精子の運動率が10%と低い 妊娠しやすくする食事とは?

男性側にも不妊の原因があったりもします。
男性不妊の原因の8割を占めるのが造精機能障害です。
精子の運動率が低いという場合は、精子の数も少なかったり形も悪かったりと連動していることが
多く、根底にはよい精子を健康的に作ることができなくなっている問題があります。
精液検査を受けたら、精子の運動率が低かった、10%以下だったという場合、
とてもショックを受ける事でしょう。
運動率が低い場合はどうしたらいいのか見ていきましょう。
男性の精子の運動率と不妊について
自然妊娠は、女性側では排卵がある状態であれば妊娠は可能です。ただ、年齢とともに卵子は
劣化するため妊娠確率は低下してしまいます。
妊娠には卵の質やホルモンバランスが整った
ママの体質がとっても大事になってはきます。
また妊娠は女性だけの問題ではなく、男性の精子の質も影響してきます。
男性の精子の運動率は32%以上が自然妊娠可能な範囲と言われています。
WHOが2010年に発行した精液所見の基準値は以下の通りです。
あくまでも妊娠ができる正常値とみるのではなく、最低ラインとしてみるようにしてください。
■ 精液量:1.5ml以上
■ pH:7.2以上
■ 精子濃度:1500万/ml以上
■ 総精子数:3900万以上
■ 運動率:40%以上
■ 正常形態精子率:4%以上
でも、運動率が低いといって妊娠できないという訳ではないせすし、
運動率が40~50%あっても確実に妊娠できるわけでもありません。
精液検査の結果とあわせ、授かる方法は模索できます。
不妊治療体外受精や顕微授精など、自然妊娠以外の方法で妊娠することもできます。
また精液検査の結果はばらつきがあるたけ、あまりにも一喜一憂しすぎない事もたいせつです。
精子運動率は年齢とともに低下傾向
1日あたりにつくられる精子数は加齢とともに減少するとされていますが、
精液量も減ってしまうため精子濃度はあまり変わらないとされています。
過去の報告をまとめたものでも、30歳代と比較すると50歳代では精液量は3~22%、
精子運動率は3~37%、精子正常形態率は4~18%低下すると報告されています。
年齢とともに男性ホルモンの分泌も低下し、放っておいても生殖能力は低下して
いってしまうということなので、できるだけいい状態を保てるように
精子の運動率低下に影響が出る部分は改善しておきたいとことですね。
ただ、男性ホルモンの低下には他にもライフスタイルが関係するため、気をつけていきましょう。
特に睡眠不足はかなり危険なレベルです。
こちらを参照
精子の運動率が40%以下は精子無力症
精液検査で前進する精子が40%未満の場合、精子無力症と診断されています。
なにかの理由で精子をつくる機能が低下していると考えられています。
乏精子症と重なっておこることが多いのが特徴で、精子の数と運動率などは
関係して影響をうかていることになります。主な原因としては、
先天的な異常や、前立腺の炎症、精巣の炎症といったものになります。
特に炎症というのは不妊の原因につながっている問題なので気をつけたいキーワードかもしれません。
ストレスなどによっても免疫バランスが崩れるため体の中では炎症がおこりやすくなります。
男性側に不妊の原因がある場合
精子の運動率が10~30%くらいでも自然妊娠が可能なのか、妊娠を望まれる方にとっては、
気がかりな点なのではないでしょうか?
