子宮の温活は正しく!根拠に基づく妊活冷えとり

子宮の温活は正しく!根拠に基づく妊活冷えとり

カイロを貼る女性・白バック

冷え症の悩みありませんか?いろいろやってみても、

手足はすぐ冷えてしまう。お風呂のあともすぐに冷たくなってしまう。

夏は、クーラーで冷えて、冬は寝るときも靴下やレッグウォーマーがてばなせなかったり。

子宮の冷えは不妊になるってそんな話もよく聞くから、ますます不安になってしまいますよね。

でも、安心してください。子宮自体が冷えているってことは、ありえません。

ただ、妊娠しやすくするには体の血行が悪くなっているのなら

そこを改善してあげることがとっても大事ということは言えます。

妊活中の冷えとりについてみていきましょう。

 

人間の体は、ある一定の体温に保たれている

なので、体の中の子宮だけが冷えるという事は、おこりません。

ただ、大事な臓器に十分な血流が足りていないと、

脳が判断すると、抹消の手足の血流を止めて、

心臓や内臓、脳への血流循環を維持したくなるので

冷え症という状態を作るようにします。

なので、手足が冷えてしまうという事はおこります。

でも、大事な臓器には血液が行くように頑張ってくれている状態という事ですね。

 

表面体温では36度程度であっても、深部体温はもっと高いのが人の体の中です。

なので、一生懸命、子宮を温めなくては!!そう焦らなくても大丈夫です。

逆に一時的に冷やした方が健康的になるという事さえあります。

寒さの刺激で脂肪が燃えるようになるのです。冷える事で代謝が活性化するのはのは、

ヒトの脳の中には自動の温度調節器がついていて、常に体温調整をしているからです。

人間の体は、どんなに周囲の温度が下がっても深部体温(体の奥の温度)は常

に一定になるように調整されているホメオスタシスがあります。

そうしないと内臓や脳の働きが鈍って生命維持ができなくなってしまうため。

温度の変化を感じ取るのは私たちの脳の視床下部という部分です。

深部体温が下がったことに気づくと体をガタガタ震えさせたり、血管を広げたり、褐色脂肪を働かせ、

いろんな手段を使って体を温めようとがんばり始めます。

まずは、子宮そのものが冷えるというのはないという事。

 

子宮だけをあたためようとすると

女性 悩む

人間の体には、ホメオスタシスという無意識が持つ恒常性維持機能がついています。

ある一定に保とうとする機能です。

風邪をひいて熱がでても、そのあと、またいつもの平熱に戻り、

ある一定の体温が保たれているはずです。

なので、子宮だけを局所的にいっきに温めようとしてしまうと、

温まった分、今度は反動で冷やすような指令が出るように反応が起きるようになります。

温度変化が急激であればあるほど、もともとの状態より下がってしまうという事です。

子宮を温めるといい!それは、妊活では常識になっているかもしれません。

 

体全体の血液循環を整えることはいいけれど、

でも、子宮だけをあたためても効果は薄いどころか、

悪循環を作りかねないという事もしっていてください。

妊活中は冷えとりを間違えてはいけません。

 

体外受精 高体温で妊娠率低下

牛の体外受精についての研究 ウシ体外受精時の高温は多精子受精を増加させ胚発生を阻害する

では(1)、夏季の外気温に合わせて体温があがり、牛の体温が41°Cまたは40°Cで体外受精を実施すると、

卵子の多精子侵入防止機構が阻害され、多精子受精が増加してしまいす。

また、その後の胚発生能も低下する。という事が報告されています。

牛と人間は違いますが、ホッカイロなどで冷え対策などをしている女性は

下腹部や子宮周辺をピンポイントで温めていればホッカイロは50度から60度と

高温になるため、子宮環境が不自然な状態になって、

かえって不妊リスクは高まってしまうかもしれません。

牛では夏場牛の体温も上がり、40度を超えると、精子の進入が多くなり、

うまく精子の進入をストップさせる機能が働きにくくなり、さらに胚の発生にも問題が出てくているようです。

これは体外受精だけでなく、人工授精のようなものでも同様な傾向が出ているため、

子宮周辺は特に冷える臓器ではないため、不必要な冷えとりは気をつけたいところですね。

子宮をあたためると妊娠する。この言葉をそのまま物理的にあたためた方が良いという意味で

受け止めると危険かもしれません。

外気の寒さからは着るものなどの調整や、日頃から運動や食事内容にも気をつけたいところです。

血流の改善には、太陽光を浴びたりメンタルケアをして副交感神経が優位になるように心がけましょう。

 

