根拠に基づく妊娠しやすいセックスとは?回数・頻度・タイミング

根拠に基づく妊娠しやすいセックスとは?回数・頻度・タイミング

毎日夫婦生活(セックス)をしていますが、妊娠しません…

というご夫婦は少ないくらい今はセックスのレス化が進んでいます。

妊娠しやすくするために頑張っているのですが…

どういったセックスだと妊娠しだとやすくどういったセックスだと妊娠しにくくなるのでしょうか?

毎日夫婦生活がある事、逆に少ない事で男性の精子の数や運動率には

なにか問題が出てくるのでしょうか?

妊娠しやすくなるためのセックスの回数や頻度、タイミングなどもみていきましょう。

 

射精回数と精子の質や数との関係について

男性が7日以上射精をしない状態が続くと、精子の運動率や数に影響が

出てくる一方で、毎日射精した場合は、逆に運動率は高まるといわれています。

毎日射精した場合、精子の数が減るという説も言われていますが、

実際はそのような事はなく、ある一定量の精子は存在し、

しかも、DNAの損傷率が低い精子が多くなることから、

数だけでなく、運動率、男性の妊娠させる力が高まる事がわかっています

乏精子症の男性でも、運動率・数ともに最善になるには

毎日の射精を行った場合だった研究もあります。(1)

9489件の精液検査データのうち、精子の数が少ない乏精子症3506検体と

正常精子数の5983検体に分けて比較した場合、精子の数が少ない検体では、

禁欲期間を1日とした場合に最も精子運動率が良く、

禁欲期間を0~2日とした場合に正常形態精子が最も多くなっています。

一方、正常精子数の検体では、禁欲期間が11日以上で、

精子運動率と正常形態精子がともに低下しました。

WHOのガイドラインでは精液検査に際しての禁欲期間を2~7日にするという記載です。

できれば回数が多いほど精子の質はよくなっていきますし、運動率や数といった点だけでなく

DNA断片化率なども加味すると望ましいのは2日に1回の射精となります。

射精回数は多い方がよく禁欲期間は2~7日以内のラインは最低ラインと言えるでしょう。

 

排卵日の前日、前々日が最も妊娠する確率が高くなる

妊活をすると取り組むのが、妊娠しやすいのは排卵日という思い込みがあります。

そのため排卵日に合わせたタイミング合わせ。しかし、このタイミング合わせは

排卵日を狙っても妊娠しにくいという事です。最も妊娠しやすいのは排卵日の前日と前々日です。

この時期にセックスをすることが最も妊娠の確率を高めると考えられており、

しかも排卵日と比較してその妊娠確率は4倍にも高まるようです(2)。

排卵日ねらいのタイミング法をとっていると妊娠しやすさを取りこぼしてしまう可能性が高いです。

卵子が排卵される前に精子と待ち合わせできることがポイントで、

卵子の老化には2種類あって、卵子そのものと、排卵後からの老化です。

排卵後からの老化を防ぐ意味でも、精子が待ち伏せている状態がベストという事になりますね。

妊娠するためには、1回のタイミングに合わせるよりも排卵の前後に合わせて3回~4回

タイミングを取るのがベストであり、これほどの回数やタイミング合わせもなにもなくコンスタントな関わりを

大切にしていた方がよいといった感じになります。

 

妊娠率を高めるには回数もポイント

妊娠の確率を高めるという点からいえばセックスのタイミングは重視されていますが、

回数という部分はあまり注目されていないように感じます。

もともと日本という国が性生活が少ない傾向が出ています。コンドームメーカー相模の

性生活に関する調査では結婚したカップルの性生活回数が、20代から60代の平均で

月に2回以下の月1.7回という衝撃的なものでした。あまりにも少なすぎるという事です。

セックスの回数と妊娠の確率を調べた研究では、毎日セックスした場合、

1周期あたりの妊娠率が37%、1日おきだと33%で、週に1回の場合は15%に確率が低下しています(3)。

妊娠率を高めるためには、性生活の回数の多さというのもポイントになっていて、

回数が多ければ、だいたいが2年以内にいは妊娠しています。

フランスの研究では、半年で54%、1年で76%、2年で89%の方が自然妊娠することを示しています。(4

 

