本当に妊娠・出産できる?根拠に基づいた不妊鍼灸・ツボの効果

本当に妊娠・出産できる?根拠に基づいた不妊鍼灸・ツボの効果

妊活鍼灸

東洋医学からきている不妊鍼灸や妊活鍼灸は妊娠率が高まったり、出産率は

高まるのでしょうか?とても人気で妊活というと鍼というのが

スタンダードになっているかもしれませんが、本当に科学的には根拠はあるのでしょうか。

また妊娠しやすくなるために役立てるにはどうしたらいいのかみていきましょう。

 

医師によっても不妊鍼灸は意見が分かれる

不妊治療。漢方は本当に気休めにしかなりませんか?

私は、不妊治療で体外受精をしています。3回目も陰性でした。
原因は、私の卵子の質が悪いこと。
卵の質を上げる為に漢方を服用したいと医師に伝えたところ、
『処方はできるが、効果は殆どないと思います、気休め程度に考えてください。

気軽に飲めると宣伝されているが、副作用も多い。ずっと飲むとなるとお金もかかるし、よく考えてください。』
と言われました。

鍼灸にいたっては、話にならない、効果が無いことが証明されている。
有名病院に漢方薬局や鍼灸が併設されていることについては、ビジネス的な要素もあるでしょう。
とのこと。
私は漢方、鍼灸ともに試したことが無いですが、本当に効果的ではないですか?

ヤフー知恵袋

 

病院によっては、鍼灸や漢方薬をとてもおススメするところもあれば、

科学的根拠はないため、藁をもすがる思いで取り組むよりは、

できるだけエビデンスがあるもので取り組むことをすすめている医師もいて、

情報にはやはり右往左往してしまうかもしれません。

 

本当に効果的な事に、効果的な時間とお金、エネルギーを注ぐことが

妊娠してそしてさらに出産していくという事にはつながっていきそうです。

不妊鍼灸の正しい位置を知っておく事も大切でしょう。

 

体外受精IVFの移植前後の鍼灸は出産率を高めたの?

体外受精(IVF)による不妊治療を行う前後に鍼治療を受けた場合、

生児出生率を高める効果は期待できないことが新たな研究で示されたのです。(1

 

体外受精IVFを受ける女性の多くが妊娠の成功率を高めたくて鍼治療・不妊鍼灸を

選択しています。でもその有効性は明らかにされていなかったため、

ウェスタンシドニー大学国立補完医学研究所(NICM、オーストラリア)のCaroline Smith氏が率いる研究チームでは

IVFを受けるオーストラリアおよびニュージーランドの女性824人を対象に

鍼治療を受ける群(424人、実治療群)またはプラセボ郡としてにせものの鍼治療を受ける群(424人、対照群)と

に分けて治療を実施し、その後を比較しています。

対象となった女性は18~42歳で平均年齢35.4歳でした。

まず卵巣刺激ホルモン投与の6~8日目に初回の治療を行い、その後、新鮮胚を用いたIVFを受ける前後に2回、治療を行っています。

そして、プラセボの対照群では、実際にツボを刺激しない非侵襲的な針を用いて

実際のつぼとされる位置とは違うところに鍼を打っています。

その結果、生児出生率は不妊鍼灸と18.3%、プラセボ郡では17.8%であり、

どちらも統計的に有意な差はみられなかったということです。

 

不妊鍼灸にふくまれるプラセボ効果は無視できない

不妊鍼灸

しかし、この研究の結果からすぐに鍼治療には妊娠率を高めたりする効果がないとは

いいきれません。より頻繁に鍼治療を受けた場合などは、さらに詳しい研究が必要と考えられると

研究者であるSmith氏は指摘していますし、鍼治療のもつプラセボ効果も無視はできないとしています。

過去の一部の研究では、何の治療も行わなかった場合に比べ、鍼治療を行うと

妊娠率や出産率が向上する可能性が示唆されているようです。

不妊鍼灸の治療によって、鍼そのものの効果というよりは、

不妊という悩みを抱えているとストレス度も高くなるため、そのストレス軽減に

役立つ点や、なかなか相談できないものを相談できる鍼治療の別の面の効果についても

触れています。

リラックスできて、ストレスを軽減できるものであれば歓迎できるという事ですね。

米レノックス・ヒル大学のTomer Singer氏は、

不妊治療を受ける女性をリラックスさせ、ストレスを軽減できる方法があるなら歓迎すべきである。

例えば、鍼治療、マッサージ、運動や(許可されていれば)性行為、専門家への相談など、その手段は何でもよい」としています。

排卵誘発剤によって生じる腹部膨満や吐き気の対処にも鍼治療が役立つ可能性があるとも指摘しています。

 