夏は人も妊娠率が低下する

Rev Biol 1995; 70: 141この研究では、ヒトの出生には季節性の変動があることから、

栄養、温度、日光など何らかの環境因子が関与するのではないかと考えています。

発情期のある動物と異なるため、ヒトではいつでも妊娠可能なのですが、

季節性変動の原因として、は次の3つが考えられるといいます。

・排卵は栄養状態の影響を受ける(特に熱帯地方では、雨期に食料が豊富でその時期に受胎するのでは)

・気温の高い時期には造精機能障害が生じ、女性では排卵機能も抑制されるのでは。

・高緯度の地域では日照時間と生殖機能が関連するのでは。

 

という事です。動物も人もどうも暑い環境は生殖には適さないという事です。

そのため間違った冷え対策を行って人工的に温熱機などで温めたり

あたたかい方が良い、血行をどんどん促進させた方がいいとばかりに

コントロールしてしまうとかえって妊娠しにくくなってしまう可能性があります。

冷えとりのつもりで、温めるのはNGという事。

 

最も妊娠しやすいのは37度

普通の体温より、ちょっと高めの温度である37度が最も妊娠率が高い体温です。

私たちの体温は通常は平熱を維持されるようになっていて、平均で36土台です。

そして、体内の深部中では37度くらいになっています。

そのため体内が冷える、低体温になるという事は基本的にはなく、ちゃんと調整されています。

体温はなぜ37℃なのかという理由はハッキリとは分かっていませんが、

代謝は体内で起こる化学反応であり、食べ物からの栄養をエネルギーに変えるなど、

生命を維持するのに重要な役割をはたしていて代謝や細胞分裂には化学反応の一種で、

化学反応は一般に、酵素がよく働く環境下で働きます。

酵素の働きは37度でよく働きます。そのため、高すぎると働かなくなってしまいます。

実際に妊娠率を最も高めたのは37度の培養液だったというエジプトの研究(2)では、

37度で妊娠率が高まり、それより低くても高くても低下の傾向です。

 

食べ物で体をあたためる?冷やす?

妊活女性食事

よく○○を食べると体を冷やすから食べない。体をあたためるものを食べるといった

温活、冷えとりをされる方もいますが、健康的な体つくりとしては無意味なのかもしれません。

この体を冷やす、温めるというのは東洋医学をベースにしたアイデアみたいで

食品は「陰性食品と陽性食品にわけられる」という考えがあるようですが(3)

これは調和をとる事の大切さであるという点がポイントになります。

確かに、食べると体温がその後上がる、その後下がるといった食べ物はありますが、

色々な食品にそれぞれ栄養価があります。調和こそ大事なのであって、

温めるからよい、冷やすから食べないでは根本の体の調和が崩れてしまいかねません。

体温を上げたり下げたりする食べ物について、具体的にはワシントン州立大学の栄養学者である

バリー・スワンソン博士が詳しくまとめてくれています(4)。

 

1 複合糖質ほど体温は上がる

複合糖質であるデンプンを基本とした多糖類のことで、お米とか全粒粉などが代表例となります。

単糖類(お菓子とかですな)にくらべたら吸収がゆるやかであり、

その過程に体をあたためる効果があるといいます。

 

2 脂肪とタンパク質が多い方が体は温まる

脂肪は消化にかかる時間がかかるためそのぶん身体がエネルギーを使い、

結果として体温は上がります。そのため、カカオ・ココアなどもそうですよね。

同じように、たんぱく質も消化にエネルギーが必要になるため、体は温まる傾向になります。

その意味で肉や魚などもあてはまるのでしょう。

 