セックスは排卵後、受精後も重要

赤ちゃん 手の中

排卵してしまったら関係ない。セックスは不要というわけでは、全くありません。

排卵後の性生活や、人工授精や体外受精であっても着床のタイミングに合わせて

性生活があるほど、妊娠率が高まっています。

その理由として、精液への暴露が妊娠を助けているという事です。

妊娠には免疫が関係しま、自分以外の細胞を受け入れる免疫寛容がおきる必要性があります。

そのため、この免疫バランスが良い状態にない事には着床、そして妊娠の維持が難しくなっています。

調節性T細胞 (Treg = CD4+CD25+Foxp3 T細胞)の存在がカギを握っています。(5

調節性T細胞は、移植や妊娠などの際に、臓器や胎児が拒絶されないために(免疫寛容)働いている免疫細胞で、

着床期に子宮内膜で増加します。マウスでは性交をきっかけに排卵が起こることが知られていて、

さらに子宮内膜で調節性T細胞が増え、妊娠の準備をしているのです。

このきかっけが精液への暴露であり、ヒトでは排卵から着床まで1週間もあります。

妊娠のためにと排卵のタイミング狙いだけでは不十分で、排卵期に限らずいつでも性生活持てるカップルで

妊娠率が高いという研究も。それは不妊治療中であっても変わらず、

人工授精や体外受精の周期にも性生活は大切です。

また、妊娠だけでなく、調節性T細胞 (Treg = CD4+CD25+Foxp3 T細胞)の数が流産率にも

関係してくるのですから、やはり性生活は排卵の時だけでなく女性の月経期間中を除き、

いつでもコンスタントにある事が良いという事ですね。

 

体外受精中でもセックスは重要

体外受精となると急に医師から移植の頃はセックスについてもストップがかかる事もあるでしょう。

移植のさいの感染が危険視されているためですが、

もちろん注意を払う必要性はあるもののあまり過敏に移植前後に性生活を控える必要性も

ないようです。というのも移植前後にセックスをもてているカップルの方が妊娠率が高い(6)からです。

478サイクル中の1343胚の移植を対象として、移植前後に性交渉を行っていた群の方が高い妊娠率であったとされています。

もちろん、妊娠成立にあたっては、感染症などへの注意点はあるでしょうが、

体外受精と言っても、やはり性生活をなくしていってしまう事は

デメリットになってしまうでしょう。

 

着床の時期のセックスだと妊娠率はどうなるの?

排卵の時期や、体外受精の移植び前後についての研究では、セックスは積極的に

していた方が良い回数は多い方が妊娠率が高いという研究結果でした。

この研究では着床のタイミングに合わせたセックスだと妊娠率はどうなるのかという点が

調査されています。(7)

30~44歳の女性564名、1332周期の性交時期と妊娠を調査し、

生理は、2日以上続く出血と定義し、排卵日は次の生理初日(あるいは妊娠検査薬陽性日)から14日前と仮定しています。

また、妊娠可能時期は仮定した排卵日の前5日後3日とし、着床期は仮定した排卵日の後5~9日とし、

着床期に性交が全くなかった方と比べ、着床期にセックスが

2日以上ある場合は妊娠率が有意に低下しましたが、1日の性交では妊娠率の低下は認められませんでした。

排卵前後は積極的にセックスが増える分には良いのでしょうが、

排卵期くらいには毎日というのは避けた方がよくなりそうですね。

といっても着床期は仮定した排卵日の後5~9日に2回以上にならなければ

妊娠率が低下するわけでもないため、あまりにセックスのタイミングについて操作しすぎるのも

考え物です。排卵期以外は週に2回くらいの性生活になるコンスタントさであれば

特に問題はなさそうですし、今回の研究だけですべてが言えるわけではないため、

着床の事ばかりを気にして、夫婦生活の充実がそのこなれる事はセックスレスに

拍車をかける事にもつながりかねません。

着床期は積極的になる必要はないものの、極端に全くないとしてしまうと、

夫婦のセックスは妊活の為だけに存在するようになり、義務感や苦痛になってしまいかねないですよね。

長い目で見れば逆に妊娠率を下げる事になるかもしれません。

 

