腸内環境と免疫バランスで不妊に ストレス改善の必要性  |

腸内環境と免疫バランスで不妊に ストレス改善の必要性 

妊娠しやすくするには、免疫バランスを整えるとよいという事をご存知でしょうか。

というのも、免疫バランスが不妊と関係があるという事が言われています。

それを証明している研究もあります。

妊娠しやすくしていくためにちょっと見ていきましょう。

 

不妊に影響がでる免疫のバランスについて

私たちの免疫を司っている細胞には、リンパ球があります。

リンパ球には、T細胞と抗体を作るB細胞があります。

T細胞には、さらに、単球・マクロファージ(抗原提示細胞)から抗原を提示され、

免疫反応を調節するヘルパーT細胞とウイルス感染細胞などを障害するキラーT細胞があります。

そして、ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞とがあります。

このヘルパーT細胞のTh1とTh2のバランスによって妊娠しにくい状況ができてしまうという

点があります。

もともと妊娠は自分以外であるパートナーの精子という細胞を受け入れて

免疫寛容を起こし、受け入れていくものです。免疫バランスが良くない事で

妊娠が成立しなくなってしまうのもうなずけますね。

 

ヘルパーT細胞 Th1とTh2

Th1細胞とは

Th1細胞の働きは細胞やウィルスなどの「異物」に対して反応し免疫機能を発揮していきます。

異物を追い出し自分を守る役割です。そのために、抗体を作るように指示を出し、異物を排除していきます。

またこういった免疫は、一度作った抗体は記憶されるため、次に同じ抗体が体の中に

入ってきたらすぐに抗体を作っては攻撃をして退治してくれるようになります。

これは抗原抗体反応といわれているものです。

Th1が指令を出す際にでるのがサイトカインで、インターフェロンガンマ(IFN-γ)と呼ばれるものです。

 

Th2細胞とは

Th2細胞の働きは主に、アレルゲンに対する反応です。

Th2細胞が指令を出すときに産生されるサイトカインが、

インターロイキン4(IL-4)と呼ばれるものです。

 

これらのTh1細胞もTh2細胞もどちらかの働きが過剰にならないように、

IFN-γとIL-4のサイトカインがお互いの働きを抑制しあうように働きバランスをとって

免疫のバランスを保っていると考えられていますが、

このバランスが崩れる事で妊娠しにくくなってしまうようです。

 

研究からわかった免疫バランスで妊娠しにくさ

Nakagawa_et_al-2017-American¥Jounal_of_Reproductive_Immunology

の研究からは以下のように言われているようです。

 

反復着床不全あるいは流産の患者で、Th1/Th2≧10.3以上の患者を対象とし、

Th1を、Low,Middle,Highの3群に分けて、(Th1<22.8をlow、22.8≦Th1<28.8をmiddle、28.8≦Th1をhigh)

妊娠率、流産率、妊娠継続率などの指標で比較しているものです。

 

結果としては、妊娠率に有意差はないものの

流産率においては、Highグループにおいて有意に高く

妊娠継続率、生産率ではHighグループにおいて有意に低下しているという結果が得られています。

Th1/Th2と妊娠・出産について

 

 

日本産婦人科学会でも着床不全の原因として取り上げ

頭を抱える女性

 受精卵を受け入れる免疫寛容の異常
→ 免疫検査(採血で、Th1/Th2 細胞、ビタミンD)

受精卵に対する子宮の受容性は、T細胞を介した免疫応答が担っている。

T細胞は産生するサイトカインにより、IL2,IFN-γ,TNF-αなどを産生し細胞性免疫を誘導するTh1細胞と、

IL4,IL13などを産生して液性免疫を誘導するTh2細胞に分類され、これらを制御性T細胞が制御している。

正常妊娠では胎児・胎盤を異物とみなし攻撃するTh1細胞が減少しTh2細胞が優位になり妊娠が維持される

日本産婦人科学会 反復着床不全

 

着床、妊娠にはT細胞が関係する免疫反応が非常に重要になってくるということです。

正常な妊娠では胎児や胎盤を異物だとみなして攻撃してしまうTh1の細胞が減少し

Th2細胞が優位になるようにバランスをとる事で維持されているということですね。

Th1とTh2の比率が重要になってくるものの、あまりにTh1が高い場合は

免疫抑制剤であるタクロリムス(プログラフ®︎)を用いた治療法が行われてもいます。

タクロリムスを用いた治療では胚移植を施行した妊娠率が63.6%と非常に高まったという

研究(1)もあります。

 

若い女性でもTh1細胞とTh2細胞の比率がTh1有意で高い場合は、

どれだけ良好な胚を移植していても体外受精で妊娠率が

10%未満だという研究(2)もあり言われています。

 

