不妊治療はつらい 根拠に基づく効果的心のケアとは

不妊治療はつらい 根拠に基づく効果的心のケアとは

不妊治療は妊娠への期待がかかる一方、精神的な破壊的なつらさは

あまり目が向けられていません。そのため、不妊治療を受ける女性の

心がいい状態で守られ、また妊娠率を高められるようにどういった

心の有効なケアを選択したらいいかをマサチューセッツ大学の研究を参考に

見ていきましょう。(1

 

妊娠できない事で味わう女性が体験する気持ち

妊娠できないことで、影響がものすごく出てきます。

不妊症のひとは、不安、抑うつ、孤立、怒り、欲求不満の症状を訴えるケースは

本当に多く、決してあなただけの問題にはなってはいないのです。(2)

不妊治療中の160人(フランス、ドイツ、イタリア)、スペインの445人の

女性に関するヨーロッパの調査では、他の人が簡単に妊娠したことに対して74%がひがみ

を感じ、67%が妊娠の仕方に関する提案を受けることにうんざりし、

64%が妊婦さんや赤ちゃんなど周りに不快を感じていました。

子どもができない事で、周囲に対しても負の気持ちを抱く傾向は

あり、妊活をしていたら、誰でも抱くものかもしれません。

なので、こんな風に思ってはいけないと、

あまり自分を責めない事も大事ですね。

 

不妊治療ではもっと精神的につらくなっている

みんなつらくて悩んでいます。妊娠できなくても悩みます。

それ以上に不妊治療などへすすみ、ステップアップしていく過程で

味わう失敗体験はもっと女性を苦しめています。

 

不妊治療をして、期待した後で、妊娠できなかったという体験が、

大きな不安や抑うつ感につながっています。そして、その割合は、

40%が精神疾患だと診断を受けるレベルなのです。(3)

でも実際そこまでの心理的なケアに力を入れられているケースも少なく、実際に精神的な

治療等を受けていたのはそのうち20%以下でした。(4)

特に、治療を受けても妊娠しないとなると、動揺も大きく、

妊娠できない事への恐怖感も高まっていきます。(2)

 

夫婦への介入とカウンセリング

妊活や不妊治療は、夫婦でのサポートして支え合うのもとても大切です。

そのため、夫婦へ介入できるような形のカウンセリングも

有効とされています。(5)

特に妊活をしていると夫婦関係もプレッシャーがかかり、

ギクシャクしてしまったり、緊張感がある関係性になりやすいため、

夫婦に関われるというのも大事なポイントです。

 

SMARTでストレスケアと夫婦の満足度もアップ

SMARTという認知行動療法的な介入は、夫婦で受けるととても良いものです。

このSMARTの良さとしては、自己認識と注意、呼吸ベースのリラクゼーション、

感謝、思いやり、受容、目的を組み込むスキルを教えてくれるため、

2015年のランダム化臨床試験で、SMART療法は一般的なストレスはもちろん、

受精に関連するストレス、不安、幸福の改善に効果的であることが証明されています。

そして、IVFを受けている夫婦の生活の質や満足度まで高めてくれています。(6)

 

カウンセリングなどのケアはもちろんの事、セルフケアできる

認知行動療法や瞑想、心理的な改善スキルを

習得していくことは有効性が高いことが言われています。

ストレスケアと立て直す回復力を高めていくのにはレジリエンスが

大事といわれています。そのための心理テクニックもご紹介しています。⇒こちら

 

マインド・ボディの心身介入で妊娠率もアップ

SMARTのように、認知行動療法や、筋弛緩法、マインドフルネス、

瞑想やカウンセリングなど組み合わせて、心身に影響を与え、

心のストレス緩和とさらに妊娠率を高めるという介入の仕方があります。

そして、介入を受けたグループでは妊娠率も高まり有効性が

科学的にも証明されています。(7)(8)(9)

 

話ができる集団的な心理介入も有効に

妊活セミナーなどは同じ悩みを抱え、同じ目的をもった人同士

話をしたりできる機会になります。さらにそこに心理的ケアの意味合いを

加えて悩みを打ち明け、受け止めてもらったり、共感したり

そういった介入ができると、プラスの働きになります。

不妊治療の説明会などとも違い、心理的なケアを集団的に行う

という目的のもと行う事で、支え合いや励まし、勇気づけにもなって

いきます。不妊という問題は、人との関りにも影響が出るため、

家族や友だちへの打ち明けが有効になるばかりではなく、かえって

より不安が高まってしまうとも言われています。

 

開催しています妊活セミナーは、心理的な集団ケアの目的に合わせた

内容になっているので、ご参加いただく方のメンタル、そして妊娠率改善

へも貢献していくようにしています。

 

つらい時、複雑な気持ちはあなただけでなく、みなさん持っています。

貴重な機会ですので、機会をお見逃しなく!

妊活セミナー 最新情報は⇒ こちら

https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(16)00131-X/fulltext

 

まとめ

不妊で悩んでいて、さらに不妊治療へ進んでいった時のメンタルへの

影響はとても大きいものです。そして、なかなか体験した人でないと

理解してもらえないようなつらさになっています。

そのストレスがさらに不妊や流産のリスクも高めてしまっているため、

不妊治療中の女性にこそ精神的なケアが重要といわれています。

受精させること、治療の事だけでなく、赤ちゃんを授かり育む

あなた自身の心が健やかであることも、子宮環境への影響がおおきいので

心のケアにも注目していきましょう。

 

参考文献

(1) 2016 May;105(5):1124-1127. doi: 10.1016/j.fertnstert.2016.02.017. Epub 2016 Mar 30.Addressing the emotional barriers to access to reproductive care.

(2)Domar, A.D., Gordan, K., Garcia-Velasco, J., La Marca, A., Barriere, P., and Beligotti, F. Understanding the perceptions of emotional barriers to infertility treatment: a survey in four European countries. Hum Reprod2012271073–1079

(3)Chen, T.H., Chang, S.P., Tsai, C.F., and Juang, K.D. Prevalence of depressive and anxiety disorders in an assisted reproductive technique clinic. Hum Reprod2004192313–2318

(4)Volgsten, H., Skoog, S., Ekselius, L., Lundkvist, O., and Sundstrom, P. Prevalance of psychiatric disorders in infertile women and men undergoing in vitro fertilization treatment. Hum Reprod2008232056–2063

(5)Markins, M.V., Peterson, B.D., Almeida, V., Mesquita-Guimaraes, J., and Costa, M.E. Dyadic dynamics of perceived social support in couples facing infertility. Hum Reprod20142983–89

(6)Khan, Z., Fuehrer, D., Coddington, C., Bleess, J., Daftary, G., Stewart, E. et al. Stress Management and Resilience Training (SMART) therapy for couples undergoing in vitro fertilization (IVF): a randomized clinical trial (RCT). Fertil Steril2015104e42

(7)Domar, A.D., Clapp, D., Slawsby, E., Kessel, B., Orav, J., and Freizinger, M. The impact of group psychological interventions on distress in infertile women. Health Psychol200019568–575

(8)Domar, A.D., Clapp, D., Slawsby, E.A., Dusek, J., Kessel, B., and Freizinger, M. Impact of group psychological interventions on pregnancy rates in infertile women. Fertil Steril200073805–811

(9)Domar, A.D., Rooney, K.L., Wiegand, B., Orav, E.J., Alper, M.M., Berger, B.M. et al. Impact of a group mind/body intervention on pregnancy rates in IVF patients. Fertil Steril2011952269–2273

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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