不妊ストレスで悩まないための心配性(強迫性障害)克服

不妊ストレスで悩まないための心配性(強迫性障害)克服

心配性であれば、起こりもしない事でもとても心配になってあれこれ気をまわして

精神的に疲労してしまいます。

考えすぎてしまって心配性。不妊になると、妊娠できない理由も、

どうしたら妊娠できるのかに始まり、人に言われたこと、調べたこと、

どれがいったい本当で、何が正しいのか、より効果的なのかもかなり神経質に考えてしまいます。

みんなからは、考えすぎだよと言われるくらいに。

行き過ぎた心配性は強迫性障害で日常生活にも支障をきたしてしまうほど。

 

ストレスは不妊の原因となる

ストレスが不妊の原因になったり流産の原因になったりすることはありますが、客観的に証明する方法はありません。

仕事などのストレスでセックスの回数が減るのであれば関係があると言えます。

逆に、不妊が強いストレスになる場合は多いです。

不妊治療ストレス

 

【ストレスが不妊治療に与える影響について】

ストレスは視床下部下垂体卵巣系と視床下部下垂体副腎系に悪影響を及ぼしてホルモン分泌の乱れを引き起こしたり、

ストレスによって副腎より分泌されたコルチゾールというホルモンが卵巣組織を障害します。

これらの作用によって卵母細胞の発育能低下や排卵障害を引き起こします。

Si-Yu Zhang, et al;Maternal Restraint Diminshes the Developmental Potential of Oocytes

ストレスと不妊治療

 

Stress reduces conception probabilities across the fertile window: evidence in support of relaxation

(ストレスが妊娠可能期間の妊娠率を低下させる:リラクゼーションの効果も含めて)
これはイギリスのBuck Louice氏らが2011年にFertility and Sterility誌に報告した論文です。
この研究ではイギリスの274人の女性がタイミング法を行い、実際に妊娠したかどうかを調査しています。

結局のところ結論は、ストレスはやはり妊娠を遠ざける。

ストレスが妊娠を遠ざける

 

ストレスを抱えていると不妊の原因や流産の原因にはなります。

ただ、ストレスがどの程度あるととか、ストレスだけが不妊の原因なわけではないため

特定することが難しかったりはしますが、やはりストレスはあまり抱えていない方が

心身ともに健康的になれるので、妊活中は対処することが大切ですね。

ストレスはその周期の妊娠確率を下げるだけでなく、長期的にみると

卵巣組織の障害や排卵障害そして、着床障害にもつながっていってしまいます。

 

心配性だと、不妊ストレスはなお増大してしまう

不妊悲しむ女性

子どもができないという悩みは、自分の人生の舵取りができなくなってしまったようで

無力感を感じたり、女性としてダメなんだとか嫁としてダメだとかも自分への価値感も

そこなってしまい常にストレスを感じるようになりやすくなります。

周囲とも比較しては、みんなはできることが自分はできないとも思ってしまいます。

あまりにストレスを抱えている、心が傷つきやすく情緒は不安定になってしまいます。

子どもができない悩みはうつや神経症にまでなってしまうほどとも言われています。

前向きな未来を思い描きにくくなって、うまくいかなかったらどうしよう、

このままずっと子どもができなかったらどうしようといった事から、

起こりもしないようなことまで事細かに心配してしまいます。

私たちが感じる疲労のほとんどは精神的な疲労になってきています。

心配性なら妊娠できないという事もありません。ストレスは不妊リスクを高めてしまうだけなので

できるだけ心配性を克服できるように今できる取り組みをしていきましょう。

 

心配性(強迫性障害)は心の癖

まじめで几帳面。しっかりもの。完璧主義。どれも日本では生活する上で美徳とされるもの

かもしれません。心配性の人は、忘れ物などもほとんどしませんし、

約束はきっちりと守ったりもします。

々考えて心配になってその不安が自分にとってよくないことや、

不安に思う必要がないということをその本人もわかっているのです。

でも、その不安を打ち消すことができないし、何度も考えてしまうのです。

過度に不安が強まると、行動することができなくなってしまいます。

自分で作った不安で身動きが取れなくなって、引きこもりになってしまうケースすらあるのです。

何かと心配しては不安をかかえてしまう心配性(強迫性障害)のひとには、考え方や行動に“癖”があるのです。

その癖に本人が気付いて、その癖から抜け出していくことで、

合理的な考えや行動をとる方向に修正していかれるようになるため、認知行動療法などが有効になります。

 

強迫性障害の人の脳では、セロトニンという神経伝達物質が減少している可能性が指摘されている。

セロトニン減少は、うつ病の人の脳でも見られる。事実、強迫性障害とうつ病を併発する人も少なくない。

治療法としては、カウンセリングを柱とした認知行動療法というアプローチが有効だ

心配性にご用心

 