3 水分が多いものは体を冷やす

夏野菜は水分が豊富ですよね。水分を取れば取るほど人間の体は一旦冷えていくようです。

葉物野菜などはほとんどが水分でできていて、消化もしやすいため

体が冷えた感じになるようです。ただ、もとの体温へ戻るので、水が

冷えによくないとしてしまうと危険です。

ハーバード大学の研究でも、妊活中の水を飲むことは推奨されています。

子宮頸管粘液や妊娠しやすさを考えるととても大事。

 

4 辛いものも体を冷やす

辛いものを食べると一瞬だけ熱くなったような気になりますが、その後で汗をかくため、

最終的には体が冷えるとのこと。暑い国ほど辛いものを食べ、汗をかき体温調整をしている

のかもしれませんね。

 

5 アルコールは体を温めた気になれる

アルコールによって血管が拡張すると血のめぐりがよくなる影響で皮膚に熱を生みだし、

そのおかげで、特に顔の毛細血管などが赤くなり、暖かくなったような感覚にはなります。

 

体をあたためるもの、体を冷やすものどちらもありますが、

水分をとっていると冷え体質になるという事はありません。

人間は熱を産み出していくため、水分が多い野菜を摂取しないようにするというのは

不健康になろうとしているようなものです。

これなら冷え改善という事はありませんので、間違った冷え対策も要注意ですね。

 

冷やすことでまさかのアンチエイジング効果あり

冷たいシャワーを浴びるなどで、体が冷える事で脳では異変を感じて

褐色細胞が働くようになります。冷たいシャワーを浴びたり体を冷やすことで、

かえって代謝が活性化し、脂肪が燃焼し始めます。

脂肪燃焼のほかにも、老化を食い止める作用、体の抗酸化力を高めたり(5)、

免疫力を高めるという作用もあり(6)、温めるだけが妊活ではなく、

まさかの逆の冷やすという事が研究ではアンチエイジングにつながっているようです。

適温のシャワーを浴びたら、徐々に温度を下げ、冷たいシャワーを30秒浴びるという方法。

2013年の論文では(7)16℃の寒い部屋に1日2時間ほど入り続けたら、

6週間で5%も体脂肪が減ったという報告もあります。

そして、全乳アイスクリームの摂取が妊娠しやすさを助ける食べ物

にもなるという事がハーバード大学の研究でも言われています。

何でも冷やすのが妊活にNGなわけではなく、栄養だったら摂取する質・内容が

重要になるみたいですよ。

 

温めようとばかりするのではなく、冷たいシャワーにも健康度を高める効果はあり

温活だけがいいわけではなさそう。冷えを取り除き過ぎないことが

逆に温活になるみたい。

 

子宮の血流は驚くほど調整されている

子宮や卵管の内側は、大気中に比べて酸素が薄い(酸素分圧が低い)ことが明らかになってきています。

意外ですよね。たくさん酸素があった方がいいのかなって思ってしまいます。

そして、低酸素下で培養された胚を移植した方が、大気と同じ酸素濃度で培養した胚に比べて

妊娠成績がよいことも分かってきているのです。

このように、ヒトの胚はどちらかというと低酸素状態が良いという事になります。(8

そうなると、人の体の中も無理に血行を良くしようとか人工的にあたためて血行促進というのは適さないのです。

着床期の子宮内膜には酸素を多く含んだ血液がたくさん流れ込むという事は、逆に胚にとっては苦しい事。

子宮内の血流は月経周期に合わせて微妙に変化しているというのです。

着床期の排卵した後、6~8日くらいの子宮内膜の血流は、

月経周期の中では実は最も少ない時期になるのです。

子宮内膜の血流量や血管密度を調べると、月経終了後から徐々に増えてゆき、

排卵3日前までの増殖期後に最大となるという事で、月経周期内で血流が良い時期と低下する時期があり、

調整されています。(9

それは、着床期子宮内膜の過剰な血流は、胚にとってより酸化ストレスにさらされ、

悪影響をうけてしまうのでは?とされています。(10)(11

妊娠するように、着床するようにと血流、血流とばかりに

血管を広げようと温める事冷え対策に必死になるのは危険行為と言えるでしょう。

 