自然妊娠の場合 セックスについての回数・頻度のポイント

アメリカ生殖医学会が公式発表している自然妊娠を目指す場合のポイントより、

性生活についてのポイント部分をご紹介します。(8)

 

妊娠しやすい時期

排卵の5日前~排卵日の計6日間(「のびおり」の時期と一致)特に排卵の前日と前々日が良い

妊娠しやすいゴールデン期間は1周期ごと6日間もあります。

さらにその中でも特に排卵前日と前々日は妊娠率が高まります。

 

排卵期のセックス頻度

この時期の性生活が頻回であるほど、妊娠率増加につながる

この時期は回数が多いほど良いという事です。

 

タイミング狙いはしない

特定の日のみの性生活は避けた方がよく、

タイミングセックスにはほとんど意味がなくなります。

 

体位や性交後の安静は妊娠率に影響しない

セックスの体位やセックス後に安静にすることは妊娠率には影響がないようです。

ただ、体位は妊娠率に関係がないから何でも良いという事でもありません。

妊娠率だけのことを考えれば確かに何でもよいのでしょう。

ただ、夫婦の性生活が充実し、また楽しめたり2人の良いコミュニケーションであり続けるには

工夫してみたり変えてみたりといった事はあっても良いでしょう。

 

性交が頻繁でない場合には、尿中のLHサージ検出が有効かも

性生活の回数がどうしても頻繁にできないという場合のみ、

尿中のLHサージ 排卵検査薬によってタイミングを合わせる事も有効かもしれない

という事ですが、基本的には、排卵期には性生活が充実するように

取り組むことが欠かせないでしょう。

 

 

妊娠のためだけにセックスをしたら…

男女

不妊で悩む時、不安や焦り、ストレスにもさらされて、リラックスとは

程遠くなっていきがちです。そこへもってきて、タイミング、排卵期と

色々意識することが増えれば増えるだけ苦痛は増えれば、

逆に心地よさは増えないでしょう。

妊娠目的の性生活に義務感を感じたり、プレッシャーを感じ性生活の回数が減ってしまうという

傾向がでています。

妊娠しやすいセックスからは遠ざかってしまいます。

満足感や、幸福感、心地よさからは得らにくいでしょう。

オーガズムにともなう、こういった幸福感、心地よさを感じるとき、

脳波はシータ波となり、さらに、オキシトシンというホルモンが分泌されます。

妊娠のためのセックスではなく、2人にとって大事なコミュニケーションという価値観を

大切にしてください。

子どもが授かるから性生活をという目標意識だと、性生活そのものが楽しく感じられなくなって

しまいます。また子供が授かっても授からなくても、セックスそのものが色あせてしまうから

良くありません。そして、楽しいから、とか快楽だけという理由でも性生活に対する

モチベーションは保つことが難しいです。二人にとって、このコミュニケーションそのものが

今後の人生にどれくらい大切なのかを2人で共有できていると簡単にセックスレスになることは

ありません。

 

妊娠への道案内をしてくれます

膣内に射精された精子はすみやかに子宮頸管から子宮に向かいます。

もちろん、泳いで進んでいくのですが、

女性の子宮や卵管は精子を卵子のところへ運ぶ働きがあることが知られています。

そのことを確かめる研究で、精子に見立てた小さな粒子を卵胞期の女性の膣の奥に置いて、

その後の動きを追跡して、小粒子がどのように移動したのかを調べた研究です。

たった2分で、卵管に移動しというのです。

さらに、驚くべきことにこの小粒子は、

成熟卵胞のある卵巣がある側の卵管のみにみられたことです。

そして、主席卵胞が育つにつれて移送される粒子の量が増えていったといいます。

ということは、子宮や卵管は、卵胞が成熟している卵巣の方に引き寄せるような働きがあるというわけです。

 