心配性?起こりもしない事を心配しているかも

何かと心配してしまうのが、私たち人間ですよね。その不安も全くなかったら

キケンな事を回避できなかったり、考えなしな行動ばかりしてしまうかもしれません。

ちょっと心配する、ちょっと不安を抱えるこれは生きていく上で大切な事ですが、

心配性だと自分も疲れてしまいますし、なによりストレスを抱えて過ごす事は

パートナーとの関係性も悪くなってしまいますし、友達とも疎遠になったり

仕事をしていてもうまくいかないなと感じることが増えてしまうものです。

心からでてくるエネルギーは、限りあるエネルギーなので

大切に使っていくことで、ポジティブな妊活のための前向きな未来を予測できる力、

自分をコントロールする力を発揮して目標を達成して行かれるようになります。

まずは、あなたが心配性で自分が心配したことが正しいかどうかをチェックしましょう。

起こりもしない事を心配してエネルギーを使うより、心が充足してくる安心感に満ち足りた方が

よいですものね。

 

あなたはどれくらい心配性?

疑問クエスチョン

まずは、自分がひごろから不妊の事だけでなくても何かにつけて心配しているか

振り返ってみましょう。

もちろん、今最大の関心事は、妊活の事でしょう。

子どもができなかったらどうしようという事は気がかりでしょうし、

過去に自分がとった行いが今につながっているのではと不安になるかもしれません。

月経不順だったから妊娠しないのでは、

医師からあなた妊娠しにくくなるよと言われたことがあるとか、

そういった事をはじめ、流産や中絶などがあればそのせいかもしれないと思う事もあるでしょう。

努力しても妊娠できなければ不妊治療を受けなくてはならないと不安になっているかもしれません。

もしくは、あとに結婚した同僚が先に妊娠して先を越されるのではという不安を抱えているかもしれません。

 

自分は心配性?ふりかえりトレーニング

過去に自分が心配していたことを思い出してみましょう。

それらをいくつか書き出して、リストアップします。

自分が心配性だと、些細な事でもとても強い不安を感じていた可能性があります。

ひとつひとつの心配事を思い出してその時のことを詳しく振り返り、

自分がその時感じた不安の度合い、恐怖心のようなものを10段階で評価しましょう。

1は最も不安度が低く10が最も強い不安度です。

そして、それら心配した事態が後にどれくらい実際におこったか、

自分が心配した通りになったかどうかも振り返り書き記しましょう。

 

自分が心配したことがどれくらい現実となているのか、

自分が予測したことがどれくらい正確に当たっているのか、それともただの思い過ごし

だったのかもチェックしましょう。

こうして自分の心配性を振りかえってみましょう。

 

心配性の人の特徴

心配ばかりしてしまう原因はこんなことがあります。

物事をマイナスばかりにとらえてしまう

心配性な人は、ついつい物事をマイナスにとらえてしまいがち。それを心配して

心配性になってしまうのです。

些細な悩みなのに大事にしてしまう

些細な事だから大丈夫として捉えることができずに些細な事でもどんどんふくらませて

考えてしまいます。

・うまくいかない未来を描いてしまう

自分の未来を思い描いても、心配して不幸な結末をつい思い描いてしまう。

そうならないためにと色々対策も考えるのですが、そればかりに振り回されるので

疲れてしまいます。

・人とつい比べてしまう

人と比べれば優越感か劣等感しか得られません。でも心配性な人はつい

ネガティブに捉えてしまうので、劣等感をいだきマイナスにとらえてしまいます。

・完璧や、もっともっとを求めてしまう

心配性な人は自分の心の中に持っているハードルの設定が高いため、

完璧を求めてしまいがちですし、そうならないといけないと思ってもっともっとと

求めながら自分を否定してしまいます。

・いつも満足感を得られない

もっともっとと不足部分が目に付くため、いつも心の中には幸福感や充足感が

たりず満ち足りることがありません。

・良い結果さえも素直に受け入れられない

例え良い結果を受け取ってもそれを素直に喜べません。心配性な人は

良い結果を受け取ってもまだまだ、とかもっともっとと思ってよい結果を得たのに

満足することができません。

 

心配性だとエネルギーの消耗が激しい

カウンセリングをしてきたクライアントさんの中には、とても心配症で、

将来妊娠できないかもしれないから、今から取り組んでいますと結婚前から

相談に来てくれました。その方は、不妊の事だけでなく、

彼が私と結婚してくれるかどうかも心配だし、結婚しても子供ができるかも心配だと

悩まれていました。

子宮内膜症があるからそれを悪化させないようにしたいんだけど、

何を食べたらいいのか専門家ごとに言う事が違っていて困るから、

それも心配だと言って、食べるものから何から何まで心配事でいっぱいで、

不妊治療が必要となったらと思うと今から探しておかないとと、

有名な不妊治療専門医を受診して、結婚して子供ができなかったら来てくださいと

言われたと話してくれました。「自分が心配することのほとんどは、

実際はおこる事がほとんどないんですよね。」なんて話してくれたのも印象的で、

実際に起こりえない事に頑張って悩んでストレスを抱えてしまうというのも勿体ないですよね。

 