冷えの原因について

冷え性対策

体に冷え症がおこる原因についてみていきましょう。

意外にも思い当る点も多いかもしれませんし、改善のポイントにもなる点かと思います。

冷え症対策、温活は、妊娠しやすくなるという目的の為ですが、

血流については子宮環境の中では随分複雑に調整されているようで、

排卵に向かう卵胞期では、血流が促進され子宮内膜が厚くもなっていきますが、

排卵以降は若干、血流が抑えられ、受精卵が酸化ストレスにさらされすぎないように調整されている

ようなのです。なので、妊娠するために子宮の血流促進を必要以上にやらない方がよく、

トータル的に体にとってのいい状態を作ることに取り組む冷え対策がよいでしょう。

 

冷えの原因 痩せすぎになってない?

シンデレラ体形としてやせ型を好む女性も増えています。妊娠しやすい体型はアメリカの研究ではBMIは

20~24で、アジア系の人を対象にした妊娠しやすかった体型は18.5~22.9でした。

若干痩せぎみに傾いていたとしてたら、冷えを感じやすくなっているでしょう。

痩せている場合は、体脂肪が少なく、脂肪がないと断熱できないため冷えを感じます。

また、体重が減ると、代謝が下がるため、充分な熱が作られず冷えを感じやすいでしょう。

また、筋肉量が少ないという場合も筋肉は発熱量が大きいので、

少ないほど寒さを感じやすくはなってしまいますね。

 

冷えの原因 鉄の欠乏やビタミンB12の不足

栄養素の不足によって冷えを感じているという事もあるかもしれません。

まずは、鉄不足になってしまっていないでしょうか。

鉄分は赤血球が酸素を運ぶのを助ける働きをしているため、不足すると血流が低下し、

栄養も細胞に行かなくなるため、自然と体温も下がっていきます。

女性は月経があるため、どうしても鉄不足には陥りがちなので、気をつけたい栄養素です。

また鉄と言っても、ヘム鉄と非ヘム鉄というのがあり、体内での吸収の問題もあるため、

動物性のタンパク質から鉄分を補いましょう。

 

またビタミンB12も不足してしまってはいませんか?

ビタミンB12は赤血球の産生に大事な役割を持っていて、足りないと貧血になってしまいます。

 

冷えの原因 甲状腺の異常

甲状腺の異常と不妊についても関係がある(12)ところではありますが、

甲状腺の異常は冷えにも関係があります。

甲状腺では、T3というホルモンを分泌して、体の代謝を高める働きを持っているため、

このホルモン分泌によって代謝に影響がでてきます。

甲状腺の異常によって、ひどい冷えを感じる事もあるかもしれません。

 

冷えの原因 睡眠不足

寝不足が原因で冷えというのもちょっと驚きですね。

睡眠不足によって体が危機感を感じると代謝を低下させてしまい、そして、エネルギーを

温存しようとするメカニズムが働くことが影響しているのかもしれません。

2009年の研究でも眠らない時間が長引くほど、心拍数と体温が低下しています。(13)

また睡眠不足と不妊とも関係もあれば、睡眠不足と冷えは関係があるという事ですね。

 

冷えの原因 水分の摂取量不足

体の水分が体温調節に欠かすことができません(14)。水分が足りないと、代謝が低下してしまったり、

皮膚への血流も低下してしまいます。

そのため、体温調整がうまくできなくなっていってしまうという事がおこってしまいます。

なので、こまめに水を多く飲むようにしてみることでも改善できるかもしれません。

1日に水は1リットルから2リットルあたりを目安にしてみてはいかがでしょうか。

 

冷えの原因 運動不足からくる血流不足

今ではデスクワークが増え、通勤でも車という事も珍しくないかもしれません。

日中に体を動かす時間そのものも減ってしまっているでしょう。

運動不足に伴った血流不足というのも冷えの原因です。

特に手足の先が冷たいという場合は、血流不足を考えてみましょう。

まずは、体動かして心肺機能を高める事に取り組んでみてください。

体に負荷をかけるような運動HIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)などは、

短時間に体に負荷をインターバルにかける運動法で、特に有効で、毛細血管を増やし末端の冷えの

改善にも効果的。

 