鍼治療によってどちらも出産率が低く効果を判断できない

鍼治療を受けた群は、鍼治療を受ける郡と、プラセボ郡とでは出産率が低い点から、

鍼治療の効果について判断を下すことはできないとして、今後の針治療と妊娠率・出産率に

ついてはまだまだ検討は必要になっていきそうです。

出産率が低いという点も気になるところですね。

 

ただ、精神的にリラックスできる手段としてはカウンセリングなど

悩みを打ち明けて支えてもらえるといった感じが得られるという点では

どんな手段でもいいので、不妊鍼灸でもよさそうです。

というのも、鍼灸そのもの、科学的なエビデンスにはどうも乏しく、

期待度低いかという判断になりそうです。

 

不妊鍼灸は本当に妊娠率を高め、流産率を減らすの?

下がり続けるグラフ

針治療と妊娠についての研究を 4681 件特定されたのち、さらに727の重複が削除された後、

研究は、適格性のためのタイトル、要約および全文によって調べられ、

全文で調べた37の研究のうち、20の試験(2002年から2018年に行われた5130名対象)

は、このレビューの包含基準を満たしたメタ解析によると(2

針治療と、対象郡(偽のシャム鍼)との郡とでは、どちらも差がなく

妊娠の増加 1.32倍

出生の増加 1.30倍

流産の減少 1.43倍

でした。

 

ちゃんとした鍼灸でなくても、関わってもらうという事で、妊娠率が高まり、

流産率の軽減、出生率を高めるという点では有益な点はあるかと思います。

そして、この研究で言われた点が、研究の難しい点は、手技やスキルが異なる先生だと効果に

バラツキもでて、異なる背景を持つ患者を対象にしている点もあり、

とにかく効果やデータが不均一だというです。

体外受精の状況がどうであったか、そうした状況も読み解けない部分もあるようです。

また副作用についての発現もあったりと、

何かとちゃんと特定できないのが不妊鍼灸・鍼治療なのでしょう。

ちゃんとした鍼の先生でなくても、ちゃんとした鍼でなくても同じような結果であるなら、

人に関わってもらったという安心感がやはり、プラセボ効果やリラックス効果につながって

いるという点も多いのではないでしょうか。

 

そもそも鍼治療のためのツボが特定されていない

シドニー工科大学が行なった研究では、過去に行われた771件のツボ研究をまとめて

信頼性や正確性をあらためて確認しています。

ツボは本当にあるのかという点や、ツボの計測法って妥当性があるのかなども調べています。(3)

その結果について

 

ツボの位置については、プロの鍼灸師の間でもかなりの違いが見られた。

資格のない鍼灸師については、そもそもデータがないためなんとも言えない。

また、ツボの位置を探り当てる方法(骨の位置を基準にしたりとか)にも、

検討したすべてのデータで食い違いが見られた。

 

という事です。

特別、ツボというのは特定できないし、みんなバラバラに鍼を指しているという事のようです。

WHOでも、国際基準をまとめる動きはあるものの、レポートには(4)

鍼治療によりどんな効果が得られるかは、それぞれの主張の正当性を確認しないことには何も言えず、

現時点で、正式に意見の一致をみたリストも存在しない。

としていて、WHOもツボを認めたわけではないという事です。

 

プロの鍼灸師の間でもバラバラ、また国際基準を設けようとしても、今までとは違うわけで、

やってきた鍼治療はいったい何なの?と思ってしまいたくなる点もありますが、特に

ツボというのはそもそも人それぞれ違って特定することが難しいのであれば、

そもそも効果が出ると言えるのでしょうか・・・・。

 

鍼治療についてはプラセボ効果

天秤女性

エビデンスを求めていくと、鍼治療はニセモノ!だという意見が優勢になっていきます。

その傾向を決定づけたのが2008年のサイモン・シン「代替医療のトリック」「代替医療解剖」です。

鍼治療はプラセボである!としています。

 