根拠がない思い込みが心配とストレスのもと

根拠がない、自分の思い込みによってこんなに心配して、しかもそれが大きなストレスの

もとになってしまうというのはつらいですよね。

そして、つらく苦しい気持ちに寄り添ってもらえた時に人はとても癒されます。

そのため、まずは自分で自分を癒す力、セルフケアも覚えておくとよいでしょう。

 

癒しあいのトレーニング

とっても優しくてどんなことでも受け入れてくれる人をイメージしましょう。

自分がどんだけ心配な事を考えていてもそれを受け止め、

咎めもせずに愛情があって優しく接してくれます。

その人をイメージして、自分の心配事を手紙にして書くようにしましょう。

ここではあくまでそういう人をイメージして書くことがポイントになるので、

実際の人物に手紙を送る事を目的としていないので架空の人物でも構いません。

そうしたら、今度はその手紙を受け取る、

愛情深い人の役をあなたがします。

その手紙を受け取ってお返事のお手紙を書いてあげるようにしましょう。

その手紙にどんな対応をしますか?どんな言葉をかけてあげますか?

そしてそれを手紙に書き記してあげましょう。

 

心配ごとの96%は起きない?

ハートの雲

米国ミシガン大学の研究チームが行った調査では心配について驚くべきことが明らかになりました。

心配事の80%は実際には起こらないというのです。

しかも、残りの20%のうちの80%も、あらかじめ準備しておけば何かの対策を

うち、事態を回避することが可能なのだといいます。

なので、私たちが多くの時間と労力を費やしてきた多くの不安や心配事のうち

80%はおこらないし、そのための対処をしていれば96%の確率で実際には起こらないということです。

心配し過ぎはやはり良くないですし、冷静に不安に対し対処する行動に出れば

これほど回避できるなら、冷静さをたもち、回避できるように

解決のための行動をとるだけの心のコントロール力を保っておく必要がありますね。

 

不妊ストレスを助長させない!やってはいけない事

心配性を助長させてしまうことは何としても避けたいところ。

妊活中で不妊で悩んでいたらストレスを抱えないように心配性の人がやってはいけない

ことは何かをチェックしておきましょう。

心配性克服のための適した行動を増やすことがポイントです。

 

心配性の人は、自分が心配しすぎていることをわかっています。

なので、こんなに心配してばかりいてはだめだと思ってもいます。

心配性である事を否定しないという事も大切です。

心理的には、やってはいけないと思うほどさらにやってしまいます。やってはいけないと思うほど

やってしまう割合は1.5倍にも高まるといわれています。

 

心配することを無理にやめようとすることもよくはありません。

自分がいま、心配しているんだねと受け止め、客観的にその心配が過ぎ去っていくのを

見守ってあげましょう。

 

心配性だからうまくいかないというパターンを作らない事も大切です。

うまくいかないのは自分が心配性の性だと思ってしまうと、心配事により

フォーカスしてしまいやすくなりますし、心配すると失敗するという無意識な

パターンを作り上げてしまいます。

 

 

心配症改善に役立つ認知行動療法

赤ちゃん 手の中

もちろん、本人も心配性だという事をわかっているのです。考えないようにしようと思っても

考えてしまうからつらいのです。

でも、心配性のもとは、考えのアンバランスからです。

その心の癖が引き起こしてしまうのです。

そのため、その心の癖のゆがみをバランスよくしていくのに認知行動療法などが効果的になるのです。

 

Michelら(2003)は、慢性的な心配が特徴である全般性不安障害の研究を行いました。

研究の方法は、少人数で行う集団認知行動療法という心理療法を施した群と施さなかった群とを分けて、

不安や抑うつ、心配などを比較しています。

集団認知行動療法を施した群では、治療後に心配の度合いが大幅に改善しました。

ここでは心配だけを取り上げての研究でしたが、その他の不安や抑うつなども改善されていました。

この研究から、集団認知行動療法が心配症の改善とともに、不安や抑うつにも有効であり

不妊という人生最大の悩みを抱えた時に重要な心のケアになるでしょう。

 

 

参考文献

不妊ストレスにさようなら バーバラブリッツアー

Some characteristics of worrying: Evidence for worrying and anxiety as separate constructs. Personality and Individual Differences, 13(2), 133-147.
黒田彩加・友惠眞理子・富田望・岸野有里・荒木美乃里・桶沼友子・熊野宏昭(2015)

メタ認知的観点から見た抑うつ症状と心配の関連性の検討. 早稲田大学臨床心理学研究, 15(1), 65-72.
根本橘夫・毛利新治・寺島泰誉・中沢智・山本真理(1984)「心配性」の実証的一考察. 千葉大学教育学部研究紀要, 33, 25-43.

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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