厚生労働省も推奨 妊娠前から妊婦さんにも必要葉酸の摂取

厚生労働省も推奨 妊娠前から妊婦さんにも必要葉酸の摂取

妊活といえば葉酸 というくらいに、女性にとって妊娠しやすい体つくりには

葉酸という栄養素が必須という事が知られてきています。

厚生労働省でも妊活中の女性から妊娠中・授乳中は特に摂取した方がよいことが推奨されています。

一方で過剰摂取のリスクもある事も押さえておきたいところです。

 

赤ちゃんの成長のために必用とされる 葉酸とは?

葉酸という栄養素はその名の通り葉っぱものの野菜全般、海藻類などに多く含まれています。

そして、植物からだけでなく、レバーなどの動物性の食べ物にもたっぷりと

含まれるビタミンB群の仲間なのです。

この葉酸が不足すると出生児の神経管閉鎖障害という生まれながらの先天異常となってしまう

危険性が高まるために、厚生労働省は妊娠前から妊娠3ヶ月迄、

1日400μgの葉酸をサプリメントで補充するように呼びかけるようになっています。

そのため妊娠前、妊娠中の葉酸を健康補助食品やサプリなどから摂取することが大切だという事で、

知られるようになりましたが、葉酸のサプリメントについてもさまざまな情報が

溢れるようになっています。

 

葉酸の摂取が必要だといわれる理由

妊娠に必用といわれる葉酸。これはビタミンB群の1つであり不妊にも関連して

いるといわれています。(1)それは卵子の成長や細胞の質に影響し、

着床や妊娠の正常な継続に必用だとされているためです。(2

不妊女性の以前の研究では、妊娠前の葉酸補給が卵胞液中の

葉酸濃度を増やし、ホモシステイン濃度を低下させて、

受精卵の胚の質と妊娠の可能性に関連していることが分かったためです。(3

また、妊娠初期のころは、赤ちゃんの脳や脊髄の基になる神経管という環状構造物がつくられる

とても大事な時期です。このときにたくさんの葉酸が必要となるのです。そのため、

葉酸が不足すると先天異常の可能性が高くなるといわれています。(4

産まれてくる子の神経管閉鎖障害を減らすための取り組みといえます。

そのため、最近の研究では十分な葉酸を摂取することによりこのような先天異常を

減らせる可能性があることがわかってきています。そんため、厚生労働省でも、

妊活中の女性には積極的に、妊娠前から妊娠3ヶ月迄、

1日400μgの葉酸をサプリメントで補充するように呼びかけるようになっています。

平成24年度国民健康・栄養調査結果では、妊娠中の女性の栄養摂取必要量が、

多くの栄養素で不足する中、葉酸や鉄特に半分にも満たない摂取量

となってしまっているため、積極的な摂取の必要性が言われています。

 

 

厚生労働省が推奨する葉酸の摂取量とは

まずは厚生労働省が発表している女性の年代別摂取量・上限量(日本人の食事摂取基準(2015年版))は

下記の表として公表されています。

年齢 女性(μg)
推定平均
必要量
推奨量 目安量 上限量
0~5 (月) 40
6~11 (月) 60
1~2 (歳) 70 90 200
3~5 (歳) 80 100 300
6~7 (歳) 100 130 400
8~9 (歳) 120 150 500
10~11 (歳) 150 180 700
12~14 (歳) 190 230 900
15~17 (歳) 210 250 900
18~29 (歳) 200 240 900
30~49 (歳) 200 240 1000
50~69 (歳) 200 240 1000
70以上 200 240 900
妊婦(付加量) +200 +240
授乳婦(付加量) +80 +100

 

葉酸の過剰摂取によるリスク

葉酸を健康補助食品など補充している場合におこるの副作用(リスク)妊娠中について

葉酸のサプリメントを摂取することで出生児のアレルギー(ぜんそく)の発症リスクが高まるとの報告が

されています。

2009年にオーストラリアの研究機関にて

妊娠後期に合成葉酸サプリメントを1日の上限量(1000㎍)以上を摂取し続けると、

3~5歳の間に小児喘息にかかるリスクが高まるとのこと。

そのことが知られるようになり、心配される方が少なくないようです。

「小児喘息に対する妊娠中の補給葉酸の影響:予測出生コホート研究」

ただし、その後の研究では現時点では明確な結論は出ていないのが現状です。

ただ、葉酸は、遺伝子の働きを調節する仕組みにも関わる栄養素であるため、

葉酸は多くても少なくても遺伝子発現に望ましくない結果を及ぼすと考えるべきであると

専門家は指摘しています。

葉酸を補充することのメリットは根拠があり、確立されているため、適切な摂取量を守り

摂取することが大切となります。

具体的には不足を予防する摂取量は1日400μgとし、食事から摂取する部分も考慮して

厚労省の上限量は1日1000μgを越えないようにしましょう。

 