確かに、ツボの位置はバラバラ、うつ先生によってもバラバラ、

毎回変わるかもしれない、本当の鍼灸の針と偽の針でも同じような結果が出ているという点で、

プラセボ効果が残ってしまいますよね。

 

コクラン共同計画が行った研究では(5)。過去に行われた鍼治療の試験をくわしく調べたうえで

信頼性が高いものを残し、大きな結論を出しています。

コクラン共同計画の系統的レビューによると、鍼の有効性を示す根拠はなく、

腰痛、頭痛、吐き気には有効としています。

痛みについては精神的な影響で痛みが増幅するため、鍼は有効になるかもしれませんね。

 

にせもの鍼灸師の方が妊娠率が上がってしまった!

香港大学の研究では、本物の鍼灸師とニセモノのの鍼灸師とで体外移植の移植日に鍼治療を受けた場合の

妊娠率がどうなるのかを二重盲検法で比較した結果、(6

体外受精を受けている370人の女性を185名ずつ2つのグループに分けて、比較しています。

その結果、偽の鍼治療を受けたグループの妊娠率は55.1%だったのに対して、

本物鍼治療を受けたグループでは43.8%と、まさかの、

偽の鍼治療を受けたグループのほうが治療成績が良くなってしまったという事です。

やはり針そのものツボが特定できない、鍼灸師によってばらつきがある、

さらに鍼灸師そのものがどう接して関わったのかという事の方が妊娠率に影響が

大きいのではないかといった感じではないでしょうか。

さらに、受精率や流産率、出産率においても、偽の鍼治療を受けたグループのほうが、

良好な結果だったとしていて、逆に本当の鍼灸師はいったい?とも感じてしまいます。

 

イギリスのガイドラインでは鍼治療はバッサリ

女性妊娠きにする

The British Fertility Society(イギリス生殖学会)は、新たなガイドライン(7)として、
鍼治療や中国漢方を体外受精に併用しても、その後の妊娠率が向上するというようなエビデンス(証拠)はない
としています。

体外受精と併用する鍼治療の有効性を調べるために、合計2670名を対象に実施された

14の無作為化対照試験の結果を分析した結果、

鍼治療を採卵日に実施した試験、胚移植の日に実施した試験、また、胚移植の日と2、3日後に再度実施した試験でも、

比較対照群に比べて、臨床妊娠率や出産率、流産率において有意な差がないという点からです。

比較する偽のプラセボ鍼の郡と比べて効果に差がないという点は

鍼でも漢方でも言われている点です。

このことからイギリス生殖協会は、体外受精に鍼治療を併用しようとしている人は

そのことを知っておいた方がよいとしています。

 

 

生殖専門医の間では漢方などにも否定的

現在の不妊症の最大の原因は卵巣・精巣機能の老化であり、これを元に戻して、

妊娠しやすくするような不老長寿を果たせるサプリメントは存在していません。

そのため多くの生殖医療専門医はあまりサプリメントや鍼灸・漢方など民間療法などに

重要な意義を認めていないようです。

引用 ソフィアレディースクリニック

 

細胞の老化や劣化を防ぐためのとりくみにおいて、妊娠しやすくするような

単純なサプリや鍼灸や漢方などの民間療法はそうは存在しないという事です。

とても鍼灸は不妊で悩んでいる女性にとってスタンダードにもなってきているかもしれません。

でも、科学的な研究などから言われていることは、生活習慣を改善する事

そして、不安なども大きい点から心理サポートを重要視する必要性などが言われてもいます。

 

不妊鍼灸ダミーの針でも違う場所でも効果は同じ

鍼治療の短いコースと、鍼治療のポイントから離れた場所でダミーの針を

使用するセッションとの間に有意差は認められませんでした。

この重要な研究は広く報告されており、名誉ある米国医師会誌に掲載されました。

Does acupuncture improve IVF success?

