妊娠したい!卵子の老化を食い止めるお役立ち栄養素とは?
妊娠しやすさに関わるのが卵子の質。
その卵子は常に活性酸素という体にとっては毒になるものにさらされて
錆びていってしまいます。
根本の卵子に栄養をとどけたかったら、日頃の食事もとっても大切になります。
卵子の質にもかかわる食事ですが、
妊活をしていると気になるのが、卵子の老化ではありませんか?
卵子の老化を緩やかにしてくれる、錆びさせない作用
つまり活性酸素除去作用がある食べ物をはじめ、お役立ち栄養素をご紹介していきたいと思います。
サビさせてしまうのは活性酸素
サビるという事は、酸化するということです。
私たちは、空気中の酸素を取り込んで代謝してエネルギーをつくり生きています。
この時に取り込んだ酸素は、「活性酸素」という物質に姿を変えます。
活性酸素は本来、体内に侵入した細菌やウイルスなどの敵からの攻撃から
カラダを守るために白血球がつくりだす物質で、健康維持のためにも重要な役割を果たしています。
活性酸素からのダメージは本来体がもつ修復機能で修復できるのですが、
過剰に作られ、ひとつの細胞がサビだしてしまうと
その細胞は次々にまわりの細胞を酸化させてしまいます。
活性酸素により、あらゆる組織のたんぱく質や脂質、DNAなどが変性し、
たんぱく質の変性、過酸化脂質の生成、遺伝子障害を起こします。
ついには、老化やガンや病気などにつながるのです。
活性酸素が過剰に作り出されるのはこんな時
活性酸素は、日々、呼吸し、食べて、活動して、眠る。
そんな普通の生活をしていても必ず発生します。
つまり生きている限り酸化し老化していってしまうのですが、
でも、特に大量に発生しやすいのは次のような場合と考えられています。
- 激しい運動をしたとき
- 細菌やウイルスに感染したとき
- 精神的ストレス状態にある、その状態が続いている場合(慢性ストレス)
- 紫外線や排気ガスなど大気汚染にさらされた場合
- ダイオキシン、電磁波などの環境要因
- 喫煙、肥満など
- 糖質が多い食事をとったとき
これらの項目は、見方をかえると、逆に活性酸素をたくさん生み出さないように
予防するのに生かすこともできるのです。
できるだけストレス対処をする、電磁波、環境汚染、化学物質を避ける、
禁煙するなど、生活習慣をチェックしてみて、見直すこともできるのです。
活性酸素と闘う抗酸化物質
活性酸素と闘う抗酸化物質もあります。
スカベンジャー(Scavenger)とは、廃品回収業者の意味があります。
身体の中で発生した廃棄物ともいえる活性酸素を、無害なものに変えてくれる
卵子の老化に歯止めをかけるサポート役ともいえる働きをしてくれます。
これは、抗酸化物質ともいわれていて、
体内で作られる酵素と体外から摂り入れる物質の2種類があります。
①体内でつくる酵素
活性酸素と結びついて害の少ない物質に変化させます。
代表的なものに、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)や
カタラーゼ、グルタチオンなどがあります。
また、抗酸化物質を体内で作る能力というのは、加齢とともに徐々に低下していっていします。
お役立ち酵素はこの栄養から作られる!