 

Th1細胞とTh2細胞バランスを整えるには

Th1細胞が弱すぎると結核などの感染に弱くなったり、癌になりやすくなったりすることも予想されます。

くすりで直接このバランスを変えることは現在では不可能です。

IL-12の投与も試みられているようですが副作用が多くまだ実用にはいたっていません。

漢方薬の一部がTh1細胞優位にしたり、魚油製剤がTh1/Th2細胞バランスを整えるという報告もありますが、

おそらく抗原提示細胞を介した間接的作用なのでしょう。

しかし、逆にいえば不用意に漢方薬を処方すると原疾患が悪化する可能性もありえます。

Th1/Th2細胞バランス

 

抗原提示細胞への働きかけによって、Th1/Th2細胞バランスを整えることが

ある程度は可能といわれています。

Th1細胞優位になりすぎると自分の特定のどこかの臓器を自分を攻撃してしまうような

自己免疫疾患(多発性硬化症、クローン病など)になりやすくなってしまいます。

また。Th2細胞優位になりすぎてしまうとアレルギー疾患になりやすいといわれていて、

このバランスはその人の体質に大きく関与していますが、

ある程度バランスを整られるという点もあるため、不用意な漢方薬は避ける、

炎症を起こさせるような食事は控えて抗炎症作用が高い魚などを摂取していく、

幼少期の衛生環境や、腸内細菌の善玉菌や悪玉菌の変化といったことによる

腸内環境などの変化を整えていくことなど試みていく価値はありそうですね。

 

ビタミンDは着床環境を整える

ビタミンDによって着床率が高まるという事が体外受精とビタミンDに関する11論文2700名の

データを基にメタ解析した研究(3)が言われていますが、

ビタミンDには免疫バランスを調整する役割もあり、着床しやすくもなっているのでしょうね。

ビタミンDは食事からの摂取で

魚介類やキノコ類、卵類などに多く含まれています。

ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、脂質を含む動物性食品から摂取したほうが

栄養が吸収されやすくなります。

 

日光浴・太陽を浴びる事で体内でビタミンD生成

皮膚が紫外線を浴びることでビタミンDの素を生成します。

長時間の日光浴は皮膚がんへのリスクも高まるため好ましくありませんが、

UVケアをしてしまうとこの紫外線を浴びることの妨げになります。

 

腸内環境を整える事で免疫バランスが整う

腸内環境を整えていくには、食生活を改善して行くこと、ストレスを軽減することも

ポイントになっていきます。

炎症反応を高めてしまうような砂糖など糖質が多い食事は、血管内の炎症を抑えるように

低GI値の食事を心がけていきましょう。

魚の油には、抗炎症作用があるため、肉よりは魚を食べるというのもポイントですね。

また、納豆やヨーグルトなど発酵食品や、

食物繊維が多い食事は善玉の腸内細菌を増やしてくれますよ。

何よりストレスを抱えていると、脳と腸は迷走神経でつながっているため

免疫バランスが崩れてしまいます。

メンタルを整える事もとっても大切な妊活とも言えるでしょう。

 

詳しくはこちらもチェック

不妊ストレス改善!思考のアンバランスを変える心理学

 

参考文献

1 Nakagawa K, Kwan-Kim J, Ota K, et al: Immunosuppression with Tacrolims Improved Reproducrtive Outcome of Women with Repeated Implantaion Failure and Elevated Peripheral Blood Th1/Th2 Cell Ratios. Am J Reprod Immunol 2015: 7: 353-61.

2 Koot YE, Taklenburg G, Salker MS, et al: Molecular aspects of implantation failure. Biochim Biophys Acta.2012: 1822: 1943-50

3Chu J et al. Vitamin D and assisted reproductive treatment outcome: a systematic review and meta-analysis. Hum Reprod. 2018; 33: 65-80.

腸内環境を整えるためには https://yuchrszk.blogspot.com/2016/05/8.html

高橋 秀実 : 免疫システムの新たな実体:基本免疫と獲得免疫 . 感染症誌 . 2006 : 80 : 463-468.

金井 隆典ら : 炎症性腸疾患:診断と治療の進歩 .炎症性腸疾患の病理・病態 生理 .
腸管免疫抑制機構の破綻による炎症性腸疾患の発症. 日内会誌 . 2009 : 98 : 12-17.

穂刈 量太ら : 消化管の恒常性維持と病態解明 . 消化・吸収機能からのアプローチ . 日内会誌 .
2011 : 100 : 126-132 .

安藤 朗ら : 炎症性腸疾患:診断と治療の進歩 . 炎症性腸疾患の病理・病態生理 .
腸内細菌の役割. 日内会誌 . 2009 : 98 : 25-30.

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、自然妊娠カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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