病気の治療と不妊治療は人工授精を行います。
それでも妊娠しないときは体外受精や顕微授精を視野に入れます。
精子濃度が1000万/ml以下の乏精子症の方や精子 運動率が10%以下の精子無力症の方には、
人工授精から始めて、妊娠しない場合は体外受精を
精子の運動率が10%くらいでも、人工授精などで治療がスタートしています。
人工授精での妊娠確率はいくら精子を厳選して処理すると言っても、
妊娠確率は自然妊娠確率よりも劣る治療法です。あくまで自然に近い形の治療方法で
体外受精や顕微授精とは違います。
そのため、ある程度は自然妊娠できる可能性だったある事になります。
ポイントなのは、精液は変化するという点です。そのため、できる限りの精子の質を良くしようと
した場合は、生活習慣の改善も大切になります。
慶応大学のグループにおける健康男児の精子による過去30年間2万人に及ぶ大規模な調査では、
10%の精子数が減ってしまっているという報告がされています。
その原因として、活性酸素による精巣胚細胞のダメージであり、細胞がさびてしまっているという事、
血行が悪くなってしまっている事、ホルモンの分泌異常が起きている事、
環境ホルモンなどで抗テストステロン作用が働いてしまっていることが生殖システムに
何らかの影響があると考えられているのです。喫煙は精子数を減少させ、運動率の低下を招くと言われていますし、
アルコール摂取はテストステロンや精子数を減少させるとも言われています。
いずれにしても妊娠には生活習慣の改善や代謝の良い食べ物
精子に問題がある場合、まずは日々の生活習慣を改善したり
抗酸化作用のあるサプリメントを服用したりして数や運動率の改善を試みるが、
効果がなければ人工授精、体外受精などに進む。
精子をつくる機能に問題がおこる場合は、生活習慣の乱れ、不規則な生活やストレス
などの影響もとても大きいものです。
造精機能障害は、男性の不妊症の原因の中では多いものとなっていて、精子の数や運動率
などにも影響がでています。まずは、生活習慣の見直しや、抗酸化力を高めるために
ビタミンEなどを摂取したりといった事もおススメです。
睡眠不足は酸化しやすくなってしまうため、睡眠時間は7~8時間は確保したいところですね。
精子の数、運動率などの改善にはDASHが最善かも?
精液所見の改善には地中海式食事療法よりも、DASHという高血圧予防食指数が高い
食事の方がいいのかもしれないというスペインの研究があります。(1)
2010〜2011年に18〜23歳の一般男性209名を対象に、食事内容と精液所見の関連が調査されています。
食事内容の調査には、
・AHEI-2010(代替健康食指数)
・rMED(相対地中海食指数)
・DASH(高血圧予防食指数)
の3つが用いられたのですが、精液所見と有意な関連を示したのは高血圧予防食のみだっと
というものです。高血圧予防食により精子濃度、総精子数、総運動精子数が有意に改善したという結果に。
DASHは、野菜、果物、魚、低脂肪の乳製品の摂取が多めで、
加工肉、塩、砂糖の摂取が低い食事を反映した健康食指数となっているものです。
DASHダイエットとは?
DASHダイエットは「高血圧を治すための食事療法(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」の略で、
もとは血圧の改善が目的とされた治療法ですが、ダイエットにも有効とか。(2)
DASHダイエットの概要としては、
- 飽和脂肪酸(肉類や乳製品の脂肪にふくまれる脂肪)を減らす
- コレステロールと全体的な脂肪摂取量を減らす
- フルーツ、野菜、脂肪ゼロの乳製品をメインに食べる
- 玄米のような全粒穀物に加え、魚、鶏肉、豆類、ナッツを食べる
- 砂糖と赤身の肉は減らす
- 塩分を控える
あくまで精液所見の部分の改善に有効といった点なので、絶対にこっちの方が良いという事は一概には
いえませんが、あきらかな形や数や動きといった部分においては
血圧改善の為や健康といった指標で考えていくことで男性の妊孕性は高められので
参考にしてみてください。
ただ、精子の質の部分ではDNA損傷レベルが低いことも大切なので、ポリフェノールなど
抗酸化作用が高い地中海式の食事療法もとても捨てがたいと言えるでしょう。
うまく組み合わせてみてくださいね。
男性の精子の質は女性の働きかけ次第でうまく変えられます。
男性の精子の質は世界的に見ても質が低下してきています。そこには
普段の生活、座りがちな生活、肥満、喫煙、陰部が熱にさらされる、
ストレス、栄養不良、有害な環境毒物はすべて影響するといいます(3)
できるところから改善してみましょう。
参考文献
(1)Hum Reprod. 2019 Oct 2;34(10):1866-1875. doi: 10.1093/humrep/dez157. Adherence to diet quality indices in relation to semen quality and reproductive hormones in young men.
(2)What is DASH Diet?
(3)Male Infertility Problem: A Contemporary Review on Present Status and Future Perspective