これら3つの抗酸化酵素は、たんぱく質やミネラル
(亜鉛、鉄、銅、セレニウム、マンガン)
などを原料にしてつくられられます。
この3種類の酵素がお互いが協力関連し合うことではじめて「活性酸素」と戦うことができるのです。
そのため、亜鉛や鉄となどのミネラルは不足しがちですから、
食事ではかなり意識してとりたいものといえるでしょう。
卵子を錆びさせなくするために役立つ栄養成分
体内で作り出すものに加えて、
食物に含まれている抗酸化作用成分を摂取することが活性酸素除去に役立つと考えられています。
今、活性酸素を退治するのではないかと期待されている抗酸化成分には
どんなものがあるのかみていきましょう。
五大栄養素の中では
ビタミンCやビタミンE、亜鉛やセレンなどのミネラル、
そしてよく話題になるポリフェノールやカロテノイドなどのファイトケミカルです。
抗酸化ビタミン
わたしたち人間は、他の動物や植物などとは違い、
この抗酸化ビタミンを体内で合成することができません。
そのため普段の食事からたくさん摂取する必要があります。
ビタミンC
血液中などの水分の多い場所で強い抗酸化力を持ちます。
レモン、いちご、キウイなどの果物、緑黄色野菜に多く含まれます。
ビタミンE
脂溶性のビタミンEは、若返りのビタミンとも呼ばれています。
ギリシャ語では“tocos”“pherein”が起源といわれて、。
“tocos”が「出産」で“pherein”が「授ける」になります。
妊活にピッタリのビタミンで酸化されやすい不飽和脂肪酸でできている細胞膜に存在し、
その酸化を防ぎます。ごま、うなぎ、ピーナッツなどに多く含まれています。
ミネラル
タンパク質とともにミネラルの体内でつくる3つの酵素の原料になります。
亜鉛
酸化されやすい細胞を守る働きがあります。
セックスミネラルとも呼ばれ、男女ともに生殖機能を高める効果もあります。
加工食品などは体内から亜鉛を排出したり吸収を阻害する食品添加物を含むものがあり、
忙しい主婦が総菜や加工品たよりになると、亜鉛は不足になりがちです。
卵や大豆、牡蠣などに多く含まれています。
セレン
活性酸素を抑制する抗酸化酵素の合成に必要なミネラル。
亜鉛と一緒にとるとより効果的とされています。
イワシ丸干し、シラス干し、小麦胚芽などに多く含まれています。
フィトケミカル
主に植物に含まれる苦み,香り、色素などの成分です。
レスベラトロール
ブドウの果皮などに含まれるポリフェノール。
抗酸化作用の他に、また長寿遺伝子の活性化や、抗糖化にも役立つのではないかと期待されています。
カロテノイド
特に緑黄色野菜などに多く含まれ、植物などに含まれる色素成分です。
かぼちゃなどに含まれるβ-カロテンは、よく知られています。
特に抗酸化力が強いのではないかと注目されているのが、
トマトに多く含まれるリコピンや、鮭に含まれるアスタキサンチン、
ほうれん草などに含まれるルテインなどがあります。
カテキン
緑茶特有の渋味成分のポリフェノールで8種類あり、その総称です。
ビタミンEよりも抗酸化作用が強いのではないかと見られています。
そのため、妊活だからと言って、ルイボスティーでなければだめという事もなく、
緑茶などで十分効果は期待できそうな気がします。
カテキンは運動と合わせた場合、細胞の中のエネルギー発電所である、
ミトコンドリアの活性化と数が増えるという事もわかっています。
卵子の質をよくする食べ物選びのポイント
これらから、卵子の質を高めるために、活性酸素を除去し
錆びさせにくくする栄養素を取り入れていくとよいでしょう。
その時のポイントとしては、以下の3つがあげられます。
●活性酸素を除去する食材
●抗酸化作用のあるポリフェノール
●酵素をつくるミネラルやタンパク質
栄養成分が豊富だからと、特定の成分を濃縮サプリに偏るのではなく、
こうした栄養素や成分をいろいろふんだんに含んでいる食経験の長い
野菜や果物などを幅広く、バランスよく食べる方が結局は効果的で、
また安全で妊娠しやすい体つくりにと近づくと言えるでしょう。
手軽な食事ではなかなか摂取しそびれてしまうものばかりですね。
栄養素を取り入れることも、卵子の質を高めることにつながるでしょう。
そのためには、地中海式の食事療法を取り入れるようにしていきましょう。
地中海式食事療法のポイント
地中海式食事療法は抗酸化作用が高い食品が多かったり、ナッツやオリーブオイルをはじめ
抗炎症作用が高い食品を多く摂取するスタイルで、健康度を高める食事として注目を浴びています。
その地中海式食事のポイントは
- 全粒穀物、季節の野菜・果物を豊富に摂る
- 豆類、ナッツ類の摂取量が多い