冷えの原因 ストレス

甲状腺の異常やエストロゲンの分泌に異常があっても体は冷えやすくなります。

そんなホルモンの分泌にも影響しているのがストレスで、

ストレスを感じると、心臓や脳などへの血流を高めるため、抹消への血流が抑えられ

皮膚表面の体温も下がるメカニズムになっています。

慢性的なストレスは、冷えの原因にも影響してしまいます。

 

冷えがあっても妊娠はしている

冷え性の女性

「不妊治療中の女性74名(平均年齢37.5±4.4歳)で冷えを自覚している者が77.0%を占め、

一般に冷えを自覚している女性と比較して多い」

<引用:女性の冷え症状と不妊症との関係について/全日本鍼灸学会雑誌/2016年第66巻3号

 

妊娠しない理由が冷えているからとすぐに結びつけるのもあまりよくはありません。

やはり、もともと筋肉量が少ない女性はどうしても末端の冷えは男性よりも感じやすい

というところはあります。冷えがあるから妊娠できないわけではないので、

できるところから取り組んでいるという事も大切ですね。

妊活している女性の多くは冷えを抱えており、妊娠した女性の72%が非妊娠時より

冷えを感じており、不妊と冷えについての関係はないといわれています。

しかし、酷い冷えにより、自覚症状などもある場合不妊症になる確率が高まるといわれています。

冷えの原因は血行不良をはじめ様々にあります。まずは原因と見合わせていきましょう。

 

妊娠率を高めるには冷えと血流改善にこだわり過ぎない!

冷えているから妊娠しないんだ。血流が悪いから妊娠しないんだと信じ切って、

血流を改善しようとするかもしれません。確かに血流は大切です。

でも何かの力でいっぱい血流を改善させようとしても、やはりどうもうまくはいかないみたい。

例えば、Lアルギニン。これはアミノ酸の一種ですが、血流を改善して子宮内膜を厚くする効果もあります。

それは、Lアルギニンは一酸化窒素の前駆体で一酸化窒素を作り出すことで子宮の血流が改善するためです。

そのため、子宮内膜を厚くするという効果が期待されていると思いますが、

一方で、新鮮胚移植では良好胚は少なくなり妊娠率が低下しています。(15)

日本の研究では、Lアルギニン服用によって内膜が厚くなったという報告はあるものの、

6g/日の内服であったようですが、長期に飲むとどうなのか、妊娠率や流産率については

不明です。特にLアルギニンはサプリなどからとらなくても充分アミノ酸をたくさん含む

タンパク質から摂取できるので、他のホルモンなどの調整も考えると

サプリに頼るよりは、食事メインで調整する方がよさそうです。

結局摂取しすぎや摂取していた影響が、排卵以降に良い影響にならないリスクが残っています。

 

冷え取りにホッカイロ・湯たんぽは本当に有効?

引用 使い捨てカイロ皮膚表温度の変化

冷えをすばやくとるにはホッカイロを腹部に貼ろうといった温活情報もあります。

しかし、そもそも腹部は太い腹大動脈が通っているので冷えるというほど冷えることがないところ。

でも、ホッカイロなどを当てていたら皮膚体温も上がっていきます。

とくにホッカイロでは低温やけども報告されるケースがあり、低温やけどは

44度から50度くらいの比較的低温の温度に長時間触れていた際に起きるやけどです。

あったかくて冷えがとれたと思っていると危険な温度になってしまいます。

そうでなくても、トレーナーの上から当てた場合、さらに圧迫した場合ですら、

38度以上になっています。外から見えないように服の下とインナーの間にホッカイロを

あてるという事が多いと思いますが、その場合はさらに温度が高温になることでしょう。

子宮や受精卵にとって喜ばしい環境ではなくなってしまいますね。

それと同様に湯たんぽなどもどれくらいの温度のお湯を入れるのかという事もありますが、

お腹まわりをあたためるとういのはとにかく避けたい冷え取り方法です。

 