卵管中の小粒子の数は主席卵胞が大きくなるにしたがって増加し、

性交やオーガズムの時に分泌されるオキシトシンというホルモンの投与によって更に増加するという

結果を導き出しています。

ホルモンバランスを整えて、卵胞を育てあげ、

オキシトシンを分泌させられる習慣があることが、卵子と精子の出会いには必要だということです。

 

妊娠にオーガズムは必須ではないけれどあった方がいい

女性もセックスやオーガズムを得られることで、オキシトシンが分泌されることが知られています。

妊娠するにはセックスでオーガズムを得られないといけないかというとそうでもない。

その理由が、人工授精ではオーガズムがない体とも言われていますが、

オキシトシンをはじめ妊娠しやすく働きかけてくれる働きかけのサポート役にもなっています。

性生活を充実させ満足感が得られるものにしたり、リラックスしたり、コルチゾールホルモンを少なくし、

睡眠にも影響を及ぼしているのがオーガズムです。

なくてもいいという事を意志から言われたら、きっとオーガズムを得られるための努力って

しなくてもいいと思ってしまう事でしょう。でもセックスでオーガズムを得ていくには

夫婦二人のコミュニケーションと学習がないと成り立ちません。

それを放棄してしまうのはもったいない。

どうしてもなくてはいけないものではないけれど、あった方がめぐりめぐって結局はサポート的な

役割を果たしてくれます。それは性生活だけでなく、自慰行為などで得られるオーガズムも

同じといいます。(9

 

排卵期関係なく毎日という方なら問題ないでしょう

もともと、妊娠とか、排卵期とかを気にせず、毎日夫婦生活があるという方でしたら

特に問題なく、妊娠率はよくなることでしょう。

しかし、排卵期のみ、頑張って毎日、赤ちゃんのためにと、肩に力が入ったり、

疲れていても頑張るといった状態でしたら、かえって毎日のセックスというのは

負に働いてしまうといえます。

それよりは、排卵期関係なく、コンスタントな関係を持ち続ける事、

そして、子宮頸管から分泌されるタイミングを見計らったり、

分泌液を増やすような工夫をすること、オキシトシンといったホルモンの

手助けをうけるという事にエネルギーを注ぐことが妊娠率を高めてくれるといえます。

 

妊娠率を高めるために必要な事

・ある程度回数がある事

・子宮頸管粘液が多いこと

・負担になるほど排卵期に毎日セックスをしないこと

・オキシトシンを分泌させられるセックス習慣があること

 

夫が誘ってきてくれないし、もともと少ない場合は?

妊活をし始めて少なくなったというよりも、もともとすくないとい男性パートナーもいらっしゃる

かもしれません。性欲を司るホルモンには男性ホルモンと呼ばれるテストステロンが

関係しています。このテストステロンが低下しやすい生活をしている可能性が

高くはないでしょうか。ライフスタイルの見直しもしていきましょう。

女性にもテストステロンは存在し、女性の性欲にも影響していますが、

食生活、運動習慣、睡眠不足、ストレスなどはダイレクトに影響が出てきてしまう部分です。

特に体脂肪が多くなると男性はテストステロン値が低下してしまいます。BMIが25以上だと

テストステロン値は40%も減少してしまうという事。

 

 

参考文献

(1)Fertil Steril 2005; 83: 1680

(2)Wilcox AJ et.al. Human Reproduction 13: 394–397, 1998

(3) Wilcox AJ, et al. New EnglJ Med.1995;333(23):1517-1522

(4)Hum Reprod 2012; 27: 1489

(5)Hum Reprod Update 2009; 15: 517 (Review)

(6)The effect of intercourse on pregnancy rates during assisted human reproduction.

(8)Fertil Steril 2017; 107: 52(ASRM)

(9“Can Sex Be Repositioned as a Sleep Therapy?” 1970. CQUniversity Australia. January 1, 1970

Science 1995; 270: 630

Mol Hum Reprod 2006; 12: 301

Biol Reprod 2009; 80: 1036

Hum Reprod Update 2009; 15: 517

 

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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