊娠率が高まったのです。

この理由として、黄体ホルモン抵抗性と、エストロゲンとプロゲステロンホルモンの比率が関係していると

しています。黄体ホルモンに反応できないと、エストロゲンの影響が大きく出てしまうというのもありますし、

エストロゲンとプロゲステロンの比率が悪くても同様の影響が出てきてしまうためです。

この研究結果が全てではないでしょうが、

子宮内膜はどんどん厚くなるようにしたり、血流を促進していればいいということでも

ないようです。

 

参考文献

(1)Raine-Fenning NJ et al. Human Reproduction 2004;19: 330-338

(2)Bontekoe S et al., Cochrane Database Syst Rev 2012;7:CD008950

(3)Vailhe B, et al. Human Reproduction 1999;6:1628-1634,Quenby S et al. Human Reproduction 2009;24:45-54.

(4)Yasuo T, and Kitaya K Fertil Steril. 2009;92:709-721

(5)Hum Reprod 2002; 17: 659

(6)Fertil Steril 2019; 112: 503 doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.05.001

Endometrial compaction (decreased thickness) in response to progesterone results in optimal pregnancy outcome in frozen-thawed embryo transfers

(7)Fertil Steril 2019; 112: 469  doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.05.037

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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