鍼治療は体外受精の成功を改善しますか?というタイトルで

アンドリュー・マレー医学部長のウェリントンのクリニックは、

鍼治療が妊娠と出生率を本当に改善するかどうかを確認するために

慎重に設計された試験に参加し報告をしています。

つまり、不妊鍼灸といっても、針を刺す場所、使用する鍼がニセモノで

あっても妊娠率に違いがでないため、効果としては認められない。

ということが名誉ある米国医師会誌でも発表されています。

 

鍼治療で本当に子宮の血流促進効果があるとしたら

もしも、不妊鍼灸によって本当に子宮内の血流をよくする効果があるとしたら、

(それについてのエビデンスはわかりませんが)

考えられるのは、排卵までの時期のみがよさそうで、

逆に排卵以降は避けた方が妊娠率を高め流産率は回避できる可能性が高いと言えるでしょう。

子宮内の血流はエストロゲンやプロゲステロンによってかなりコントロールされています。

子宮内膜の厚くなり方も生理周期に合わせて変化しています。

そして、排卵以降は子宮内では血流量が抑えられ、酸素分圧も低下した環境を

受精卵が好むため調整されていくようになります。

受精以降は積極的に血流を増やそうとしない方が妊娠にはメリットが大きいという事です。

鍼灸で妊活しているのに妊娠しないと思ったら、プラセボ効果が得られないか、

逆効果を得ていないか、他の妊娠率を高めるための取り組みに力を注いだ方がよいのでは

といった点も検討してみるとよいかもしれません。

 

まとめ

鍼治療を妊娠するため!として用いる事にはどうもエビデンスは得られそうもありません。

それよりは、プラセボ効果は期待できるため、相談できる場所、

ストレス軽減できるカウンセリングを受けに行くつもりで

選ぶとより安心してリラックスできるようになるでしょう。

鍼灸師によって違うと言ってもそもそもツボも特定できないし、どう違うかも証明することはできないでしょうし、

プロの間でも違ってしまい、ニセモノの方が妊娠率が高まる事もあるなんて場合は、

基準がなくて選べなくなってしまいます。

安心して相談できる人、として人柄とかでもよいのではないでしょうか。

自分の大事な不妊という悩みを打ち明けて、それに寄り添ってサポートしてくれるもの

として精神的な影響力があるという事を知ったうえで選択していってください。

なので不妊鍼灸としているところである必要性もないでしょう。

安心感を得てリラックスできることが妊娠にとってはとてもプラスに働いていきます。

何かとストレスが多いのが妊活中です、メンタルケアやカウンセリングなどの

心理サポートを受けていくのも有効でしょう。

 

参考文献・引用文献

(1)Caroline et al.,JAMA. 2018;319(19):1990-1998. doi:10.1001/jama.2018.5336

Effect of Acupuncture vs Sham Acupuncture on Live Births Among Women Undergoing In Vitro Fertilization A Randomized Clinical Trial

(2)Acupuncture performed around the time of embryo transfer: a systematic review and meta-analysis RBM online January 02, 2019 Caroline A. Smith et al.,

(7)Human Fertility Acupuncture and herbal medicine in in vitro fertilisation: a review of the evidence for clinical practice

スミスCA, デレイシーS, チャップマンM, ら. 体外受精を受けている女性の生きている出生に対する鍼対シャム鍼の効果無作為化臨床試験.ジャマ2018;319(19):1990–1998.doi:10.1001/jama.2018.5336

ホーンB、バルクJ、ゴールドJI。シャムを再訪:それはすべての煙と鏡ですか?エビデンスに基づく補完代替医療2011

マンハイマー E. IVF および鍼 RCT のコントロールを選択する: シャムコントロールが RCT エビデンスベースを不必要に複雑にする方法.肥料滅菌2011 6月 30;95(8):2456-61.

補助生殖療法を受けた患者における鍼治療の影響 Paulus W.E., Zhang M., Strehler E., El-Danasouri I. , Sterzik K. (2002) 不妊と不妊, 77 (4) , pp. 721-724.(

マガレッリPC,クレンダDK,コーエンM.体外受精胚移植治療を受けている女性におけるコントロール卵巣過剰刺激中の鍼治療に関連する血清コルチゾールおよびプロラクチンの変化。肥料滅菌2009年12月;92(6):1870-9.

ハレンダールビンLE, オプサールMS, ウィーマーK, ミストSD, Caughey AB. 体外受精の結果に対する全系中国医学の影響.リプロッドバイオメッドオンライン。2015年6月30日(6):602-12.

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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