葉酸・亜鉛サプリの摂取は男性不妊で効果的ではなかった

2020年のアメリカ研究では、葉酸・亜鉛サプリの摂取が生産率にプラスに働いているわけでは

ないという結果で出ました。(5)亜鉛と葉酸を含む栄養補助食品は、

男性不妊症の治療薬のように妊活サプリとして販売されています。

妊娠率、精子数、精子機能を改善するといった研究もありますが、

でも実際生産率に効果的かどうかはわからなかったのです。

男性不妊を改善するわけではないという事です。

研究者はアメリカ4都市とその周辺地域で不妊治療を計画している2,370組

のカップルを対象に、男性に、プラセボまたは5ミリグラムの葉酸と30ミリグラムの

亜鉛を含む毎日のサプリメントのいずれかを6ヶ月間無作為に割り当てて研究しています。

出生数は2つのグループ間で有意差はありませんでした

サプリメントグループで404(34%)

プラセボグループで416(35%)

同様に、グループは、精子の動き、形、総数など、精子の健康に関するさまざまな

測定値の間でも差はありませんでした。

しかし、プラセボ群(27.2%)と比較して、サプリメント群(29.7%)

では、逆に精子DNA断片化の割合が高かったのです。

 

原因不明不妊でも葉酸サプリは産めるのに関係なし

原因不明の不妊女性と、妊孕性がある女性とを比較した研究では、(6

原因不明の不妊女性は、かなり多くの葉酸サプリメントを使用し、

妊娠しやすい女性と比較してかなりサプリメントから高い総葉酸摂取量でした。

原因不明の不妊症の女性は、妊娠中の女性よりも血漿葉酸の

の値が有意に高く、血漿ホモシステイン濃度の中央値が低くでています。

そして、原因不明の不妊症の女性では、葉酸を補給したからといって

葉酸塩の状態は妊娠結果とは関連しておらず、妊娠結果にプラスに働いて

いるわけではありませんでした。

 

葉酸という栄養素は、食事からの吸収率は約50%に!

葉酸には食品に含まれているポリグルタミン酸型とサプリメントに含まれているモノグルタミン酸型の2種類があります。

食品に含まれているポリグルタミン酸型葉酸の吸収率は、約50%といわれています。

そのため、食物から摂取した葉酸は、約半分しか利用できていないことになってしまいます。

葉酸は水に溶けやすく熱に弱い性質で、加熱調理すると約50%の栄養が失われてしまいます。

そのため、サプリメントを選ぶ際には、吸収率が約85%と高めの

モノグルタミン酸型葉酸のサプリメントがおすすめとなっているようです。

ただ、葉酸をはじめ妊娠できずにいるほどビタミン系のサプリメントの

摂取は多い傾向にあるものの、逆に性生活が少なくなったり、果物や野菜の

摂取が不十分だったりと、ライフスタイル全般にわたってバランスを

欠いてしまっている感じもあります。(7

また、妊娠中は葉酸はもちろんですが、

その他にも必要な栄養素がたくさんあります栄養素はお互いに助け合って働いているため、

どれか一つをサプリで補っているから食事今までで大丈夫と思うと危険です。

ほとんど1つの成分だけをたくさんとっても効率よく働くことはできません。

ビタミンC、ビタミンD、カルシウム、マグネシウム、葉酸、鉄など重要な栄養素が不足している

妊婦さんの栄養状態を考えれば、まずは基本的な食生活を整えてバランスをよくすることも

心がけていないといけない事になります。

 

妊活とは葉酸サプリの摂取では不十分

子育てハックさんの調べでは20代から40代の妊活女性では、葉酸の摂取を妊活として取り組んでいます。

葉酸摂取が必要ないという事ではありませんが、妊娠のために必用な栄養素は何も

葉酸だけではありません。

今まで様々な生殖に関する研究などからも、

炭水化物や葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、亜鉛などの栄養素が関与していることがわかっています。

妊活として、葉酸だけを意識するのではなく、いろいろな食べ物を、

バランスよく満遍なく食べ、その上で適切な量のサプリメントを補充することが大切になります。

いろいろな栄養が不足した状態では、せっかく摂取していても体はうまく機能しないものです。

妊娠しやすく取り組めることや改善が必要である部分は人それぞれ違うかもしれません。

 

妊活では葉酸を自然な形で食事から摂取してみて

葉酸や野菜や果物に比較的多く含まれます。(8

できる限りサプリよりも自然な形で食べ物から食べて栄養を摂取していくことは

妊娠、そして産むという事、さらには健康に過ごしていく事において重要になります。(9)

 

  • 牛レバー、3オンス:215 ㎍
  • ほうれん草、ゆでて0.5カップ:131 ㎍
  • 黒い目の豆、0.5カップの煮物:105 ㎍
  • 白米、0.5カップ調理済み:90 ㎍
  • アスパラガス、4本で:89 ㎍
  • 芽キャベツ、ゆでて0.5カップ:78 ㎍
  • ロメインレタス、細かく切って1カップ:64 ㎍
  • アボカド、生0.5カップ:59 mcg
  • ほうれん草、生カップ1杯:58 ㎍
  • ブロッコリー、調理済み0.5カップ:52 ㎍

 

妊活では全粒穀物が注目されていますが、白米も葉酸は多く

玄米でなくてはならないという事もないかもしれません。

 

栄養はサプリなどに頼ってばかりもいられません。また不妊の原因に

つながる部分には食事の影響が大きくなっています。

だからこそ、妊活では食事についてや栄養についても健康指導が

重要だといわれるようになりました。(10

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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