妊活中はあえて靴下・レッグウォーマーを脱いでリラックス

温活ちうと靴下を履いて温めるとか、レッグウォーマーを取り入れるなどあるでしょう。

あたためよう、保護しようとばかりしても意外といい温活にはならないかもしれません。

確かに寒い時はあたためてあげるもの良いのですが、あえて裸足になってみるというのは

とても大切です。

特に寝るときも寒いからといって靴下を履いて寝ると熱の放散がうまくいかず、深部体温が

スムーズに下がりにくくなり睡眠の質が低下してしまいます。

裸足になると自律神経が整うという研究結果もあります。

裸足で過ごす事のメリットって意外にも多くあって、姿勢が自然と良くなるとか、

リラックス効果が高まるといったものもあります。(16)

精神的にもイライラしたりすることも減るようなのです。靴も靴下も抜いでリラックスして

生活してみると、思った以上に脳機能も高まり仕事も学業も効率的になるようです。(17)

ずっとまでいわなくても、ちょっと靴下を脱いで裸足で生活してみるというの

正しい温活の一つになっていくのではないでしょうか。

 

コア体温37度がもっとも妊活に適する

妊娠と免疫反応というのはとても関係が深いものになっていて、

免疫バランスが悪くても妊娠は難しいようになっています。

不妊と炎症は関係があります。炎症は免疫反応によっておこるもの

なので、体の中に炎症があることで、不妊リスクもたかまっています。

その免疫バランスがいい状態を保つためにも大事な温活になります。

体を異常にあたためる必要性はないものの、ムリに冷やすのも

考えもの。特に体を冷やしてしまう原因に、口呼吸があります。

イエール大学の免疫生物学の研究者チームは、

鼻の温度が中核体温(37℃)を下回ってしまうことで、

細菌やウイルスがより簡単に複製され、感染が広がり炎症を起こす

ことを発見しました。ちょっと低い温度(33度C)で、

重要な免疫系タンパク質(インターフェロン)が損なわれてしまい

気道細胞内で増殖および拡散させてしまうのです。(18

呼吸の仕方によって、体の中が冷え、炎症体質になってしまうのを

さけていきましょう。そのためには、口呼吸をやめて、鼻呼吸に。

瞑想などでトレーニングしていくとよいでしょう。

 

熱ストレスは生殖ホルモン・生殖機能を低下させる

冷えはよくない。ということで子宮や卵巣を冷やさないように!と

温活がとっても人気です。でも、卵巣もまた通常のコア体温よりも

少し低い状態で維持されています。そのため、熱ストレスがかかると

妊活中にはかなり不利に働いてしまうみたいです。(19

細胞の中の活性酸素レベルが高まり、卵子は劣化してしまいます。

そこに、ポリフェノールやメラトニンなどによって酸化が改善される

ということが言われています。酸化ストレスにさらされると胚の発生にも

問題が出てしまいます。また熱ストレスによって、卵母細胞を高温にさら

してしまうと、卵母細胞の数が減ったり、卵母細胞の成熟にも影響がでて

異常発達にもなってしまします。受精のタイミングで熱ストレスに

さらされても、アポトーシスが誘導されてしまったり、子宮内に入ってきた

精子にとってに非常に危険。受精前から受精後、そして着床、さらに

妊娠中も熱ストレスにさらされるのは、どれもよくなく、胎盤の形成や

胎児の発育にも不向きです。

 

ホットヨガやよもぎ蒸しは妊娠と相性がわるい

子宮が冷えているかもと血行を良くしたいとか、子宮をあたためたいと

思っている女性も多いですが、妊娠にとって熱ストレスは歓迎されて

いません。そのため、ホットヨガやよもぎ蒸しも妊娠とは相性が悪い

ものになっています。(20)温熱療法は以前より、不妊に関係してきてしまう

ことが言われています。温熱療法は動物モデルでも人でも、

環境催奇形物質であるため、研究でもこれは問題だとされています。

人間では、発熱、極端な運動、サウナ、温水浴槽で中核体温が

上昇する可能性があるためです。さらに授かる子供の神経管欠損症(NTD)