- 昼食がメイン(朝とよるはかるめ)
- 油の摂取はオリーブオイルが主体 (飽和脂肪酸が少ない)
- お肉は食べるとしても鶏肉(赤身肉は少ない)
- 魚介類を習慣的に摂取する
- 乳製品の摂取量は少ないか適量
- 卵の摂取量は、週4個未満
- 加工食品の摂取は最小限
- スイーツの摂取も月1回くらい
積極的に食べるとよいもの、できるだけ食べない方が良いものをしり、
加工食品やジャンクフード精製された糖質がおおいものなど食べたい時は、
野菜果物、ナッツ類など食べても良いものに代替えするとよいでしょう。
食べてはいけないと我慢するよりも、これなら食べても良いというものに置きかえていく
方法を取り入れるとダイエットなども成功しやすいといわれています。
卵子老化の食い止めに 有効な3つのサプリ
地中海式の食事療法に加えて、どうしても不足してしまいがちであり、補う事で
妊娠率を高めるとされるサプリから摂取すると効果てきな栄養素は、
ビタミンD・ビタミンB12・葉酸になります。
不妊治療開始前に pro-fertility-エビデンスに基づい食事パターンによって、
ART女性患者の治療成績が良好になったという研究(1)では、
他研究などでも、地中海式の食事療法は妊娠率を高めるとされていますが、
アメリカで不妊治療・体外受精を受ける女性にとって必ずしも最も適切であるとは限らないこともわかりました。
その、pro-fertility-エビデンスにもとづく食事パターンでは、
主に
地中海式食事療法のような、全粒穀物、乳製品、シーフード、大豆製品による食事内容に加え、
葉酸・ビタミンD、ビタミンB12のサプリメント摂取と
残留農薬レベルが低い野菜・果物を多く摂取し、肉を少なくする食べ方がポイントでした。
・ビタミンD
脂溶性のホルモンで骨やカルシウムの調整にかかわる重要な栄養素であり、
免疫にかかわっている栄養素です。
妊娠前からビタミンDが足りている女性は足りていない女性に比べて妊娠率、出産率が高く、
流産率が低いことが1191名の女性を対象にしたアメリカで実施された研究で明らかにされています。
ビタミンDが足りている女性は足りていない女性に比べて妊娠率で10%、出産率で15%、
それぞれ高かったことがわかりました。
ビタミンDは魚類に多く含まれるのと、日光を浴びる事で体内で作り出せるという栄養素でもあります。
ビタミンDについては日光にあたらないライフスタイルになっている現代では
サプリで補う事で妊娠しやすさはアップするというエビデンスがあります。
参考文献
Human Reproduction, Volume 33, Issue 3, 1 March 2018, Pages 494–502,
Mediterranean diet and telomere length in Nurses’ Health Study: population based cohort study.
doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g6674.
The impact of food intake and social habits on embryo quality and the likelihood of blastocyst formation.
Adherence to the Mediterranean diet and IVF success rate among non-obese women attempting fertility
Human Reproduction, Volume 33, Issue 3, 1 March 2018, Pages 494–502,
Vitamin D deficiency in an Italian cohort of infertile women..Am J Reprod Immunol;78:e12733 https://doi.org/10.1111/aji.12733
Dietary patterns and outcomes of assisted reproductionAudrey J. Gaskins, ScD; Feiby L. Nassan, ScD, MBBCh; Yu-Han Chiu, MD, ScD; Mariel Arvizu, MD, ScD;Paige L. Williams, PhD; Myra G. Keller, BSN, RNC; Irene Souter, MD; Russ Hauser, MD, ScD;Jorge E. Chavarro; for the EARTH Study Team