になる率が高まったり、熱にさらされることで、めまいや失神、

血圧の低下などもリスクが高まってしまいます。

よもぎ蒸しについては科学的根拠がないといわれています。

熱源に関係なく、温水浴槽、スパなどをはじめ、ベースラインで体温が

2度以上上がってしまうのはとにかく避ける様にしたいのです。

妊活中や妊娠してからも、体温を38.9度以下に維持できるように気をつけるのが

よいでしょう。(21

 

体に低体温、冷え性があると感じたら

低体温、冷えがあれば、どうしても血行不順によってホルモンバランスも乱れだします。

大事なホルモンや細胞が必要とする栄養も、酸素も運搬できなくなります。

なので、どこから血液の流れが澱み出しているのかちぇっくして、

それにあわせた体質改善が必要になってきます。

平熱も低く、35度台。体全体の体温が下がってしまっている状態でしたら、

熱を生み出せるように整えてあげることから始めることです。

そして、次に、血液が循環するように生活習慣の改善を行っていきましょう。

人の体の基礎代謝や小まめに動く日常の活動量を増やしていくことが

体が老化しないポイントになります。

座りっぱなしや、ゴロゴロ寝を避けて、活動量を増やす事、座り仕事を立ち仕事に変えていく

工夫も立派な温活といえますね。

 

運動は足りているか。筋肉を増やすための食事がとれているか。

血液が足りているのか。鉄分が足りているのか。

サラサラと体液がスムーズに流れるようになっているのか。緊張したり過活動で

交感神経が優位になっていると血流の妨げに。

リラックスして副交感神経とのバランスがとれることも血流がよくなります。

排泄が滞ってはいないか。ポイントを押さえながら順に改善していきましょう。

 

冷え性の場合は、脳からの指令に誤作動が起きている状態です。

特に抹消の血液循環が悪くなっているので、自律神経を整えながら、手足の循環をよくする

マッサージや運動も合わせるのと、意外だと思われるかもしれませんが、瞑想も効果的です。

 

子宮だけを温めたり、外から熱を加えてあたためるという温活は歓迎できません。

体全体を温める妊活に変えていきましょう。

参考文献

1ウシ体外受精時の高温は多精子受精を増加させ胚発生を阻害する

2Comparing 36.5°C with 37°C for human embryo culture: a prospective randomized controlled trial

3陰陽調和|体を暖める食べ物と冷やす食べ物を知ろう

4Improving Food Quality with Novel Food Processing Technologies (English Edition)

5Improved antioxidative protection in winter swimmers.

6Possible stimulation of anti-tumor immunity using repeated cold stress: a hypothesis.

7Recruited brown adipose tissue as an antiobesity agent in humans

8 Bontekoe S et al., Cochrane Database Syst Rev 2012;7:CD008950

9 Raine-Fenning NJ et al. Human Reproduction 2004;19: 330-338

10Vailhe B, et al. Human Reproduction 1999;6:1628-1634,

11Quenby S et al. Human Reproduction 2009;24:45-54.

12Fertil Steril 2012; 97: 1033

13  2009 Feb;105(3):439-44. doi: 10.1007/s00421-008-0921-5. Epub 2008 Nov 12.The effect of 60-h sleep deprivation on cardiovascular regulation and body temperature.

14 Studies on temperature regulation. I. The Pulmonata and Oligochaeta

15Hum Reprod 2002; 17: 659

16ReviewThe foot core system: a new paradigm for understanding intrinsic foot muscle function

17shoeless learning spaces

18Warmer body temp puts the heat on the common cold

19. 2012 Jan; 11(1): 37–47.Published online 2011 Aug 13. doi: 10.1007/s12522-011-0105-6Heat stress on reproductive function and fertility in mammals

20Hot yoga and pregnancyFitness and hyperthermia . 2014 Jan; 60(1): 41–42.

21 2006 Aug;76(8):569-73.Risks of hyperthermia associated with hot tub or spa use by pregnant women.

Rev Biol 1995; 70: 141

この記事の著者

保健師・看護師

岡田和子

山梨医科大学卒業、看護師・保健師国家資格取得。 NPO法人日本不妊カウンセリング学会所属。
病院や企業にて心と体の健康管理に12年従事した後、不妊カウンセラーとしてパーソナルカウンセリングを行う。

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